人が変わるのは、自分で「必要だ」と気づいたとき。
人から何かを言われたとき、すぐに行動を変えられることもあれば、なかなか変えられないこともあります。
「もっと確認したほうがいい」
「分からないことは早めに聞いたほうがいい」
「次の工程まで考えて仕事をしたほうがいい」
言っていることは理解できても、自分自身がその必要性を実感していなければ、行動まで変わらないことがあります。
私も20代の頃から部下を持ち、いろいろな人と関わってきました。
当時は、「どう伝えれば、この人は変わるのだろう」と考えることも多くありました。
しかし、長く人と仕事をする中で、人が本当に変わる瞬間は、外から言われたときではなく、自分自身で必要だと気づいたときなのではないかと思うようになりました。
例えば、仕事を一人で任されるようになったとき。
それまでは教えてもらえばよかったことを、自分で判断しなければならなくなります。
そこで初めて、「もっと知識が必要だ」と感じることがあります。
失敗して、周囲へ迷惑を掛けてしまったとき。
その経験から、「次は事前に確認しよう」と本気で思うことがあります。
後輩へ仕事を教える立場になったとき。
人に説明する難しさを知り、自分自身の理解が足りていなかったことに気づくこともあります。
それまで何度も聞いていた言葉でも、自分の経験と結びついた瞬間に意味が変わります。
人の成長には、そういうタイミングがあります。
だから(株)アリスでは、すぐに答えを与えることだけが育成ではないと考えています。
まず自分で考えてもらう。
やってみてもらう。
結果を一緒に振り返る。
必要なときには、経験や考え方を伝える。
そして、本人自身が何かに気づく機会をつくる。
研究開発やものづくりの現場でも、同じです。
実際に加工してみなければ分からないことがあります。
図面だけでは想像できなかった難しさに気づくことがあります。
自分で考えた方法がうまくいかなかった経験から、新しい視点を持てることもあります。
経験には、人を変える力があります。
ただし、その経験から何を受け取るかは、一人ひとり違います。
会社は、挑戦する場をつくることができます。
周囲は、考えるためのヒントを伝えることができます。
それでも、「ここから変わろう」と決めるのは本人です。
だからこそ、自分で気づいた変化は強いのだと思います。
誰かに言われたからではなく、自分自身で必要性を理解して行動を変える。
その一歩が、次の経験につながり、少しずつ自分の力になっていきます。
(株)アリスでは、成長を急がせるのではなく、一人ひとりが経験の中から気づき、自分の意思で前へ進めることを大切にしています。
人を変えることはできない。
でも、変わるきっかけをつくることはできる。
それが、長年人と関わってきた中で感じている、私なりの人との向き合い方です。