治具はすべて透明にする必要があるのか|必要部分だけ透明化する設計判断
透明治具を検討するとき、「治具全体を透明樹脂で製作する」という方法が最適とは限りません。
治具には、位置決め、固定、案内、検査、組立補助など、それぞれの役割があります。その中で透明性が必要になるのは、多くの場合、内部の状態を観察する部分です。
そのため、(株)アリスでは「どこまで透明である必要があるのか」を確認してから製作方法を考えます。
例えば、治具全体のうちワークの位置を確認する部分だけ透明性が必要であれば、その部分をPCやPMMAで製作し、それ以外を一般的な樹脂や金属で構成することもできます。
こうすることで、透明加工が必要な面積や部品点数を減らせる場合があります。
これはコストだけの問題ではありません。
透明樹脂と一般的なエンジニアリングプラスチック、アルミなどでは、剛性、耐熱性、耐摩耗性、加工性が異なります。透明性を必要としない部分までPCやPMMAに置き換えることで、本来必要だった治具性能を下げてしまう場合もあります。
反対に、内部形状を複数方向から確認したい場合や、治具内部で起きている現象そのものを観察したい場合には、広い範囲を透明化する意味があります。
つまり、「透明治具にするか、通常治具にするか」という二択ではありません。
必要な観察範囲、治具として必要な剛性、使用温度、摺動の有無、薬品との接触などを整理し、透明材料を使う場所を決めることが重要です。
また、開発初期では全面透明の治具を製作して現象を確認し、原因や動作が把握できた後の実使用治具では通常材料へ変更するという考え方もあります。
透明治具は、完成品そのものではなく「見えないものを見るための検証手段」として大きな価値を持つことがあります。
(株)アリスでは、PCやPMMAの透明切削技術を活かしながら、すべてを透明化するのではなく、目的に対してどの部分を透明にすることが合理的なのかまで含めて検討しています。