ChatGPTソラ先生と学ぶ!中級者のためのAI実践講座【第87回】ChatGPTを使って仕事の判断基準を言語化する方法|経験者の見方・判断する条件・迷った場合の確認先を整理する実践講座
1.はじめに
皆さん、こんにちは。ソラ先生です。
前回は、改善事例を別の仕事へ応用する際に、共通点、条件の違い、試す範囲を整理する方法を学びました。
今回は、経験者が仕事で使っている判断基準を、言葉にする方法を考えます。
「この場合は確認が必要だと分かるが、理由を説明しにくい」
「いつもと違うと感じても、どこを見ているか伝えられない」
「手順は教えたが、条件が変わると相手が迷ってしまう」
経験者の判断には、見ている情報、比較している状態、重視している条件があります。
ChatGPTを使って、それらを具体的な質問で取り出し、他の人が使える説明へ整理しましょう。
なお、この講座に登場する判断、業務、資料、会話は説明用です。実際の社内の出来事や成果を示すものではありません。
2.今回の到達目標
今回の目標は、経験者の判断をすべて単純なルールへ置き換えることではありません。
共有できる条件を明確にし、判断できない場面では必要な確認へ進める資料を作ることです。
次の五つを目指します。
- 判断する場面と対象を絞る。
- 経験者が見ている情報と、その理由を取り出す。
- 正式な基準、経験上の目安、仮説を区別する。
- 条件と行動を対応させ、適用範囲を明確にする。
- 実際の事例で確かめ、迷う条件を修正する。
ChatGPTには、聞き取りの質問、条件の整理、事例比較を手伝ってもらいます。
3.手順と判断基準の違い
手順は、何をどの順番で行うかを示します。
判断基準は、確認した状態に応じて、どう進めるかを考えるための条件です。
例えば、
資料の案件番号を照合する。
という説明は、確認する作業です。
そこへ、
一致していれば次へ進む。不一致なら処理を保留し、正式な対象を確認する。
と加えると、判断と行動がつながります。
手順に沿って作業できても、結果をどう扱うか分からない場合があります。その部分を明確にしましょう。
4.判断する場面を絞る
「仕事の判断基準を教えてください」という問いは、範囲が広すぎます。
具体的な場面を一つ選びます。
例えば、
- 追加確認が必要かを判断する。
- 資料を次の担当へ渡してよいか判断する。
- 通常の手順で進められるか判断する。
- 変更内容を再確認するか判断する。
一つの判断に絞ると、必要な情報と分岐を整理しやすくなります。
5.判断の目的を確認する
同じ資料を見ていても、目的によって確認する項目が変わります。
例えば、受領確認なら、必要な資料が届いたかを見るかもしれません。
一方、作業開始の判断なら、内容がそろい、正式な条件を特定できるかまで確認する必要があります。
まず、
何を判断するために、その情報を見るのか。
を明確にします。
目的が違う判断を、一つの基準へ混ぜないようにしましょう。
6.具体的な一件から聞く
経験者へは、実際の一件を振り返りながら尋ねる方法があります。
例えば、
- 最初に何を見ましたか。
- どの記載が気になりましたか。
- 何と比較しましたか。
- その時点で何が分かっていましたか。
- どの行動を選びましたか。
一般的な説明では省かれる確認も、具体的な事例から取り出せることがあります。
事例を提供できない場合は、練習用の条件を明示して検討します。
7.聞き取りの質問を作るプロンプト例
次の判断について、経験者へ聞く質問を作ってください。
【判断する場面】
[記入]【判断の目的】
[記入]【現在分かっている説明】
[記入]見ている情報、比較対象、気になる状態、選ぶ行動、例外の順で質問を整理してください。
経験者の答えを想像して埋めず、確認する質問だけを示してください。特定の答えへ誘導しない表現にしてください。
8.見ている情報を具体化する
「全体を見て判断する」という説明を、少しずつ分解します。
例えば、
- 案件番号。
- 資料の版。
- 数量。
- 日付。
- 注記。
- 依頼内容との対応。
- 未決定の項目。
どの情報を必ず見るのか、条件によって見る項目は何かを確認しましょう。
すべてを一律に確認するのではなく、判断との関係を整理します。
9.何と比較しているかを確認する
判断には、比較対象がある場合があります。
例えば、
- 正式な依頼内容。
- 現行の仕様。
- 過去に確認した状態。
- 合意した範囲。
- 使用する手順書。
- 現物や測定した記録。
「いつもと違う」という感覚も、何と違うかを聞くと具体化できることがあります。
比較対象が明確でない場合は、そのことも記録します。
10.違和感を観察できる言葉へ変える
例えば、
この依頼は少し気になる。
という感覚があったとします。
聞き取りによって、
数量は確定と書かれているが、添付資料には確認中と記載されている。
という状態を取り出せるかもしれません。
この場合、言語化できたのは「記載の食い違い」です。
違和感そのものを誤りの証拠にせず、何を追加確認する手掛かりかを整理しましょう。
11.基準の出所を分ける
判断の説明には、性質の異なるものが含まれます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 正式な基準 | 現行の仕様や取り決めに示されている |
| 確認済みの運用 | 関係者と確認した進め方 |
| 経験上の目安 | 過去の事例から使っている見方 |
| 判断の仮説 | 役立つ可能性があり、まだ検証していない |
| 未確認 | 根拠や適用範囲が分からない |
経験上の目安を、無条件の正式ルールに変えないことが大切です。
12.数字の境界を勝手に作らない
「多い場合は相談する」という説明を具体化するとき、根拠なく「十件以上」と決めてはいけません。
次を確認します。
- 数値の基準は決まっているか。
- 過去の記録から使っている目安か。
- 数量以外の条件も関係するか。
- 誰が基準を決める必要があるか。
ChatGPTが示す数値も、根拠がなければ提案です。
実際の判断に使う境界は、確認してから記載しましょう。
13.一つの条件だけで決まるかを確認する
判断には、複数の条件が関係することがあります。
例えば、
必要資料が届いている。
だけでは、作業を始められないかもしれません。
- 対象が特定できる。
- 使用する版が分かる。
- 記載に食い違いがない。
- 未決定事項が作業へ影響しない。
といった条件も必要かもしれません。
必要条件と、参考にする情報を分けて整理します。
14.条件を整理するプロンプト例
次の聞き取り結果から、判断に使う条件を整理してください。
【聞き取り結果】
[記入]各条件について、確認する情報、比較対象、判断への関係、根拠、未確認事項を示してください。
正式な基準、確認済みの運用、経験上の目安を区別してください。曖昧な言葉を具体化するために、数値やルールを創作しないでください。
15.説明用の実務例:依頼を通常の手順で進められるか
ここでは、依頼を受けた後、通常の資料作成へ進めるかを判断する場面を考えます。
説明用の仮定として、経験者から次の説明があったとします。
案件と使う資料が特定でき、必要な条件がそろっていれば進める。資料どうしに違いがある場合は、その違いが今回の作業へ関係するかを確認する。
この説明を、確認する情報と行動へ分けていきます。
16.例を判断表へまとめる
説明用の整理例は、次のとおりです。
| 確認した状態 | 次の行動 | 残る確認 |
|---|---|---|
| 対象と使用資料を特定できる | 必要条件の確認へ進む | 条件がそろっているか |
| 対象を特定できない | 対象の確認を依頼する | 正式な案件情報 |
| 必要条件が不足している | 不足内容と影響を整理する | どの作業まで進められるか |
| 資料に食い違いがある | 対象と条件を照合する | 正式な内容と適用範囲 |
これは構成の例です。
実際に進めてよい条件や保留する範囲は、現行の手順と権限に合わせて確認します。
17.判断の理由を短く添える
条件だけでなく、理由を添えると応用しやすくなる場合があります。
例えば、
案件番号を照合する。別の案件の情報を混ぜないため。
という説明です。
ただし、理由が長くなると、作業中に必要な箇所を探しにくくなります。
判断に関わる短い理由と、詳しい事例や背景を分けて配置しましょう。
18.境界の事例を集める
明らかな例だけでは、迷う場面の判断が分かりません。
例えば、
- 一部の情報だけ不足している。
- 数値は一致するが、対象の記載が異なる。
- 古い資料しかないが、変更の有無は不明。
- 通常の範囲に近いが、例外条件が一つある。
こうした境界の事例について、何を追加確認するかを聞きます。
無理に「進める」「止める」の二択へまとめないことが大切です。
19.判断できない状態を正式に残す
判断基準には、次のような結果も含められます。
- 情報不足で判断できない。
- 対象外のため確認が必要。
- 判断する権限がない。
- 基準どうしが食い違っている。
判断できないことは、失敗とは限りません。
何が不足し、どこへ確認するかが分かれば、次の行動へつなげられます。
20.確認先へ伝える情報をそろえる
迷った場合の確認先だけでなく、何を伝えるかも整理します。
例えば、
- 対象案件。
- 判断したいこと。
- 確認できた情報。
- 食い違っている箇所。
- 作業への影響。
- 回答が必要な時期。
質問する側が、すでに何を調べたかも伝えると、確認の重複を減らせます。
ただし、未確認の期限や相手の対応可能時間は勝手に決めません。
21.確認文を作るプロンプト例
次の状況について、判断を求める確認文を作ってください。
【判断したいこと】
[記入]【確認できた情報と根拠】
[記入]【不足・食い違い・対象外の条件】
[記入]【作業への影響】
[記入]対象、判断したい内容、確認結果、不明点、お願いの順でまとめてください。推測を事実として書かず、自分が提案している案と、決定済みのことを区別してください。
22.経験者どうしの違いを比べる
複数の経験者から、違う判断が出ることがあります。
すぐに一方を誤りとせず、次を確認します。
- 同じ目的で判断しているか。
- 見ている資料は同じか。
- 対象や条件の想定が違わないか。
- 重視する影響が異ならないか。
- 参照している基準の版は同じか。
違いの理由が分かれば、基準の不足や、条件による使い分けが見えてきます。
23.意見を多数決だけで基準にしない
多くの人が使っている見方でも、正式な条件と一致するとは限りません。
反対に、一人だけが指摘した条件が重要な場合もあります。
意見の数と、根拠の強さを分けて考えましょう。
ChatGPTが複数の説明をまとめる際にも、「共通する意見」と「正式に採用する基準」を区別させます。
最終的に誰が基準を確認するかも明確にします。
24.判断事例で使えるか試す
整理した基準は、事例へ当てはめて確認します。
最初は、判断結果が確認できている過去事例や、練習用の条件を使えます。
見るのは、次の点です。
- 必要な情報を選べるか。
- 条件の意味を理解できるか。
- 次の行動を選べるか。
- 判断できない場合に確認へ進めるか。
- 経験者と異なる場合、その理由が分かるか。
結果が一致しただけで、理解できたとは限りません。判断理由も確認しましょう。
25.事例の点検を頼むプロンプト例
次の判断基準を、説明用の事例で点検してください。
【判断基準】
[記入]【事例と確認済みの情報】
[記入]各事例について、使う条件、判断できる範囲、追加確認、次の行動を示してください。
基準にない条件が必要な場合は、答えを補わず不足として示してください。もっともらしい正解を作るのではなく、基準の曖昧さや抜けを探してください。
26.数値化できない判断を無理に点数へ変えない
経験者が複数の情報を見比べて判断する場合、すべてを点数にできるとは限りません。
無理に点数化すると、重要な条件が合計点へ埋もれることがあります。
例えば、
- 必ず満たす条件。
- 条件によって重視する情報。
- 確認を求める兆候。
- 経験者の判断が必要な範囲。
へ分ける方法があります。
言語化の目的は、すべてを自動判定にすることではありません。
27.適用範囲と更新する条件を残す
判断基準は、前提が変われば見直しが必要です。
例えば、
- 扱う対象が変わった。
- 仕様や取り決めが変わった。
- 新しい例外が見つかった。
- 基準を使っても判断が分かれた。
- 確認先や役割が変わった。
資料には、対象範囲、根拠、確認日、管理する担当を必要に応じて記載します。
古い目安を、現在も有効な基準として使い続けないようにしましょう。
28.基準全体を点検するプロンプト例
次の判断基準を、共有して使う観点で点検してください。
【対象者と使用範囲】
[記入]【判断基準と根拠】
[記入]次を確認してください。
1.判断する目的が分かるか
2.確認する情報と比較対象が明確か
3.正式基準と経験上の目安を区別しているか
4.条件と行動が対応しているか
5.境界や例外の扱いが分かるか
6.判断できない場合の確認先が分かるか
7.適用範囲と見直す条件が明確か未確認の数値やルールは補わず、必要な確認として示してください。
29.実践演習:10ステップで判断基準を言葉にする
身近な判断を一つ選び、次の順で取り組みましょう。
- 判断する場面を選ぶ。
一つの具体的な場面へ絞ります。 - 目的を書く。
何を判断し、何を守るためかを確認します。 - 具体的な事例を集める。
結果だけでなく、当時の情報を残します。 - 経験者へ聞く。
見た情報、比較対象、選んだ行動を尋ねます。 - 根拠を分ける。
正式基準、運用、経験上の目安、仮説を区別します。 - 条件と行動を対応させる。
どの状態なら何をするかを書きます。 - 境界と例外を確認する。
迷う条件と不足情報を整理します。 - 確認先と伝える内容を決める。
判断できない場合の進め方を残します。 - 事例で試す。
判断結果だけでなく、その理由を確認します。 - 修正して共有する。
適用範囲、根拠、更新する条件を明示します。
30.判断基準のチェックリスト
- □ 判断する場面と目的が明確か。
- □ 具体的な事例をもとに整理したか。
- □ 見る情報と比較対象が分かるか。
- □ 違和感を観察できる状態へ言い換えたか。
- □ 正式基準と経験上の目安を区別したか。
- □ 数値の境界を根拠なく作っていないか。
- □ 複数条件の関係が分かるか。
- □ 判断できない場合の行動が明確か。
- □ 事例で意味と使い方を確認したか。
- □ 適用範囲と見直す条件を残したか。
説明を読めることと、実際に判断へ使えることを分けて確認しましょう。
31.よくある失敗と直し方
失敗①:「経験で分かる」という説明のまま残す。
具体的な一件を使い、何を見て、何と比べ、どう動いたかを尋ねます。
失敗②:経験者の目安を正式ルールにする。
出所と適用範囲を確認し、正式に採用する判断とは分けます。
失敗③:曖昧な言葉を、根拠のない数値へ変える。
数値が必要なら、記録や関係者への確認から決めます。
失敗④:すべてを二択にする。
情報不足、対象外、権限外など、確認が必要な状態も用意します。
失敗⑤:判断結果が一致したので十分と考える。
どの条件を使ったか、理由を説明できるかも確認します。
失敗⑥:一度まとめた基準を固定する。
新しい条件や例外が分かったら、根拠と適用範囲を見直します。
32.今回の要点
今回の要点は、次の五つです。
- 判断する場面と目的を絞る。
- 具体的な事例から、情報、比較対象、行動を取り出す。
- 正式基準、経験上の目安、仮説を区別する。
- 条件と行動を対応させ、判断できない場合も整理する。
- 事例で使い方を確認し、適用範囲を更新する。
経験を言葉にすることで、共有できる部分と、追加の判断が必要な部分が見えてきます。
33.仕事で使える基本プロンプト
今回の内容をまとめた基本プロンプトです。
あなたは、経験者が使っている仕事の判断基準を整理する相談相手です。
【判断する場面】
[記入]【判断の目的】
[記入]【対象者と使用範囲】
[記入]【具体的な事例】
[当時の情報と判断を記入]【経験者の説明】
[記入]【正式な基準・確認済みの運用】
[根拠とともに記入]【不明点や意見の違い】
[記入]次の順で整理してください。
1.追加で聞く質問
2.見ている情報と比較対象
3.正式基準、運用、経験上の目安、仮説の区別
4.判断に必要な条件
5.条件と次の行動の対応表
6.境界、例外、情報不足の扱い
7.確認先へ伝える情報
8.事例で確認する項目
9.適用できる範囲と限界
10.更新や再確認が必要な条件説明にない数値、基準、確認先、判断権限を補わないでください。経験上の目安を正式ルールへ変えず、意見の違いは残してください。すべてを二択や点数へ置き換えず、判断できない場合の確認方法を示してください。
34.まとめと次回予告
経験者の判断には、確認する順番、気になる状態、比較する情報など、多くの要素があります。
具体的な事例を使って聞き取ると、その一部を他の人が使える条件へ整理できます。
ChatGPTには、質問づくり、条件の分類、判断表の作成、不足箇所の点検を手伝ってもらいましょう。
共有できる部分を明確にしながら、経験や専門的な判断が必要な範囲も残すことが大切です。
今回の実践では、一つの判断について、「最初に見る情報」「判断が変わる条件」「迷った場合に確認すること」を書いてみてください。
次回【第88回】は、「ChatGPTを使って仕事の学習計画を作る方法|必要な知識・練習する作業・習得の確認を整理する実践講座」を予定しています。
仕事で必要な力を具体的な行動へ分け、学ぶ順番と、身に付いたかを確かめる方法を考えます。
それでは、また次回。ソラ先生でした。