ChatGPTソラ先生と学ぶ!中級者のためのAI実践講座【第35回】ChatGPTでなぜなぜ分析を深める方法|表面的な原因から仕組みの問題まで掘り下げる実践講座
こんにちは、ソラ先生です。
前回は、ChatGPTを使って品質不良の発生傾向を分析し、パレート図や層別分析によって重点的に改善する問題を見つける方法を学びました。
今回は、そこで見つかった問題について、さらに深く考えていきましょう。
テーマは「なぜなぜ分析」です。
皆さんは、仕事で問題が発生したとき、こんな経験はありませんか?
「担当者の確認不足が原因だと説明された」
「注意するよう指示したのに、同じ問題がまた発生した」
「原因を調べたつもりなのに、対策が毎回同じになる」
「なぜを繰り返しているうちに、何を調べているのか分からなくなった」
「原因分析の結果は立派なのに、現場の問題が改善されない」
問題が発生したとき、目の前の現象を修正することは大切です。
しかし、なぜその問題が発生したのかを理解しなければ、同じ問題が繰り返される可能性があります。
そこで使われる方法の一つが、なぜなぜ分析です。
ChatGPTは、問題を整理し、原因の候補を広げ、質問を組み立て、必要な証拠や検証方法を考える手助けができます。
ただし、AIに「なぜ」を5回繰り返してもらうだけでは、本当の原因が分かるわけではありません。
今回は、**「問題を具体化する → 発生の仕組みを調べる → 原因の候補を整理する → 証拠で確かめる → 対策を考える → 効果を検証する」**という流れを学びましょう。
1.なぜなぜ分析とは何でしょうか?
なぜなぜ分析は、発生した問題について「なぜそうなったのか」と問いかけ、原因を段階的に掘り下げる方法です。
例えば、製造現場で寸法不良が発生したとします。
最初の質問は、
「なぜ寸法不良が発生したのか?」
です。
ここで、
「加工中に工具の位置がずれていたから」
という仮説が出てきたとします。
次に、
「なぜ工具の位置がずれていたのか?」
と考えます。
さらに、その原因を調べていきます。
こうした質問を繰り返すことで、最初には見えていなかった問題を発見できる場合があります。
しかし、注意したいことがあります。
「なぜ」を繰り返せば、必ず正しい原因にたどり着くわけではありません。
例えば、最初の回答が間違っていれば、その先の分析も間違った方向へ進んでしまいます。
そのため、各段階で確認できた事実と、まだ確認していない仮説を区別することが重要です。
なぜなぜ分析は、原因らしい説明を作る方法ではありません。発生した現象を、確認できる事実によって理解していくための方法です。
2.「なぜ」を5回繰り返せばよい?
なぜなぜ分析は、一般に「5 Whys」とも呼ばれています。
しかし、必ず5回質問すればよいという意味ではありません。
例えば、2回の質問で原因が明確になる問題もあるでしょう。
一方、5回質問しても、原因が分からない場合があります。
さらに、一つの問題に複数の原因が関係している場合もあります。
そのため、質問の回数よりも、どのような情報を確認できたのかが重要です。
例えば、
「なぜ加工寸法が大きくなったのか?」
「工具の摩耗が関係している可能性がある」
ここまでは仮説です。
そこで、
「工具交換前後で寸法はどう変化したのか?」
「実際に工具の摩耗状態を確認したのか?」
と質問します。
こうして、説明の根拠を確認していきます。
実践プロンプト①
「製造現場で寸法不良が発生しました。なぜなぜ分析を行いたいので、最初に問題を具体化する質問をしてください。原因を推測で断定せず、各段階で確認すべき証拠も整理してください」
3.実践例|加工寸法が突然、規格外になった
ここからは、具体的な事例で考えてみましょう。
ある工場で、樹脂製部品をマシニングセンタで加工しています。
図面寸法は、
20.00±0.05mm
です。
つまり、許容される範囲は19.95mmから20.05mmです。
加工開始直後の製品は、20.00mm付近でした。
しかし、加工を続けているうちに寸法が変化し、後半の製品では20.08mmという測定値が確認されました。
この場合、20.08mmは規格上限を超えています。
まず、問題を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 樹脂製の加工部品 |
| 要求寸法 | 20.00±0.05mm |
| 加工開始直後 | 20.00mm付近 |
| 加工後半 | 20.08mmを確認 |
| 発生した問題 | 規格上限を超える寸法不良 |
| 原因 | 未確認 |
※これは説明用の架空事例です。
ここで、すぐに工具摩耗が原因だと判断してよいでしょうか。
まだ分かりません。
工具の状態が影響している可能性もあります。
設備の温度変化が関係しているかもしれません。
また、材料や測定条件の違いが影響している可能性もあります。
そこで、原因の候補を整理していきます。
4.最初に発生した現象を正確に確認する
原因を調べる前に、まず発生した現象を確認しましょう。
例えば、「寸法が徐々に大きくなった」と説明された場合です。
本当に徐々に変化していたのでしょうか。
加工開始から何個目で変化が始まったのでしょうか。
一定の割合で変化したのでしょうか。
それとも、ある時点から急に変わったのでしょうか。
こうした違いは、原因を検討する際の重要な情報になります。
例えば、次のような架空の測定結果があったとします。
| 加工順序 | 測定寸法 |
|---|---|
| 1個目 | 20.00mm |
| 5個目 | 20.01mm |
| 10個目 | 20.02mm |
| 15個目 | 20.04mm |
| 20個目 | 20.06mm |
| 25個目 | 20.08mm |
このデータでは、加工順序が進むにつれて寸法が大きくなる傾向が見られます。
しかし、測定結果だけでは、その原因は分かりません。
そこでChatGPTに相談します。
実践プロンプト②
「加工を続けるにつれて、寸法が20.00mmから20.08mmへ増加しています。この傾向から考えられる原因の候補を整理してください。ただし、工具、設備、材料、測定などの可能性を比較し、現時点で原因を確定しないでください」
5.悪いなぜなぜ分析の例
ここで、原因分析がうまく進まない例を考えてみましょう。
問題:寸法不良が発生した。
なぜ①
「作業者が寸法を確認していなかったから」
なぜ②
「作業者の注意が不足していたから」
なぜ③
「品質意識が低かったから」
なぜ④
「教育が十分ではなかったから」
なぜ⑤
「教育体制に問題があったから」
そして、対策として、
「作業者への教育を実施する」
と決めたとします。
一見すると、原因を深く考えているように見えます。
しかし、この分析には問題があります。
そもそも、作業者が寸法を確認していなかったことは、事実なのでしょうか。
寸法を測定していれば、不良を防げたのでしょうか。
作業者がどのような手順で仕事をしていたのか確認したのでしょうか。
教育が不足していたことを示す証拠はあるのでしょうか。
これらが確認できていなければ、推測をつなげただけの分析になってしまいます。
なぜなぜ分析で避けたいのは、原因を探すつもりが、誰かの責任を探す作業になってしまうことです。
6.人のミスで終わらせないためには?
例えば、工具の補正値を設定し忘れたことが確認されたとします。
この場合、設定忘れという事実は重要です。
しかし、それだけで分析を終える必要はありません。
例えば、次のようなことを確認できます。
補正値を設定する手順は明確だったのか。
設定後に確認する仕組みはあったのか。
補正値を入力する画面は分かりやすかったのか。
変更前の値と変更後の値を確認できたのか。
作業が中断された場合、どこから再開するか分かるようになっていたのか。
こうしたことを調べることで、同じミスが発生しにくい仕組みを考えられます。
ただし、人の操作が関係しているからといって、必ず手順や管理体制に問題があると決めつける必要もありません。
実際に何が起きたのか確認することが大切です。
実践プロンプト③
「工具補正値の設定忘れが確認されました。作業者の注意不足だけで分析を終えず、作業手順、表示方法、確認方法、作業環境、変更管理などについて、追加で確認すべきことを整理してください」
7.原因は一つとは限らない
ここで、重要なことがあります。
実際の問題では、複数の要因が同時に関係している場合があります。
例えば、寸法不良について、
工具の摩耗。
設備の温度変化。
材料の変形。
測定方法の違い。
こうした複数の条件が影響しているかもしれません。
また、発生した原因と、不良品が次工程へ流れてしまった原因が異なることもあります。
例えば、加工中に寸法が変化したとしても、適切な間隔で測定していれば、規格外品の発生や流出を減らせた可能性があります。
この場合、
「なぜ寸法が変化したのか」
と、
「なぜ寸法の変化を早く発見できなかったのか」
は、別の問題です。
そこで、原因分析を二つの方向から考える方法があります。
発生原因
なぜ問題が発生したのか。
検出・流出に関する原因
なぜ問題を早期に発見できなかったのか、あるいはなぜ次工程やお客様へ流出したのか。
ChatGPTには次のように質問します。
実践プロンプト④
「加工寸法が規格外になった問題について、発生原因と、異常を早期に検出できなかった原因を分けて考えてください。それぞれについて、確認すべき事実と原因の候補を整理してください」
8.「なぜ」の答えを、証拠で確認する
例えば、寸法が徐々に大きくなった原因として、工具摩耗が疑われたとします。
では、何を調べればよいでしょうか。
例えば、
工具の使用時間。
加工数量。
工具の摩耗状態。
加工面の変化。
工具交換前後の寸法。
同じ条件で再加工した結果。
こうした情報です。
ただし、工具交換後に寸法が改善したとしても、工具摩耗だけが唯一の原因だったと断定できるとは限りません。
工具交換の際に、補正値の変更や設備の停止など、ほかの条件も変化している可能性があるからです。
そこで、どの条件が変化したのかを記録しながら確認します。
実践プロンプト⑤
「寸法不良の原因として工具摩耗が疑われています。工具摩耗が実際に寸法変化へ影響しているか検証するために、測定する項目、比較条件、試験方法を整理してください」
このように、仮説を検証できる形へ変えることが重要です。
9.なぜなぜ分析と特性要因図を組み合わせる
問題の原因候補が多い場合、なぜなぜ分析だけでは整理しにくくなることがあります。
そのようなときには、特性要因図を使う方法があります。
特性要因図は、問題へ影響する可能性がある要因を、分類して整理するための図です。
魚の骨のような形で表すことから、フィッシュボーン図とも呼ばれます。
製造業では、例えば次のような分類を使用する場合があります。
人(Man)
作業方法、教育、確認手順など。
設備(Machine)
設備の状態、温度、工具、固定方法など。
材料(Material)
材料グレード、ロット、保管状態など。
方法(Method)
加工順序、切削条件、作業手順など。
測定(Measurement)
測定器、測定方法、測定環境など。
環境(Environment)
室温、湿度、作業環境など。
これらの分類は、原因を考えるための整理方法です。
すべての分類に必ず原因があるという意味ではありません。
ChatGPTには次のように依頼できます。
実践プロンプト⑥
「加工寸法が徐々に大きくなる問題について、人、設備、材料、方法、測定、環境の視点から原因候補を整理してください。そのうえで、優先して確認すべき仮説を選び、なぜなぜ分析を進めるための質問を考えてください」
10.再発している問題では、過去の対策も調べる
例えば、同じ寸法不良が3か月前にも発生していたとします。
当時は、工具交換を対策として実施しました。
しかし、今回も同じような問題が発生しています。
この場合、
「なぜ工具交換をしなかったのか」
と考える前に、過去の対策について確認する必要があります。
例えば、
工具交換の基準は決められていたのか。
実際に運用されていたのか。
前回の原因分析は正しかったのか。
工具交換後に効果を確認したのか。
今回の問題は、前回と同じ条件で発生しているのか。
こうしたことです。
もしかすると、前回の対策が十分ではなかったのかもしれません。
あるいは、今回は別の原因によって似た現象が発生している可能性もあります。
実践プロンプト⑦
「3か月前にも同じような寸法不良が発生し、工具交換を対策として実施しました。今回再発したため、前回の原因分析、対策の実施状況、効果確認、今回との条件の違いを調べたいです。確認項目を整理してください」
11.原因と対策が対応しているか確認する
なぜなぜ分析によって、原因の候補が見つかったとします。
ここで、対策を考えます。
しかし、原因と対策が対応していなければ、問題は改善しない可能性があります。
例えば、寸法変化の主な原因が設備の温度変化だったとします。
それなのに、工具交換の頻度を増やす対策を実施しても、十分な効果が得られないかもしれません。
一方、工具摩耗が主な原因であると確認された場合には、工具交換基準や使用条件を見直すことが考えられます。
このように、確認できた原因に対して、どのような対策が有効なのか検討する必要があります。
ChatGPTには次のように相談します。
実践プロンプト⑧
「寸法不良について複数の原因候補が見つかりました。各原因に対して、どのような対策が考えられるか整理してください。原因が未確認のものについては、対策を確定せず、先に検証する方法を考えてください」
12.対策を実施しただけで、問題は解決した?
例えば、工具交換の基準を変更したとします。
新しいルールを作成し、作業者へ説明しました。
それで問題は解決したのでしょうか。
まだ分かりません。
新しい基準が実際に守られているか確認する必要があります。
また、寸法不良が減ったかどうかも測定する必要があります。
例えば、改善前後で次のような比較を行います。
| 項目 | 改善前 | 改善後 |
|---|---|---|
| 工具交換基準 | 従来基準 | 新基準 |
| 寸法測定 | 実施 | 実施 |
| 不良率 | 記録済み | 比較して確認 |
| 寸法推移 | 記録済み | 比較して確認 |
| 再発状況 | 発生あり | 継続観察 |
重要なのは、対策を実施したという事実と、対策が有効だったという判断を区別することです。
実践プロンプト⑨
「工具交換基準を変更しました。この対策が実際に寸法不良の低減へつながったか確認したいです。改善前後の寸法推移、不良率、工具使用時間、ほかの条件の変化を比較する方法を考えてください」
13.原因分析を会議で進める場合
なぜなぜ分析を行うとき、一人で考えるだけでは見落としが発生する可能性があります。
例えば、加工担当者は、加工条件について詳しい情報を持っています。
検査担当者は、測定時の問題に気づいているかもしれません。
設備担当者は、機械の状態について別の情報を持っている可能性があります。
こうした情報を持ち寄ることで、原因分析が進む場合があります。
ただし、多くの人が集まれば、必ず正しい結論になるわけではありません。
例えば、経験豊富な人の意見が強く影響し、ほかの可能性を十分に検討できなくなることも考えられます。
そこで、確認できた事実と意見を分けながら議論する方法があります。
ChatGPTには次のように依頼できます。
実践プロンプト⑩
「寸法不良の原因分析を、加工、検査、設備の担当者で行いたいです。各担当者が持っている情報を整理し、事実と仮説を分けながら議論できる会議の進め方を考えてください」
14.AIにあえて反対意見を出してもらう
原因分析では、最初に有力だと思った仮説へ意識が集中することがあります。
例えば、
「工具摩耗が原因だ」
と考え始めると、その仮説を支持する情報ばかり集めてしまう可能性があります。
そこで、ChatGPTに別の視点を求めます。
実践プロンプト⑪
「私は工具摩耗が寸法不良の主な原因だと考えています。しかし、この仮説が間違っている可能性も検討してください。設備の温度、材料の状態、固定方法、測定方法など、別の原因候補と、それぞれを確認する方法を整理してください」
このように、反対の可能性を考えることで、見落としていた条件が見つかる場合があります。
ただし、AIが示した別の原因候補も仮説です。
実際の測定や記録によって確認する必要があります。
15.製造業以外でもなぜなぜ分析は使える
今回紹介した方法は、製造業だけに限りません。
例えば、会社の事務作業で見積書の提出が遅れたとします。
この場合、
「担当者の仕事が遅かったから」
と判断してしまうかもしれません。
しかし、詳しく調べると、別の問題が見つかる可能性があります。
お客様から必要な情報が届いていなかった。
社内で確認する担当者が決まっていなかった。
見積に必要な材料価格の確認が遅れていた。
依頼内容の変更が共有されていなかった。
こうした原因が考えられます。
そこで、何が起きていたのかを時系列で確認します。
さらに、
「なぜ必要な情報が不足していたのか」
「なぜ不足に気づかなかったのか」
「なぜ確認が遅れたのか」
と考えます。
ただし、最初から原因を決めつけず、実際の記録を確認することが重要です。
ChatGPTには次のように質問できます。
実践プロンプト⑫
「見積書の提出が予定より3日遅れました。担当者の注意不足と決めつけず、依頼内容、必要情報、承認手順、社内共有、外部への確認などの観点から原因を調べるための質問を考えてください」
16.今日の実践課題|寸法不良の原因を掘り下げよう
今回は、ChatGPTを使って、架空の寸法不良についてなぜなぜ分析を行う練習です。
ステップ① 問題を具体的にする
ChatGPTに次のように質問します。
「樹脂部品の寸法が、加工開始直後は20.00mmでしたが、加工後半では20.08mmになりました。図面公差は20.00±0.05mmです。問題を具体的に整理してください」
ステップ② 原因の候補を広げる
「設備、工具、材料、加工方法、測定、環境の観点から、考えられる原因候補を整理してください」
ステップ③ なぜなぜ分析を始める
「まず工具摩耗の可能性について、なぜなぜ分析を進めてください。ただし、各段階で確認できた事実と、未確認の仮説を分けてください」
ステップ④ 別の仮説も考える
「工具摩耗以外に、設備温度や測定条件などが影響している可能性を検討してください」
ステップ⑤ 証拠を確認する方法を考える
「各原因候補について、確認に必要な記録、測定、比較試験を整理してください」
ステップ⑥ 発生原因と検出上の問題を分ける
「なぜ寸法が規格外になったのかと、なぜ規格外になる前に異常を発見できなかったのかを分けて分析してください」
ステップ⑦ 対策を考える
「確認された原因に対して実施できる対策を整理してください。未確認の原因については、先に必要な検証を示してください」
ステップ⑧ 効果を確認する
「対策後に寸法不良が減ったか確認するため、測定する項目と比較条件を考えてください」
ステップ⑨ 分析結果を報告書へまとめる
「発生した問題、確認済みの事実、原因の仮説、検証結果、確定した原因、対策、効果確認を整理できる報告書を作成してください。原因が未確定なら、その状態が分かるようにしてください」
この練習では、必ず一つの原因へたどり着く必要はありません。
どこまで確認できているのかを理解し、次に必要な調査を考えることが目的です。
17.なぜなぜ分析の結果を、仕事の仕組みへ反映する
原因分析によって、例えば測定タイミングに問題があったと分かったとします。
その場合、作業者に注意を促すだけでは、十分な対策にならない可能性があります。
例えば、
測定するタイミングを明確にする。
測定結果を記録する方法を統一する。
異常が見つかった場合の対応を決める。
必要な測定器を使用しやすい場所へ配置する。
こうした仕組みの改善が考えられます。
もちろん、どの方法が適切かは、実際の現場の条件によって異なります。
また、対策を増やしすぎることで、作業が複雑になり、別の問題が発生する場合もあります。
そのため、対策の効果だけでなく、運用のしやすさも確認する必要があります。
重要なのは、原因分析の結果を、実際の仕事の進め方へ反映することです。
18.ChatGPTによる原因分析の限界
ChatGPTは、原因の候補を整理し、なぜなぜ分析を進め、検証方法や対策を考える支援ができます。
しかし、現場で何が起きていたのかを、AIだけで確認することはできません。
例えば、工具摩耗が原因だと説明されたとしても、実際の工具を確認していなければ、その説明は仮説のままです。
また、設備の温度変化や測定誤差についても、実際の記録や測定が必要です。
そのため、AIが作成した原因分析を、そのまま正式な原因調査結果として扱うことは適切ではありません。
さらに、原因分析では、AI自身が最初の仮説に引っ張られ、もっともらしい説明をつなげてしまう可能性もあります。
そこで、各段階で確認できる証拠を求めることが重要です。
AIは「なぜ」を考える手助けができます。しかし、実際の原因を確認するには、現場の事実が必要です。
19.問題を深く理解するために大切なこと
最後に、原因分析の目的について考えてみましょう。
仕事で問題が発生すると、早く解決したいと考えるものです。
そのため、最初に思いついた原因をもとに、すぐに対策を実施したくなることがあります。
しかし、原因が違っていれば、対策を行っても問題が繰り返される可能性があります。
一方、原因を調べることだけに時間をかけすぎても、必要な対応が遅れてしまう場合があります。
そのため、状況に応じて、不良品の流出防止などの暫定的な対応と、原因を調べる活動を分けて考える必要があります。
例えば、寸法不良が発生した場合です。
まず、対象となる製品を確認し、必要な検査や出荷判断を行う。
そのうえで、実際に何が起きたのか調べる。
原因を確認し、適切な対策を実施する。
さらに、同じ問題が発生していないか確認する。
こうした流れが重要です。
なぜなぜ分析は、責任を追及するためだけの方法ではありません。
問題を理解し、次の仕事をより良くするための方法です。
まとめ|「なぜ」を繰り返すより、事実を積み重ねる
今回は、ChatGPTを使ってなぜなぜ分析を深める方法を学びました。
重要なポイントは、次のとおりです。
- なぜなぜ分析を始める前に、発生した問題を具体的にする。
- 「なぜ」を5回繰り返すこと自体を目的にしない。
- 確認できた事実と、まだ確認していない仮説を区別する。
- 担当者の注意不足だけで分析を終わらせない。
- 発生原因と、異常を検出できなかった原因を分けて考える。
- 複数の原因が関係している可能性も検討する。
- 原因の候補について、必要な記録や試験で確認する。
- 過去に同じ問題が発生していれば、以前の対策も振り返る。
- 確認された原因に対応する対策を考える。
- 対策を実施した後は、実際に問題が改善したか確認する。
なぜなぜ分析というと、問題に対して何度も「なぜ」と質問する方法だと思われるかもしれません。
しかし、質問を繰り返すだけでは、本当の原因が分かるとは限りません。
重要なのは、それぞれの質問に対して、確認できる事実を積み重ねることです。
そして、原因が分かったら、実際の仕事の進め方を改善することです。
ChatGPTは、原因の候補や質問を整理し、異なる視点を提示することができます。
しかし、実際の現場で何が起きたのかを確認することはできません。
だからこそ、AIと人間の役割を組み合わせることが大切です。
良い原因分析とは、もっともらしい説明を完成させることではありません。問題が発生した仕組みを理解し、再び同じ問題が起きにくい状態へ改善することです。
AIと一緒に考え、現場で調べ、必要な試験を行う。
そして、確認した結果をもとに改善し、効果を確かめる。
その積み重ねが、中級編で身につけていきたい実践的なAI活用です。
次回【中級編・第36回】
「ChatGPTで再発防止策を設計する方法|暫定対策・恒久対策・効果確認を実務へつなげる実践講座」
次回は、原因分析によって見つかった問題を、どのように再発防止策へつなげるのか学びます。
その場で不良を止めるための暫定対策と、同じ問題が起きにくい仕組みをつくる恒久対策を区別し、実際に運用できる改善方法と効果確認の進め方をChatGPTと一緒に考えていきましょう。