その先の仕事まで考えて初めて
ものづくりの現場では、最初から答えが分かっている仕事ばかりではありません。
図面が完成している仕事もあれば、まだ形が決まっていない試作もあります。
現物しかない機械部品や設備部品もあります。
「こんな治具がほしい」
「今使っている部品を少し変えたい」
「この材料でつくれるだろうか」
そんな相談から始まる仕事もあります。
特に研究開発や生産技術では、正解が一つとは限りません。
樹脂加工にするのか。
金属加工にするのか。
切削加工にするのか。
別の工法を使うのか。
材料は何を選ぶのか。
形状をどうするのか。
コスト、納期、品質、数量、使用環境を見ながら、一つずつ条件を整理していきます。
たとえば試作品では、最初から量産と同じ方法でつくる必要がない場合もあります。
まずは形状を確認するための試作。
次に実際の使用環境で確認する試作。
その結果を見て設計を変更する。
こうして何度かつくりながら、少しずつ完成形に近づいていくことがあります。
治具も同じです。
加工すること自体が目的ではありません。
現場で使いやすいか。
作業者が安全に使えるか。
部品を正しく位置決めできるか。
検査しやすいか。
交換しやすいか。
その先の仕事まで考えて初めて、役に立つ治具になります。
(株)アリスでは、ものづくりを加工だけで考えないようにしています。
CAD/CAMで形状を考えることもあります。
自社設備で切削することもあります。
専門的な設備が必要なら、協力会社と一緒に進めることもあります。
材料メーカーに確認することもあります。
その仕事に必要な人や技術を組み合わせながら、一つの形にしていきます。
最初から全部分かる仕事ばかりではありません。
むしろ、分からないところがあるから考えます。
確認します。
試します。
うまくいかなければ修正します。
そして、2回目、3回目になると、最初には見えなかったことが少しずつ見えてきます。
段取りが変わり、判断が早くなり、加工方法も改善されていきます。
この積み重ねが、製造業の経験だと思います。
ただ同じ作業を繰り返すだけではなく、考えながらつくる。
つくったものを見て、また考える。
その繰り返しの中で、仕事は少しずつ深くなっていきます。
考えて、つくる。
そして、また考える。
だから、ものづくりは面白いのだと思います。