田村麻呂は、いつから超人になったのか
2014.03.01
史料に出てくる坂上田村麻呂と、
伝説の田村麻呂。
この二人は同じ人物ですが、
だんだん別人のようになっていきます。
実在した田村麻呂は、
律令国家の軍人です。
東北へ派遣され、
アテルイやモレの時代を生きました。
しかし後世の物語では、
田村麻呂は全国を駆け回ります。
鬼を退治する。
山賊を退治する。
寺を建てる。
神社を建てる。
神仏の加護を受ける。
ほとんど超人的な英雄になっていきます。
鈴鹿御前や立烏帽子の物語が盛んに語られるようになるのも、田村麻呂の死後、
何百年も経ってからです。
三重県立斎宮歴史博物館は、立烏帽子の物語が『太平記』などを通して中世以降に
語られるようになったことを指摘しています。
つまり、
史料の人物
↓
記憶の人物
↓
物語の英雄
と変化していった。
これは田村麻呂だけではありません。
歴史上の人物は、後世の人々によって何度も作り直されます。
困難な時代には強い英雄になる。
怖い場所では鬼を倒す守護者になる。
地域では神になる。
そして何百年も経つと、
どこまでが本人で、
どこからが土地の人々が付け加えた物語なのか、
境界が見えなくなっていきます。
だから伝承を調べる時、
「本当か、嘘か」
だけでは足りません。
いつ生まれた伝承なのか。
誰が語ったのか。
その時代、その土地では何が必要だったのか。
そこまで見る。
すると伝説は、
古代の出来事そのものを教えてくれなくても、
その後千年間、人々がその人物をどう見続けたのかを教えてくれます。
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