加工トラブルの原因を、どう整理するのか
ものづくりの仕事では、予定していたとおりに加工が進まないことがあります。
寸法が安定しない。加工面に問題が出る。材料が変形する。工具が想定より早く摩耗する。
問題が発生したとき、すぐに原因が分かる場合もあれば、いくつもの可能性を確認しなければならない場合もあります。
例えば、樹脂部品の切削加工で、加工後に反りが発生したとします。
最初に思いつくのは、加工時の材料の固定方法や切削条件かもしれません。
しかし、原因はそれだけとは限りません。
材料内部に残っていた応力が、切削によって解放された可能性もあります。
加工中の熱や、加工する順番が影響している場合も考えられます。
また、加工後の保管環境や測定条件によって、反りの見え方が変わることもあります。
このような問題に対して、最初に思いついた原因だけで対策を決めると、十分な改善につながらないことがあります。
だからこそ、まずは事実を整理することが大切です。
いつ問題が発生したのか。
どの部分に、どのような変化が出ているのか。
使用した材料は何か。
加工方法や固定条件はどうだったのか。
同じ条件で製作したほかの部品にも、同じ問題があるのか。
こうした情報を集めることで、原因を考えるための材料がそろってきます。
ChatGPTのような生成AIを使えば、考えられる原因や確認項目を整理することもできます。
しかし、AIが示した内容は、あくまでも検討するための情報です。
実際にどの原因が当てはまるのかは、事実を確認しなければ分かりません。
材料メーカーの技術資料を調べたり、加工した会社に条件を確認したりすることも必要です。
場合によっては、加工条件を変更して試作したり、一定時間経過した後の寸法を測定したりすることも考えられます。
ここで大切なのは、一度に多くの条件を変更しないことです。
例えば、工具、加工条件、材料の固定方法を同時に変えた場合、加工結果が改善しても、何が効果をもたらしたのか分かりにくくなります。
可能な範囲で条件を分け、結果を比較することで、原因を絞り込みやすくなります。
また、問題が発生したときに、誰が間違えたのかを最初に考えるのではなく、何が起きたのかを正確に把握することも重要です。
加工担当者の作業だけでなく、材料の状態、図面の条件、製作方法の選択など、さまざまな要素が関係する場合があります。
(株)アリスは、自社加工と国内協力会社の技術を組み合わせながら、研究開発から生産現場までのものづくりに関わっています。
問題が起きたときには、自社だけで判断せず、必要な情報を持つ人と協力することもあります。
分からないことを、分からないままにしない。
考えられる原因を整理し、一つずつ確かめる。
そうした仕事の進め方を、AIの活用でも、ものづくりの現場でも大切にしていきたいと思っています。