使いやすい製品はなぜシンプルに見えるのか|機能美と試作の関係
日常で使う製品には、複雑な機能を持ちながら、外観は驚くほどシンプルにまとめられているものがあります。
こうした製品の形状は、単純に部品を減らした結果ではありません。
誰が使うのか、どのように操作するのか、間違った使い方をしないか、安全に扱えるか。さまざまな条件を考え、必要な要素を残していった結果として、シンプルなカタチになっているケースがあります。
ユニバーサルデザインも、その考え方の一つです。
特定の人だけが使いやすい形状ではなく、できるだけ多くの人が直感的に理解できることを考える。ボタンの位置、持ち手の大きさ、指が掛かる凹み、文字の向きなどにも、使用者への配慮が形として表れます。
しかし、CAD上で成立しているデザインが、実際に使いやすいとは限りません。
画面上では問題なく見えていても、実物にすると「もう少し角を丸くした方が持ちやすい」「この部分は指が入りにくい」「想像していたより大きく感じる」といったことが起こります。
そこで重要になるのが試作です。
3Dデータから実物を製作すると、寸法だけでは判断できなかった大きさ、触感、視認性、操作性を確認できます。必要であれば形状を修正し、もう一度試作することで、設計を実際の使用条件へ近づけていくことができます。
製作方法についても、確認したい内容によって判断が変わります。
外観形状を早く確認するのであれば切削加工が適する場合があります。透明化して内部構造を確認したい場合にはPCやPMMAによる透明切削、複数個を使用して評価したい場合には真空注型などが有効になることもあります。
つまり試作工法は、単純な価格や納期だけで決めるものではありません。
「何を確認するための試作品なのか」を明確にして、その目的に適した方法を選ぶことが重要です。
美しく見え、自然に使える製品ほど、その裏側には多くの検討があります。
(株)アリスでは、そうした設計の意図を実物として確認するための試作を通じて、開発ものづくりを支えています。