歴史に埋もれた二人の女性。山吹御前と葵御前が見た木曾義仲の運命【5】
2015.02.18
そして、巴御前の本当の謎へ
ここまで調べてきて、一つ気になることがある。
巴御前は、義仲の最後の戦場から去った。
『平家物語』は、その場面を鮮やかに描いている。
しかし、なぜ巴は生き延びることができたのだろう。
義仲が逃がそうとしたからだろうか。
武将としての能力が高かったからだろうか。
それとも、彼女には、ほかに生き延びなければならない理由があったのだろうか。
山吹御前の伝承をたどると、戦場を離れた女性が、その後も各地を移動していたという物語に出会う。
巴御前にも、戦いの後の人生を語る伝承が数多く残されている。
その中には、和田義盛との関係を語るものもある。
出家して義仲の菩提を弔ったという話もある。
また、まったく異なる土地で晩年を迎えたという伝承も存在する。
それらは、どのように生まれたのだろう。
巴御前は、本当に義仲の死後も長く生き続けたのだろうか。
もしそうだとすれば、彼女は何を思い、どのような人生を選んだのだろう。
私たちは、まだその答えを知らない。
けれども、一つの戦いが終わったからといって、生き残った人間の人生まで終わるわけではない。
むしろ、その後にこそ、これまでとは異なる環境で生きていくための、新しい判断が求められることもある。
戦場を駆けた女武者が、武具を脱いだ後にどのような人生を歩んだのか。
次回は、巴御前の後半生に残された謎へと踏み込んでみたい。
義仲を失った巴御前は、その後、誰と生き、何を守ろうとしたのだろうか。
そこには、戦場での勇ましい姿とは違う、一人の女性としての巴御前が隠されているのかもしれない。
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