図面の寸法だけでは、使いやすさは決まらない
部品をつくるとき、図面に書かれている寸法はとても大切です。
長さ。
幅。
厚み。
穴径。
穴位置。
角度。
加工する側は、まずその数字を正しく読み取り、必要な寸法へ仕上げていきます。
けれど、実際に使いやすい部品になるかどうかは、寸法だけでは決まらないことがあります。
研究開発用の治具であれば、手で持ったときに扱いやすいか。
部品をセットしやすいか。
取り外しやすいか。
実験中に操作しにくいところがないか。
生産設備の部品であれば、交換しやすいか。
清掃しやすいか。
周辺の設備に干渉しないか。
作業する人が無理な姿勢にならないか。
こうしたことは、図面の寸法欄だけでは分からない場合があります。
たとえば、機能上は問題のない角でも、実際に手で触れる場所なら少し丸みがあった方が扱いやすいことがあります。
部品を持ち上げるのであれば、指を掛ける場所があるだけで作業しやすくなることがあります。
毎回取り外す部品なら、工具を使いやすい空間があるかどうかも重要です。
研究開発では、最初の試作品を実際に触ってもらうことで、こうしたことが見えてきます。
「もう少しここを広くしたい」
「この部分が持ちにくい」
「この穴は反対側にあった方が使いやすい」
図面を見ているときには出なかった意見が、実物を前にすると出てくることがあります。
それは、最初の設計が悪かったということではありません。
実際につくったから、新しく分かったことです。
生産現場でも同じです。
毎日使う治具や設備部品は、一回だけ使うものとは違います。
一日に何度も触る。
何年も使う。
何度も交換する。
その積み重ねを考えると、ほんの少しの使いやすさが大きな違いになります。
(株)アリスでは、図面どおりにつくることを基本としながら、その部品が実際にどう使われるのかにも目を向けます。
加工するだけでは分からないこと。
使って初めて分かること。
現場の人だから気づけること。
そうした情報を次のものづくりへつなげていきます。
寸法が合っている。
それは大切なことです。
そして、その先に使いやすさがある。
部品は、図面の中で使われるのではなく、実際の現場で使われます。