特別な才能より、続けてきた経験を大切にしたい。
仕事をしていると、器用な人や覚えるのが早い人に出会うことがあります。
初めてなのに上手にできる。
説明するとすぐ理解する。
自分よりずっとセンスがあるように見える。
そんな人を見ると、
「自分には向いていないのではないか」
と思うこともあるかもしれません。
私自身は、仕事の多くは最初の器用さだけで決まるものではないと思っています。
もちろん、人によって得意不得意はあります。
覚える速さも違います。
ただ、ものづくりの仕事では、実際に何度経験したかが力になることが多々あります。
例えば機械加工。
工具の知識を覚えることはできます。
CAD/CAMの操作方法を学ぶこともできます。
でも、材料の違いや、加工中の変化、寸法が安定しにくい形状などは、実際の仕事を経験することで分かることがあります。
仕上げでも同じです。
何度も製品へ触れているうちに、力加減や傷の付きやすい場所が分かってきます。
営業事務でも、多くの案件を経験することで、確認したほうがよいことを先に考えられるようになります。
そういう力は、短い期間だけを見れば目立たないかもしれません。
でも、一年、二年、三年と続けていくと大きな差になっていきます。
40代の加工経験者が持っている力も、私はそこにあると思っています。
長年仕事をしてきた中で、
うまくいったこと。
失敗したこと。
加工条件を変えたこと。
難しい図面を前に考えたこと。
そうした一つひとつが、その人の判断材料になっています。
未経験から始める人も同じです。
今は何も分からなくても、今日経験した一つは明日の自分に残ります。
私は、最初から特別な才能を持っていることよりも、目の前の仕事を続け、経験を積み重ねてきたことを大切にしたいと思っています。
一つひとつは平凡な仕事でも、何年も繰り返して磨いてきたものは、もうその人だけの力です。
平凡を磨き上げた先にあるものを、私は技術と呼ぶのではないかと思っています。