感覚を磨くという知性
西洋では、
「考えること」によって世界を理解しようとしてきた。
論理、
分析、
哲学、
数式、
理論。
そういった知性を積み重ねながら、
文明や科学を発展させてきました。
一方で東洋、
特に日本では、
「感じること」を通じて世界を理解しようとしてきたのだと思います。
腹が据わる。
肚で決める。
腑に落ちる。
気が合う。
間が悪い。
どれも、
頭だけではなく、
身体感覚そのものを知性として使っている言葉です。
つまり昔の日本人は、
身体全体で考えていた。
それは単なる精神論ではなく、
長い経験の積み重ねから生まれた感覚なのだと思います。
研究開発現場から生産現場までのものづくりでも、
この感覚は非常に重要です。
例えば機械加工でも、
加工音が少し違う。
刃物の当たり方に違和感がある。
切粉の出方がおかしい。
材料の反り方がいつもと違う。
接着の馴染み方が微妙に違う。
数値化しきれない、
そういった感覚が、
不良や問題の前兆を教えてくれることがあります。
逆に、
頭だけで考えすぎると、
現場で起きている本当の違和感に気づけなくなる。
現代は、
情報、
理屈、
正解、
効率、
比較、
言語化、
そういったものに囲まれています。
もちろんそれらは重要です。
ですが、
頭ばかり使い続けることで、
感覚が鈍ってしまうこともあるのだと思います。
本来、
身体は単なる器ではなく、
最初に真実を感じる場所。
頭では「大丈夫」と思っていても、
身体は妙な疲労感や違和感として、
何かを教えてくれていることがあります。
そして、
本当に優れた職人さんやエンジニアほど、
この感覚を大切にしています。
理論だけではなく、
現場感覚を持っている。
数値だけではなく、
空気感や変化も感じ取っている。
だから判断が深い。
(株)アリスでも、
試作品製作や研究開発現場でのものづくりを通じて、
論理と感覚、
理屈と現場感覚、
その両方を大切にしていきたいと考えています。
これからの時代に本当に必要なのは、
単なる情報量ではなく、
「違和感に気づける感覚」
なのかもしれません。