ChatGPTソラ先生と学ぶ!中級者のためのAI実践講座【第54回】ChatGPTでKPIを設計する方法|経営目標を日々の行動へつなげる指標管理の実践講座
こんにちは、ソラ先生です。
前回は、ChatGPTを使って事業計画を作成し、売上・費用・人員・設備・資金を一つにつなげて考える方法を学びました。
今回は、その事業計画を日々の仕事へ落とし込んでみましょう。
テーマは「KPIの設計と管理」です。
皆さんは、こんな経験はありませんか?
「年間売上目標を決めたけれど、毎月何をすればよいのか分からない」
「営業活動を頑張っているのに、目標へ近づいている実感がない」
「管理する数字が多すぎて、何が重要なのか分からなくなった」
「KPIを達成しているのに、利益が増えていない」
「数字を報告するだけで、仕事の改善につながっていない」
会社や組織では、さまざまな目標を設定します。
売上を増やす。
利益を改善する。
品質を安定させる。
納期を守る。
生産性を高める。
しかし、こうした目標は、そのままでは日々の行動と結びつきにくい場合があります。
例えば、「年間売上1,800万円」という目標です。
この目標を達成するためには、何件の受注が必要でしょうか。
その受注を得るためには、どの程度の見積依頼や商談が必要でしょうか。
さらに、受注した仕事を納期どおりに製作するためには、どのくらいの作業時間や設備能力が必要でしょうか。
こうした関係を整理すると、目標へ向かう過程を確認しやすくなります。
ChatGPTは、経営目標を分解し、適切な指標を選び、計算方法や確認頻度を設計し、実績との差を分析する手助けができます。
今回は、**「目標を明確にする → 成果が生まれる仕組みを考える → KPIを選ぶ → 目標値を設定する → 実績を確認する → 行動を見直す」**という流れを学びましょう。
1.KPIとは何でしょうか?
KPIは、Key Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。
簡単にいえば、目標へ向かう過程で、重要な活動や成果の状態を確認するための指標です。
例えば、年間売上を増やすことが目標だったとします。
その場合、売上高だけでなく、次のような数字を確認する方法があります。
問い合わせ件数。
見積提出件数。
受注件数。
受注金額。
受注率。
こうした指標です。
ただし、これらがすべての会社にとって適切なKPIとは限りません。
例えば、受注件数を増やしても、一件あたりの利益が減少すれば、経営目標に近づかない場合があります。
また、見積提出件数だけを増やしても、見積内容の正確さが低下してしまう可能性があります。
そのため、KPIは、達成したい目標と実際の仕事の関係から選ぶ必要があります。
KPIとは、管理できる数字なら何でもよいというものではありません。目標へ近づいているか確認するために選ぶ数字です。
実践プロンプト①
「製造会社の事業目標からKPIを設計したいです。売上、利益、品質、納期、生産性という目標について、それぞれの達成に関係する指標の候補を整理してください。指標を増やしすぎず、実際の仕事の改善に役立つものを選ぶ方法も考えてください」
2.KGIとKPIの違い
KPIを理解するために、KGIという言葉も学びましょう。
KGIは、Key Goal Indicatorの略で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。
一般に、最終的な目標の達成状況を確認するための指標として使われます。
例えば、新規加工サービスについて、年間売上1,800万円を目指しているとします。
この場合、
KGI:年間売上高1,800万円
と設定する方法があります。
一方、その目標へ向かう過程を確認するために、
月間受注件数。
見積提出件数。
受注率。
平均受注単価。
などをKPIの候補として考えられます。
ただし、KGIとKPIの区別は、管理の目的や階層によって変わる場合があります。
例えば、営業部門では受注高を最終目標として管理する一方、会社全体では受注高を売上・利益へつながる先行指標として扱うこともあります。
重要なのは、名称よりも指標同士の関係を理解することです。
3.実践例|年間売上1,800万円を目指す
前回の事業計画を使って考えてみましょう。
ある製造会社が、高機能樹脂の少量試作サービスを始めるとします。
計画条件は次のとおりです。
| 項目 | 計画値 |
|---|---|
| 年間売上目標 | 1,800万円 |
| 一案件あたり平均売上 | 15万円 |
| 年間必要案件数 | 120件 |
| 月平均必要案件数 | 10件 |
| 想定受注率 | 40% |
| 月平均必要見積件数 | 25件 |
※学習用の架空データです。受注率40%は実績で確認されたものではなく、計画上の仮定です。
年間売上目標1,800万円を、平均単価15万円で割ります。
1,800万円÷15万円=120件。
年間120件の受注が必要です。
月平均では10件になります。
さらに、見積提出案件の40%を受注すると仮定すれば、
10件÷0.40=25件。
月平均25件の見積提出が必要という計算になります。
このように、目標を分解すると、どのような活動が必要なのか考えやすくなります。
ただし、実際の売上計上には、受注から納品までの時間差があることにも注意しましょう。
4.目標を分解するとはどういうこと?
例えば、
「年間売上1,800万円」
という目標を考えます。
この数字だけでは、毎日の仕事へ直接結びつきません。
そこで、必要な案件数を計算します。
次に、受注率を使って必要な見積件数を考えます。
さらに、見積依頼を得るための問い合わせや営業活動を検討します。
<box border radius="lg" padding={3} gap={2}>
<text weight="medium">売上目標を活動指標へ分解する例</text>
{#each [{a:"年間売上目標",b:"1,800万円"},{a:"年間受注目標",b:"120件"},{a:"月平均受注目標",b:"10件"},{a:"月平均見積目安",b:"25件(受注率40%を仮定)"}] as item,i}
<box align="center" gap={1}>
<box background="surface-secondary" radius="md" width="100%" padding={3} align="center" gap={1}>
<caption>{item.a}</caption>
<title size="md">{item.b}</title>
</box>
{#if i<3}
<icon name="arrow-down" color="tertiary"/>
{/if}
</box>
{/each}
</box>
このように、最終目標を段階的に分解できます。
しかし、見積件数を増やすことが、必ず売上増加につながるとは限りません。
見積内容の品質や案件の種類、受注率などが変われば、結果も変わるからです。
そこで、分解した指標同士の関係を確認する必要があります。
実践プロンプト②
「年間売上1,800万円、平均受注単価15万円、受注率40%という仮定から、年間・月間の受注件数と見積提出件数を計算してください。売上目標へ至る関係を図式化し、どの仮定が変わると必要な活動量が変化するか説明してください」
5.KPIは、現場で変えられる数字なのか?
KPIを設定するとき、重要な視点があります。
それは、その数字に対して、実際の仕事で働きかけられるかどうかです。
例えば、会社全体の売上高は、さまざまな要因によって変化します。
お客様の需要。
市場環境。
受注価格。
製作能力。
納期。
こうしたことです。
一方、見積提出までの処理時間や、必要情報の確認漏れなどは、社内の仕事の進め方によって改善できる可能性があります。
そのため、経営目標だけでなく、現場で改善に取り組める指標を選ぶことが重要です。
ただし、現場で完全にコントロールできる数字ばかりではありません。
例えば、受注率にはお客様の判断も関係します。
そこで、次のように区別できます。
直接的に管理しやすい指標
見積の処理状況、作業手順の実施状況、点検の完了など。
外部要因にも左右される指標
受注率、売上高、顧客満足度など。
この違いを理解しておくと、適切な改善方法を考えやすくなります。
6.件数を増やすだけでは、KPIにならない
例えば、営業活動のKPIとして、
「月間見積提出件数30件」
という目標を設定したとします。
その結果、見積提出件数が増えました。
しかし、必要な技術検討が十分に行われず、見積内容の訂正が増えてしまった場合です。
この場合、KPIは達成できたものの、仕事全体の品質が低下した可能性があります。
また、簡単な案件ばかりを優先して処理し、重要な技術相談が後回しになる場合も考えられます。
そのため、活動量だけでなく、品質や結果との関係も確認する必要があります。
例えば、
見積提出件数。
見積提出までの日数。
見積訂正件数。
見積から受注への進行状況。
こうした指標を組み合わせる方法があります。
ただし、管理項目を増やしすぎないことも重要です。
KPIを達成すること自体が目的にならないようにする必要があります。
実践プロンプト③
「営業活動のKPIとして見積提出件数を設定したいです。しかし、件数を増やすことによって見積の正確さや技術検討の品質が低下しないようにしたいです。活動量と品質の両面から確認できる指標を考えてください」
7.営業のKPIを設計する
営業活動に関するKPIの候補を整理してみましょう。
例えば、次のような項目です。
| KPI候補 | 主に確認すること |
|---|---|
| 新規問い合わせ件数 | 新しい相談の発生状況 |
| 見積依頼件数 | 具体的な製作相談の状況 |
| 見積提出件数 | 見積対応の進行状況 |
| 見積提出までの日数 | 見積対応に必要な時間 |
| 受注率 | 見積から受注への進行 |
| 新規受注高 | 将来の仕事の獲得状況 |
| 受注残高 | 未完了の受注状況 |
ただし、これらすべてを毎月のKPIとして設定する必要はありません。
例えば、問い合わせが十分にある一方、見積提出が遅れている会社なら、見積処理に関係する指標を重視する方法があります。
一方、見積提出は進んでいるものの、受注へつながらない場合には、受注までの経過を確認する方が重要かもしれません。
そのため、現在の課題から指標を選ぶことが役立ちます。
8.受注率をKPIにするときの注意点
例えば、月間見積提出件数が25件。
月間受注件数が10件だったとします。
単純に計算すると、
10÷25×100=40%。
となります。
しかし、この10件の受注が、その月に提出した25件の見積と対応しているとは限りません。
例えば、前月に見積を提出した案件が、今月受注された可能性があります。
そのため、受注率を正確に計算するには、同じ案件集団を追跡する必要があります。
例えば、4月に提出した見積を対象にして、その後何件受注できたか確認する方法があります。
また、まだお客様が検討中の案件を、失注として扱わないことも重要です。
このように、KPIを設定する際には、計算方法を明確にする必要があります。
実践プロンプト④
「受注率をKPIとして管理したいです。見積提出月と受注月が異なる案件に対応するため、案件IDを使い、受注・失注・保留を区別した計算方法を設計してください」
9.利益に関するKPIを考える
売上を増やすだけでは、利益が増えるとは限りません。
例えば、月間売上高が増加していても、材料費や外注費が増えれば利益率が低下する場合があります。
そこで、利益に関係する指標を考えます。
例えば、
売上総利益率。
限界利益率。
案件別の予定利益。
実際原価との差。
不良・再製作費用。
などです。
ただし、売上総利益率と限界利益率は異なる指標です。
売上総利益率は、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益をもとに計算します。
一方、限界利益率は、売上高から変動費を差し引いた限界利益をもとに計算します。
そのため、目的に合わせて使い分ける必要があります。
実践プロンプト⑤
「売上高だけでなく利益を改善するためのKPIを設計したいです。売上総利益率、限界利益率、案件別原価差異、不良損失などの指標について、計算方法と用途を整理してください」
10.製造現場のKPIを考える
製造業では、営業活動だけでなく、生産工程にも重要な指標があります。
例えば、
加工時間。
段取り時間。
設備稼働率。
納期遵守率。
不良率。
再製作件数。
こうしたものです。
ただし、単純に設備稼働率を高めることが、常に良いとは限りません。
例えば、必要のない製品を作り続ければ、設備稼働率は上がるかもしれません。
しかし、在庫が増え、資金が拘束される可能性があります。
また、段取り回数を減らすために過度なまとめ生産を行えば、必要な納期とのずれが生じる場合もあります。
そのため、生産性の指標は、品質や納期、在庫などと合わせて考える必要があります。
実践プロンプト⑥
「製造現場のKPIとして、加工時間、段取り時間、設備稼働率、不良率、納期遵守率を検討しています。それぞれの計算方法と、数字を改善しようとした場合に生じる可能性がある副作用を整理してください」
11.品質のKPIを考える
品質管理では、どのような指標を設定できるでしょうか。
例えば、
不良率。
再製作件数。
手直し工数。
検査での指摘件数。
顧客からの品質指摘件数。
こうしたものです。
しかし、不良件数が減ったからといって、必ず品質が改善したとは限りません。
例えば、生産数量が減っていれば、不良件数も減る可能性があります。
また、検査の方法が変わった場合には、指摘件数が変化することがあります。
そこで、生産数量や検査対象数などを考慮する必要があります。
さらに、重大な不具合については、発生件数が少なくても適切な対応が必要です。
そのため、単純な件数だけでなく、問題の影響や重要度も確認する必要があります。
実践プロンプト⑦
「品質改善のKPIを設計したいです。不良率、再製作件数、手直し工数、顧客品質指摘について、分母や集計範囲を明確にし、重大な品質問題を件数だけで評価しない方法を考えてください」
12.KPIの目標値は、どう決める?
例えば、見積提出までの平均日数を短縮したいとします。
現在の平均は5日です。
目標を3日に設定することを考えています。
しかし、なぜ3日なのでしょうか。
例えば、過去に3日で対応できていた実績があるのでしょうか。
改善できる工程が見つかっているのでしょうか。
必要な人員や技術的な確認時間を考慮しているでしょうか。
このように、目標値には根拠が必要です。
ただし、最初から正確な目標値を設定できるとは限りません。
その場合、現状を測定する期間を設け、その結果から目標を検討する方法があります。
例えば、
現在の実績を確認する。
変動の大きさを把握する。
改善できる部分を調べる。
必要な資源を確認する。
目標値を設定する。
といった流れです。
実践プロンプト⑧
「見積提出までの平均日数を5日から3日へ短縮したいです。目標値の妥当性を判断するため、過去実績、案件難易度、必要な技術検討、作業負荷、改善可能な工程を整理してください」
13.実践例|KPIの目標と実績を比較する
ここでは、架空の新規加工サービスについて、月次KPIを設定します。
例えば、次のような目標です。
| KPI | 月間目標 | 実績 |
|---|---|---|
| 見積提出件数 | 25件 | 20件 |
| 受注件数 | 10件 | 8件 |
| 受注金額 | 150万円 | 120万円 |
| 見積提出までの平均日数 | 5日以内 | 6日 |
| 見積訂正件数 | 2件以下 | 1件 |
※学習用の架空データです。目標と実績の比較方法を説明するための例です。
この表では、見積提出件数と受注件数が目標を下回っています。
一方、見積訂正件数は目標の範囲内です。
また、見積提出までの平均日数は6日で、目標の5日以内を満たしていません。
ここで考えたいことがあります。
見積提出件数が少ない原因は、何でしょうか。
例えば、見積依頼そのものが少なかった可能性があります。
また、技術検討に時間がかかっていた場合も考えられます。
そこで、実績と目標の差だけでなく、原因を確認する必要があります。
14.達成率を計算する
例えば、見積提出件数の目標が25件。
実績が20件だったとします。
達成率は、
20÷25×100=80%。
です。
受注件数も、目標10件に対して実績8件なので、
8÷10×100=80%。
となります。
しかし、すべてのKPIを同じ達成率で評価してよいのでしょうか。
例えば、見積提出までの平均日数です。
目標は5日以内。
実績は6日。
この場合、6÷5×100=120%と計算しても、達成率120%という表現は適切ではありません。
なぜなら、日数は短い方が望ましい指標だからです。
そこで、KPIごとに、どちらの方向が望ましいのか明確にする必要があります。
大きい方がよい数字と、小さい方がよい数字を、同じ方法で評価しないことが重要です。
実践プロンプト⑨
「KPIの目標と実績を比較したいです。受注件数のように多い方が望ましい指標と、不良率や処理日数のように少ない方が望ましい指標を区別し、適切な達成状況の表示方法を考えてください」
15.KPIが目標を下回ったら、何をする?
例えば、見積提出件数が目標25件に対して20件だったとします。
不足は5件です。
この場合、すぐに見積作成の作業量を増やすべきでしょうか。
まだ分かりません。
例えば、見積依頼件数が20件しかなかった場合です。
その場合、提出件数20件という実績は、必ずしも見積作成の遅れを示しているわけではありません。
一方、見積依頼が35件あったのに、20件しか提出できていないなら、未提出案件の状況を確認する必要があります。
そこで、次のような情報を調べます。
見積依頼件数。
未提出案件数。
必要情報の不足。
技術検討の状況。
見積作成の作業負荷。
こうした項目です。
ChatGPTには次のように質問できます。
実践プロンプト⑩
「見積提出件数が目標25件に対して実績20件でした。見積依頼が少なかったのか、社内の見積処理に時間がかかったのかを区別したいです。原因を確認するための追加データと分析手順を整理してください」
16.KPI同士の関係を考える
KPIは、それぞれ独立した数字ではありません。
例えば、見積提出件数と受注件数には関係があります。
また、受注件数と製造現場の負荷にも関係があります。
さらに、生産量が増えれば、材料費や外注費、資金繰りにも影響する可能性があります。
そこで、指標同士の関係を整理します。
例えば、
問い合わせ件数。
見積提出件数。
受注件数。
生産負荷。
納品数量。
売上高。
利益。
資金残高。
こうした流れです。
しかし、実際には必ずしも単純な一方向の関係ではありません。
例えば、見積提出件数が増えても、受注までに時間がかかる場合があります。
また、受注が増えても、製造能力が不足すれば納品が遅れる可能性があります。
そのため、KPIの関連性と時間差を理解することが重要です。
17.一つのKPIだけを改善すると問題が起きる?
例えば、生産性を高めるために、加工数量を増やすというKPIを設定したとします。
その結果、製作数量は増加しました。
しかし、不良品が増えてしまった場合です。
この場合、数量というKPIは改善しています。
しかし、品質の問題によって再製作が増え、会社全体の利益が減る可能性があります。
また、納期を短縮するために作業を急ぎすぎると、品質へ影響する場合もあります。
そのため、あるKPIを改善することで、ほかの重要な指標が悪化していないか確認することが必要です。
例えば、
生産数量と不良率。
設備稼働率と在庫。
見積提出件数と見積訂正件数。
売上高と限界利益。
こうした組み合わせです。
実践プロンプト⑪
「製造業のKPIについて、一つの指標を改善した結果、ほかの指標が悪化する可能性を整理してください。生産数量と不良率、設備稼働率と在庫、見積件数と見積精度、売上高と利益率を例に説明してください」
18.KPIを毎日確認する必要はある?
KPIを設定したら、どのくらいの頻度で確認すればよいでしょうか。
例えば、売上高は月次で確認する方法があります。
一方、納期遅延が発生している場合には、日々の進捗確認が必要になる場合もあります。
また、顧客満足度のように、毎日数値が得られるとは限らない指標もあります。
そこで、KPIの性質に合わせて確認頻度を設定します。
例えば、
日次で確認する項目
当日の納期、設備の停止状況、重要な品質問題など。
週次で確認する項目
見積処理状況、受注の進行、工程負荷など。
月次で確認する項目
売上高、利益率、受注高、受注残高など。
ただし、これは一例です。
実際の仕事に合わせて、確認頻度を設定する必要があります。
実践プロンプト⑫
「製造業のKPIについて、日次、週次、月次のどの頻度で確認することが適切か考えたいです。売上高、受注件数、見積処理日数、納期遵守率、不良率、設備停止時間を分類してください」
19.KPIの担当者をどう考える?
KPI管理では、誰が数字を確認するのかも重要です。
例えば、見積提出までの日数を管理する場合です。
見積担当者だけが、その数字を改善できるとは限りません。
材料価格の確認に時間がかかる場合があります。
技術的な検討が必要な場合もあります。
また、お客様からの追加情報を待っていることもあるでしょう。
このように、複数の人や工程が関係する場合があります。
そのため、KPIの担当者を決めるだけでなく、どのような業務が指標へ影響しているか整理する必要があります。
また、KPIを個人の責任追及に使うと、問題を報告しにくくなる可能性があります。
そこで、仕事の改善に使うという目的を明確にすることが重要です。
実践プロンプト⑬
「見積提出までの日数をKPIとして管理したいです。営業、技術、材料調達など複数の工程が関係しています。担当する役割、必要な情報、改善可能な工程を整理し、一人だけの責任として扱わない管理方法を考えてください」
20.KPIをダッシュボードへまとめる
KPIを継続して確認するために、ダッシュボードを作成する方法があります。
例えば、次のような構成です。
<box border radius="xl" padding={3} gap={3}>
<box gap={1}>
<text color="secondary" weight="medium" size="xs">新規加工サービス|月次KPI</text>
<title size="lg">目標と実績の比較</title>
<caption>学習用の架空データ</caption>
</box>
{#each [{label:"見積提出件数",actual:20,target:25,unit:"件",lower:false},{label:"受注件数",actual:8,target:10,unit:"件",lower:false},{label:"受注金額",actual:120,target:150,unit:"万円",lower:false},{label:"平均見積提出日数",actual:6,target:5,unit:"日",lower:true}] as item}
<box gap={1}>
<row align="center" justify="between">
<text weight="medium" size="sm">{item.label}</text>
<text size="sm" tabularNums>{item.actual}{item.unit} / 目標{item.lower?"上限":" "}{item.target}{item.unit}</text>
</row>
<box background="surface-tertiary" height="8px" radius="full" clip>
<box background="surface-inverted" height="100%" width={`${Math.min(100,item.actual/item.target*100)}%`} radius="full"/>
</box>
<caption>{item.lower?(item.actual<=item.target?"目標範囲内":"上限目標を超過"):`達成率 ${(item.actual/item.target*100).toFixed(0)}%`}</caption>
</box>
{/each}
<divider color="subtle"/>
<text weight="medium" size="sm">今月の確認事項</text>
<text size="sm">見積提出と受注が目標を下回り、見積処理日数が長期化。見積依頼の件数と未提出案件の内訳を確認する。</text>
</box>
このように、目標と実績を並べることで、状況を確認しやすくなります。
ただし、ダッシュボードを作っただけで仕事が改善するわけではありません。
数字が変化した理由を確認し、次の行動へつなげることが必要です。
21.KPIの定義を統一する
KPIを管理する際には、計算方法を統一することが重要です。
例えば、「問い合わせ件数」という指標です。
同じお客様から、一日に3回メールが届いた場合、3件と数えるのでしょうか。
それとも、一つの案件として1件と数えるのでしょうか。
また、既存案件についての問い合わせを含めるかどうかでも、件数が変わります。
そのため、指標の定義を明確にする必要があります。
例えば、
指標名
新規問い合わせ案件数。
定義
新たに発生した製作・技術相談の案件数。
集計単位
案件ID。
集計期間
毎月1日から月末まで。
除外条件
既存案件についての追加連絡など。
こうしたものです。
また、データの記録方法を変更した場合には、過去との比較が可能か確認する必要があります。
実践プロンプト⑭
「KPI管理表について、指標名、定義、計算式、集計期間、集計単位、データの取得元、担当する役割、確認頻度を整理したKPI定義書を作成してください」
22.KPIを増やしすぎない
例えば、会社全体で30種類のKPIを設定したとします。
それぞれの数字を集計するだけで、多くの時間がかかるかもしれません。
さらに、どの数字が重要なのか分かりにくくなる場合があります。
そこで、最初は少数の重要な指標から始める方法があります。
例えば、新規加工サービスの初期段階なら、
見積提出件数。
受注件数。
受注金額。
見積原価と実際原価の差。
納期遵守状況。
といった指標が候補になるかもしれません。
しかし、実際に選ぶべき指標は、事業の課題によって変わります。
例えば、問い合わせは十分にあるものの、見積対応が遅れているなら、見積処理時間を重視する方法があります。
一方、受注は順調でも利益が残らない場合には、原価や利益率に関する指標を重視する必要があります。
管理する数字は、多いほど良いわけではありません。判断に必要な数字を選ぶことが大切です。
23.KPIを見直すタイミング
KPIは、一度設定したら変更してはいけないものではありません。
例えば、新規事業の開始直後は、問い合わせや見積件数が重要だったとします。
しかし、事業が安定し、継続的な受注が増えた場合です。
その段階では、利益率や納期、品質などが、より重要になる可能性があります。
また、事業の方針が変われば、管理すべき指標も変わる場合があります。
そこで、一定期間ごとに、KPIが実際の経営判断へ役立っているか確認します。
例えば、
この指標から何を判断できるか。
実際に改善へつながったか。
集計に過度な負担がないか。
ほかの指標と重複していないか。
事業の目的に合っているか。
こうしたことです。
ただし、毎月頻繁に定義を変更すると、過去との比較が難しくなる場合があります。
そのため、変更する理由や時期を記録することが重要です。
実践プロンプト⑮
「現在管理しているKPIについて、経営目標との関係、改善への活用、集計負担、ほかの指標との重複を評価したいです。継続、見直し、廃止、新規追加の判断基準を考えてください」
24.KPIから改善活動へつなげる
KPIを設定し、目標と実績を比較したら、次に何をするのでしょうか。
例えば、見積提出までの平均日数が、目標5日に対して6日だったとします。
この場合、必要なことは、単に担当者へ「早く提出してください」と伝えることではありません。
どの工程に時間がかかっているのか調べる必要があります。
例えば、
必要情報の確認。
材料価格の調査。
加工方法の検討。
原価計算。
見積内容の確認。
こうした工程です。
そのうえで、改善可能な部分を検討します。
例えば、材料価格の確認に時間がかかるなら、調達先への問い合わせ方法を見直すことが考えられます。
一方、技術検討に時間がかかるなら、過去の類似案件の情報を整理する方法が役立つかもしれません。
ただし、十分な技術確認を省略して、見積提出を急ぐことは適切ではありません。
KPIの改善は、数字を無理に変えることではなく、数字の背景にある仕事を改善することです。
25.今日の実践課題|事業計画からKPIを作ろう
今回は、ChatGPTを使って、新規加工サービスのKPIを設計する練習をしましょう。
ステップ① 経営目標を整理する
ChatGPTに次のように質問します。
「年間売上目標1,800万円の新規加工サービスについて、KGIとKPIを整理してください」
ステップ② 受注目標を計算する
「平均受注単価15万円として、年間・月間に必要な受注件数を計算してください」
ステップ③ 見積目標を計算する
「受注率40%という仮定から、月間受注10件に必要な見積提出件数を計算してください」
ステップ④ 指標を選ぶ
「営業、利益、品質、納期、生産性について、管理するべきKPI候補を整理してください」
ステップ⑤ KPIの定義を決める
「各KPIについて、定義、計算式、集計単位、データ取得元、確認頻度を整理してください」
ステップ⑥ 目標値と実績を比較する
「見積提出目標25件・実績20件、受注目標10件・実績8件、受注金額目標150万円・実績120万円について、差額と達成率を計算してください」
ステップ⑦ 日数指標の評価方法を考える
「見積提出までの平均日数について、目標5日以内、実績6日です。件数や金額と異なる評価方法を整理してください」
ステップ⑧ KPIの関係を考える
「見積提出件数、受注件数、生産負荷、納期遵守、利益の関係を整理してください」
ステップ⑨ 副作用を確認する
「見積提出件数や生産数量を増やそうとした場合、品質や原価、納期へどのような影響が生じる可能性があるか考えてください」
ステップ⑩ ダッシュボードを作成する
「目標、実績、差額、達成状況、確認事項をまとめた月次KPIダッシュボードを考えてください」
ステップ⑪ 改善計画を作る
「KPIが目標を下回った項目について、原因調査、改善案、担当する役割、確認期限、改善効果の確認方法を整理してください」
ステップ⑫ KPI管理の仕組みをまとめる
「KPIの定義書、集計方法、確認頻度、ダッシュボード、改善活動を一つにつなげた管理方法を整理してください」
この練習では、すべての数字を目標どおりにすることだけを目的にしないでください。
目標へ向かう過程で何が起きているのか理解し、必要な改善を行えるようにすることが目的です。
26.ChatGPTでKPIを設計するときの注意点
ChatGPTは、経営目標の分解、KPI候補の整理、計算方法の設計、目標と実績の比較、改善項目の整理などを支援できます。
しかし、どのKPIが本当に重要かは、会社の目的や仕事の内容によって変わります。
例えば、見積提出件数を増やすことが重要な場合もあります。
一方、見積件数は十分にあり、受注後の原価改善が重要な場合もあります。
そのため、管理できる数字を多く設定するだけでは、適切なKPI管理にはなりません。
また、KPIを達成しようとすることで、ほかの重要な仕事が悪化する可能性もあります。
例えば、加工数量を増やすために品質確認を省略することは適切ではありません。
さらに、KPIの計算方法や集計範囲が変更された場合には、過去の数字と単純に比較できないことがあります。
そこで、指標の定義を明確にし、実際の仕事と照らし合わせて評価することが重要です。
AIは、KPIの設計や分析を支援する道具です。
実際にどの数字を重視し、どう改善するかは、経営目標と現場の状況から判断する必要があります。
27.KPI管理の本当の目的は何でしょうか?
最後に、KPIについて考えてみましょう。
会社や組織では、目標を設定することがあります。
売上を増やす。
利益を改善する。
品質を安定させる。
納期を守る。
こうした目標です。
しかし、目標を決めただけでは、どのような行動が必要なのか分からない場合があります。
そこで、目標を具体的な数字へ分解することが役立ちます。
例えば、年間売上を達成するために必要な受注件数。
受注を得るための見積対応。
受注した仕事を製作するための加工時間。
そして、製品の品質や納期を守るための管理。
こうした情報を組み合わせることで、目標と日々の仕事の関係を理解できます。
しかし、数字を管理すること自体が目的になってはいけません。
例えば、見積件数が増えても、お客様の目的を理解できていなければ、仕事の成果につながらない可能性があります。
また、製造数量が増えても、不良が増えれば利益が減る場合があります。
そのため、KPIは実際の仕事を改善するために使うことが重要です。
まとめ|KPIは、目標と日々の仕事をつなぐためのもの
今回は、ChatGPTを使ってKPIを設計する方法を学びました。
重要なポイントは、次のとおりです。
- KPIとKGIの違いを理解する。
- 経営目標を、受注件数や活動指標へ分解する。
- 指標同士の関係と、時間差を考える。
- 現場で改善できる数字を重視する。
- 活動量だけでなく、品質や成果も確認する。
- 受注率などは、同じ案件集団を追跡して計算する。
- 売上だけでなく、利益に関する指標も選ぶ。
- 製造現場では、品質、納期、生産性を組み合わせて考える。
- 目標値には根拠を持たせる。
- 多い方がよい指標と、少ない方がよい指標を区別する。
- KPIが目標を下回った場合は、原因を確認する。
- 一つの指標の改善が、ほかの指標へ与える影響も調べる。
- 指標の性質に合わせて確認頻度を設定する。
- KPIの定義と集計方法を統一する。
- ダッシュボードで目標と実績を確認する。
- 管理項目を増やしすぎず、重要な指標へ集中する。
- 分析結果を実際の改善活動へつなげる。
KPIは、目標を具体的な仕事へ結びつけるための道具です。
例えば、年間売上1,800万円という目標があったとします。
それを、必要な受注件数へ分解する。
受注件数を、見積や営業活動へ結びつける。
さらに、その仕事を製作するための人員や設備、作業時間を考える。
こうした流れによって、目標が実際の仕事へ近づきます。
ChatGPTは、KPIの候補を整理し、必要な計算を行い、目標と実績を比較する手助けができます。
しかし、数字の背景にある仕事の状況を理解することが必要です。
KPI管理で大切なのは、決めた数字を達成することだけではありません。目標へ向かう過程で何が起きているのか確認し、仕事の進め方を改善することです。
AIと一緒に目標を分解し、重要な数字を選び、実績を確認する。
そして、数字が変化した理由を調べ、必要な行動へつなげる。
その積み重ねが、中級編で身につけていきたい実践的なAI活用です。
次回【中級編・第55回】
「ChatGPTでPDCAを実践する方法|計画・実行・評価・改善を継続する業務管理の実践講座」
次回は、今回設計したKPIを使い、実際の改善活動を継続する方法を学びます。
計画を立てる。
実行する。
結果を確認する。
改善方法を考える。
こうしたPDCAの流れを、ChatGPTと一緒に具体的な仕事へ落とし込みます。
改善活動が途中で止まってしまう理由や、計画を見直すタイミングについても考えていきましょう。