主人公として生きるのか、傍観者として生きるのか(後編)
前編では、主人公として考える人と傍観者として考える人について書きました。
中編では、環境は大切ですが、人そのものを変えることはできないのではないかという考えを書きました。
では、人は変えられるのでしょうか。
私は二十代の頃から部下を持ち、管理職として多くの人と関わってきました。
どうすれば成長できるのか。
どうすれば主体的に動けるのか。
どうすれば能力を発揮できるのか。
本を読み、研修を受け、実際に試しながら考え続けてきました。
しかし長年の経験を通じて感じているのは、人は他人によって変えられるものではないということです。
もちろん知識を教えることはできます。
経験の機会をつくることもできます。
環境を整えることもできます。
ですが、その人の根本的な考え方や生き方を他人が変えることはできません。
変化が起きるときは、本人の中で何かに気づいたときです。
自分で考え、自分で納得し、自分で行動しようと決めたときです。
その瞬間に初めて変化が始まります。
だから私は、人を変えようとすることよりも、人が気づく機会をつくることのほうが大切なのではないかと思っています。
ものづくりの現場でも同じです。
図面を渡せば良い製品ができるわけではありません。
設備があれば成果が出るわけでもありません。
最終的には、それを扱う人がどう考え、どう判断するかによって結果が変わります。
(株)アリスが大切にしているのは、答えを与えることではなく、一緒に考えることです。
研究開発の現場でも、生産現場でも、課題には決まった正解がないことが少なくありません。
だからこそ、自ら考え、自ら判断する力が重要になります。
主人公として仕事に向き合う人は、自分で考えます。
うまくいかない理由を探すだけではなく、できる方法も探します。
誰かのせいにするのではなく、自分にできることを考えます。
一方で、傍観者のままでは、どれだけ環境が整っても状況は変わりません。
結局のところ、主人公になるかどうかは本人が決めることなのだと思います。
会社はその手助けはできます。
機会をつくることもできます。
挑戦できる環境を整えることもできます。
しかし最後に一歩を踏み出すのは本人です。
私はこれまで多くの人を見てきましたが、人が大きく変わる瞬間には共通点があるように感じています。
それは誰かに変えられたときではありません。
自分自身が気づいたときです。
(株)アリスもまた、人を変える会社を目指しているわけではありません。
研究開発現場から生産現場までのものづくりに貢献する中で、一人ひとりが当事者として考え、自ら行動できる環境をつくりたいと考えています。
主人公として生きるのか、傍観者として生きるのか。
その答えは会社や上司が決めるものではなく、一人ひとりの中にあるのだと思います。