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昔の日本人は、完成させすぎなかった

2013.10.31

今は、物を作るときに「完成」が大切です。

出来上がったら終わり。

そこから先は、使うだけ。

でも昔の日本人は、少し違った。

家も。

庭も。

道具も。

暮らしも。

使いながら育てていくものだった。

新しい家を建てても、それで終わりではない。

傷んだら直す。

家族が増えれば変える。

暮らし方が変われば、また手を入れる。

庭も同じです。

木を植えたら終わりではない。

伸び方を見る。

枝を切る。

石や苔とのバランスを見る。

何年もかけて、その場所らしい形になっていく。

道具もそう。

新品が一番いいとは限らない。

使い込むうちに手になじむ。

削る。

研ぐ。

直す。

少しずつ、自分の道具になっていく。

私は、日本人が「完成」を一つの終点として見ていなかったところが面白いと思っています。

最初から完璧に決めすぎない。

使ってみる。

合わなければ直す。

足りなければ足す。

いらなければ減らす。

暮らしに合わせて変わっていく余地を残しておく。

これは、さっきの「余白」ともつながります。

全部を決めないから、後から変えられる。

全部を作り込みすぎないから、長く付き合える。

私は、昔の日本人にとって大切だったのは、

完成することより、続いていくこと

だったのだと思っています。

だから古い家には、何世代もの手が入っている。

古い道具には、直した跡がある。

古い町には、少しずつ違う時代が重なっている。

それでいい。

むしろ、それがいい。

時間が加わることで、初めて生まれるものがある。

私は、そこにも日本らしさがあると思っています。

作って終わりではない。
使いながら育てる。

昔の日本人は、物も暮らしも、自分たちと一緒に歳を重ねさせていたのだと思います。

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