考えすぎて止まるより、まず手を動かしてみる。
仕事をしていると、頭の中にいろいろな不安が浮かぶことがあります。
失敗したらどうしよう。
自分には難しいのではないか。
周囲に迷惑を掛けるかもしれない。
もっと器用な人のほうが、この仕事に向いているのではないか。
考え始めると、いくらでも理由は出てきます。
しかし、不安について長く考えたからといって、仕事ができるようになるわけではありません。
私自身、そんなときほど「今できる作業を止めない」ことを大切にしてきました。
(株)アリスの仕事にも、繰り返し行う基本的な作業がたくさんあります。
図面を確認する。
材料を準備する。
工具を用意する。
加工された製品のバリを取る。
寸法を測る。
注文内容を入力する。
書類を整理する。
メールを確認する。
一つだけを見ると、ごく普通の作業です。
しかし、こうした作業を何度も経験することで、少しずつ仕事の全体が見えるようになります。
例えば、測定を繰り返していると、測定器の扱いに慣れるだけではありません。
どの寸法が安定しにくいのか。
どのような製品は測りにくいのか。
いつもと違う数字が出たとき、どこを確認すればよいのか。
経験した数だけ、判断するための材料が増えていきます。
仕上げも同じです。
最初は時間がかかっていた作業が、繰り返すうちに少しずつ安定します。
ただ速くなるだけではなく、傷をつけない方法や、効率のよい手順も分かるようになります。
営業事務であれば、さまざまな注文や問い合わせに触れることで、「この内容は先に確認したほうがよい」と気づける場面が増えていきます。
最初からセンスよくできる人を見ると、自分には向いていないと感じることもあるかもしれません。
けれど、ものづくりや仕事の多くは、経験によって身につく部分があります。
一回より十回。
十回より百回。
ただ同じことを機械的に繰り返すのではなく、少しずつ考えながら回数を重ねる。
その経験が、自分の中に残っていきます。
「これだけやってきたのだから、前よりできるはずだ」
そう思えるようになることも、積み重ねてきた人の強さだと思います。
(株)アリスでは、仕事がうまくいかないときに、できない理由だけを探すのではなく、今できることを一つ続けることを大切にしています。
気持ちが前向きにならない日でも、手を動かす。
小さな仕事を一つ終える。
そこからまた次へ進む。
その繰り返しが、いつか自分でも気づかないうちに、仕事をする力へ変わっていくと考えています。