コミュニケーション不足という言葉の違和感
「コミュニケーション不足ですね」
よく聞く言葉です。
もちろん、本当に情報共有が足りていない場合もあります。しかし私は、この言葉ですべてを説明しようとすると、本質を見失うことがあるように感じています。
何時間も話し合えば解決するのでしょうか。
食事に行けば深まるのでしょうか。
雑談を増やせば理解し合えるのでしょうか。
実際には、そう単純ではありません。
同じ時間を過ごしても、自然と理解が深まる相手もいれば、どれだけ話しても平行線のままという相手もいます。
仕事の考え方、価値観、判断基準、優先順位。
人それぞれ違うからです。
そして人間である以上、どうしても「合う」「合わない」は存在します。
(株)アリスは、ものづくりにおいて再現性を大切にしています。
これは人との関わり方にも少し似ていると思います。
無理に全員が同じ方向を向こうとしたり、全員と深く理解し合おうとしたりすることは、現実的ではありません。
それよりも、お互いの違いを認識したうえで、どのような役割分担が最も機能するのかを考えるほうが建設的な場合があります。
私は以前、「好き嫌いで判断してはいけない」と考えていました。
感情を排除することが正しいと思っていたのです。
しかし実際には、人は感情を持つ存在です。
どれだけ理屈を並べても、相手を理解したいと思う気持ちがなければ、コミュニケーションは深まりません。
逆に、多少考え方が違っていても、理解しようとする気持ちがあれば関係は築かれていきます。
だからこそ大切なのは、「好き嫌いをなくすこと」ではなく、「感情が存在することを認めること」ではないかと思います。
全員と無理に分かり合おうとするのではなく、相性を含めて組織を考える。
ある仕事はこの人に任せる。
この役割は別の人が担当する。
そうした判断も組織運営の一つです。
ものづくりの現場でも、すべての設備に同じ役割を求めることはありません。それぞれの特性を理解し、最も力を発揮できる場所で活用します。
人も同じではないでしょうか。
コミュニケーション不足という言葉で片付けるのではなく、価値観や相性、役割の違いまで含めて考える。
そのほうが、お互いに無理がなく、結果として良い仕事につながることもあります。
(株)アリスは、理想論として全員が完全に理解し合う組織を目指すのではなく、それぞれの違いを認めながら、成果につながる関係性を築いていくことを大切にしています。