神を祀ったのは、神主だけではない
2013.07.25
神社を見ると、私たちはどうしても神様や神主に目を向けます。
しかし少し考えると、祭祀は一人ではできません。
器が必要です。
酒が必要です。
供え物が必要です。
建物が必要です。
火を扱う人も必要です。
壊れれば直す人も必要です。
『日本書紀』の崇神天皇の記事では、大田田根子が大物主大神を祀る祭主となる一方で、
伊香色雄に命じ、物部八十手が祭神のための物を作ったと記されています。
ここには二つの仕事があります。
祈る人。
そして、祈るための物を作る人。
どちらか一方だけでは祭祀は成立しません。
後の石上神宮の記事にも、楯部、弓削部、矢作部、玉作部など、さまざまな職能集団が登場します。
古代の祭祀は、宗教だけの世界ではなかったのではないでしょうか。
木工。
金属加工。
織物。
玉作り。
酒造り。
物流。
保管。
そこには当時のさまざまな技術が集まっています。
神を祀る場所とは、同時に技術が集まる場所でもあった。
そう考えると、神社の見え方も少し変わります。
立派な祭具を見たとき、その向こうには、それを作った人がいる。
社殿を見れば、木を切り、削り、組んだ人がいる。
何百年、何千年たっても残るのは、神様の名前だけではありません。
人の手で作られた物も残ります。
祭祀を支えていたのは、表に名前の出る人だけではなく、ものを作る無数の人たちだった。
古代の歴史を考えるとき、私はその人たちの姿も見てみたいと思います。
新着記事
人気記事
カテゴリー
アーカイブ