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越は、なぜあれほど広い名前だったのか

2014.07.24

越という名前を現在の県境に当てはめると、少し不思議です。

福井、石川、富山、新潟。

これほど広い日本海側の地域が、かつて大きく「越」「高志」と呼ばれていました。

後に越前、越中、越後へ分かれ、さらに加賀や能登などが分立していきます。

つまり最初に小さな国があり、それらをまとめて越と呼んだのではなく、
大きな地域概念が後から細かく分けられていったように見えます。

なぜでしょう。

私は日本海を見る必要があると思います。

現在の県境を消せば、海岸線は一本につながっています。

船を使えば、海辺の集落同士が結ばれる。

川を上れば内陸にも入れる。

山を越えれば信濃や飛騨へもつながります。

つまり越は「巨大な陸上国家」だったというより、日本海を軸にした
広い人の往来圏だった可能性を考えると理解しやすい。

そしてそこに複数の地域勢力が存在した。

後に律令制度の中で細かい国へ整理された。

もしそうなら、「国が分かれた」というより、それまで柔らかく
つながっていた世界へ行政境界線が引かれた、と見ることもできます。

日高見国を考えていた時と少し似ています。

私たちは「国」という漢字を見ると、すぐ現在の国家のような境界線を想像します。

でも昔の地域世界は、もっと柔らかかったのかもしれません。

人と物が動く範囲。

同じ海を使う人々。

祭祀でつながる地域。

必要な時には協力する勢力。

そういうものをまとめて呼ぶ名前があった。

越という広い名前は、その可能性を考えさせてくれます。

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