塩ビ(PVC)の射出成形部品。切削試作から金型製作・量産成形まで。【1】
耐薬品性や耐食性、電気絶縁性などの特徴を持つ塩ビ(PVC・ポリ塩化ビニル)は、配管部品や設備部品、電気関連部品など、幅広い分野で使用されているプラスチック樹脂です。
塩ビ製品には、押出成形や切削加工によって製作されるものもあれば、射出成形によって複雑な形状に製作されるものもあります。
しかし、新しい塩ビ部品を開発するとき、最初から量産用の金型を製作することが最善とは限りません。
まずは試作品を製作し、形状や機能を確認する。
実際の使用環境に合わせて評価する。
必要があれば設計を変更し、製品としての仕様を固めていく。
そのうえで、試作金型や簡易金型、量産金型による射出成形へと進めていく方法があります。
(株)アリスでは、塩ビ部品の切削試作から金型製作、射出成形まで、開発段階や必要数量に応じたものづくりに取り組んでいます。
大切なのは、最初から製作方法を一つに決めることではありません。
お客様が何を確認したいのか、どのような環境で使用するのか、将来どの程度の数量が必要になるのか。
その目的に合わせて、適切な製作方法を考えることです。
塩ビ(PVC)の特徴と射出成形部品への用途
塩ビは、配合や製品グレードによって幅広い特性を持つ材料です。
大きく分けると、比較的硬く剛性を持つ硬質塩ビと、可塑剤によって柔軟性を持たせた軟質塩ビがあります。
工業用の機械部品や設備部品では、硬質塩ビが使用されることがあります。
硬質塩ビは、耐薬品性や耐食性、電気絶縁性などに特徴があり、使用環境によっては金属材料の代わりに採用される場合もあります。
例えば、薬液を扱う設備の構成部品や、配管に関連する部品、電気絶縁性が必要な部品などです。
ただし、すべての薬品や温度条件に対応できるわけではありません。
薬品の種類や濃度、使用温度、機械的な負荷などによって適合性は変わります。
また、同じPVCであっても、射出成形用の材料と切削加工用の材料では、配合や加工特性が異なる場合があります。
そのため、材料を選ぶ段階から、使用目的と製作方法の両方を考えることが重要です。
切削加工による試作品。金型を製作する前に確かめる。
製品開発の初期段階では、まだ形状や寸法が確定していないことがあります。
部品を組み付けたときに問題がないか。
周辺部品と干渉しないか。
必要な流路や取付部分が、設計どおりに機能するか。
こうした内容を確認するためには、実際の部品を製作して評価することが有効です。
そこで選択肢になるのが、硬質塩ビの板材やブロック材からの切削加工です。
CADデータをもとにCNC工作機械で削り出すことで、金型を製作せずに試作品をつくることができます。
一個からの形状確認や、少量の評価用部品、設計変更を伴う試作などに適した方法です。
ただし、塩ビの切削加工にも注意点があります。
加工中に過度な熱が発生すると、加工面の状態が悪化したり、材料が熱劣化したりする可能性があります。
工具の選定や切削条件、切りくずの排出などを考慮しながら、必要な寸法精度と表面品質を確保していきます。
また、切削加工品と射出成形品では、材料の状態や内部応力、製作方法が異なるため、すべての性能が同じになるとは限りません。
切削試作品で確認できることと、射出成形品で確認すべきことを分けて考えることが大切です。