昨日まで難しかった仕事が、ある日「できそう」に変わる
仕事を続けていると、ある日突然、今まで難しく見えていたものが違って見えることがあります。
私は、その瞬間が仕事の面白さの一つだと思っています。
(株)アリスでは、研究開発や試作、生産設備などで使われる部品をつくっています。
プラスチック樹脂もあれば、アルミなどの金属もあります。
一個だけの試作品もあれば、数十個、数百個の部品をつくることもあります。
図面も毎回同じではありません。
だから、機械加工の仕事は「このボタンを押せば終わり」という仕事ではありません。
最初は、機械の前に立つだけでも分からないことだらけです。
工具の名前。
材料の置き方。
製品の固定方法。
測定工具の使い方。
図面の見方。
加工が終わった製品を見ても、どこが大切な部分なのか分からないこともあります。
それでも、毎日少しずつ触れていると変わってきます。
最初はただの線に見えていた図面から、形が想像できるようになる。
「ここを先に削ったら持つところがなくなるな」
「この部分は薄いから最後にした方がよさそうだ」
「この材料なら、いつもの条件とは少し変えた方がいいかもしれない」
と考えられるようになる。
昨日まで、
「こんな形、どうやって作るんだろう」
と思っていた図面を見て、
「これなら、こうやったらできるかもしれない」
と思える日が来ます。
私は、そこに技術者としての成長があると思っています。
機械が新しくなったから急に技術が身につくわけではありません。
CAD/CAMを使えるようになっただけでもありません。
一つの仕事で覚えたことを、次の仕事で使う。
前回失敗したことを覚えていて、今回は方法を変える。
違う材料、違う形状、違う数量でも、自分の経験をつなげて考える。
それが少しずつ積み重なっていきます。
私自身も、これまでずっとそうでした。
製造現場で仕事をした。
運送の仕事もした。
営業へ移った。
エンジニアリング商社では、空調、油圧・空圧、FA、設備、クリーンルーム、量産部品など、分野の違う仕事に次々と関わりました。
一見すると、バラバラな経験に見えるかもしれません。
でも今は、その全部がつながっています。
お客様が何に困っているのかを考える。
製造側では何が難しいのかを考える。
設備ならどうするか。
加工ならどうするか。
自社でやるのか、得意な協力会社へお願いするのか。
一つの経験だけでは出せなかった答えが、いくつもの経験を重ねることで出せるようになりました。
だから私は、若いうちから「これしかやらない」と決めなくてもいいと思っています。
目の前の仕事を一つ覚える。
そこで得たものを、次の仕事へ持っていく。
その積み重ねは、すぐには見えなくても、数年後には大きな力になります。
(株)アリスでも、最初から難しい仕事を一人で任せるわけではありません。
まずは一つ。
次にもう一つ。
できることを増やしていく。
やがて図面を見て、自分で考えられるようになる。
そして、今度は自分の考えで製品を完成させる。
そこまで来ると、機械加工はただの作業ではありません。
自分の頭の中にあった加工方法が、実際の製品になって目の前に現れます。
私は、ものづくりの仕事には、そんなワクワクする瞬間があると思っています。