英雄は、怖くなかった人ではない
2014.09.21
英雄というと、何も恐れない人を想像します。
敵の大軍を前にしても動じない。
迷わない。
正しい答えを知っている。
でも、そんな人間が本当にいるでしょうか。
自分の判断一つで何百人もの命が変わる。
負ければ家族や土地まで失う。
明日の戦いで仲間が死ぬかもしれない。
怖くない方が不自然です。
長髄彦も、アテルイも、モレも、夜には眠れないことがあったのではないでしょうか。
「もう戦わない方がいいのではないか」
「この判断は間違っていないか」
「明日、何人帰ってこられるだろう」
そう考えたかもしれません。
民の前では平気な顔をしていた。
でも、近くにいた人には分かったかもしれない。
手が震えていた。
疲れていた。
迷っていた。
それでも前へ出た。
完璧だから人に愛されたのではない。
弱い人間なのに逃げなかったから、心に残った。
私は英雄というものを、そんな人として見たいと思います。
勇気は恐怖がないことではありません。
怖いまま、それでも誰かのために動くことです。
もし土地の人々が何百年もその人物を忘れなかったのだとすれば、残ったのは戦績ではなく、
そういう人間の姿だったのかもしれません。
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