「作業手順を守れ」の本当の意味 ―(株)アリスが考える“判断力を育てるものづくり”
製造業の現場ではよく「作業手順を守ること」と言われます。
(株)アリスでも、当然ながら作業手順は重要なものとして扱っています。品質を安定させ、安全を確保し、再現性のあるものづくりを実現するためには、手順の共有と徹底が欠かせないからです。
しかし、(株)アリスが考える「作業手順を守る」という意味は、単に手順を暗記することではありません。
作業手順は、まず覚える必要があります。繰り返し実行し、身体が自然に動くレベルまで習慣化することも重要です。基礎作業は、考えなくてもできる状態にしておくことで、品質のばらつきを抑え、安定した製造を実現できます。これはものづくりの土台です。
しかし、本当に重要なのはそこから先にあります。
もし作業者の頭の中が「手順を間違えないこと」でいっぱいになってしまうと、現場で実際に起きている問題や変化に気づく余裕がなくなります。設備の小さな違和感、材料の変化、加工条件の微妙な差。こうした現場のリアルな情報は、作業をしている人が最も早く感じ取ることができます。
ところが、手順の再現だけに意識が集中してしまうと、その情報を判断に結びつける力が育ちません。
実際に現場では、長年同じ作業を続けてきた職人が、設備や仕事内容が少し変わっただけで応用がきかないというケースが存在します。30年間経験があったとしても、同じ設備、同じ仕事でなければ対応できない。場合によっては、未経験の人よりも時間がかかってしまうこともあります。
それは経験が少ないからではありません。
長年の間、「教えられた作業」を続けてきただけで、問題が起きたときの判断や解決は別の責任者が行っていた可能性があるからです。
つまり、作業経験と判断経験は必ずしも同じではありません。
(株)アリスでは、この二つを明確に分けて考えています。
一つは、基礎作業を習慣化する教育。
もう一つは、現場の問題を見つけ、考え、解決していく判断力を育てる教育です。
この二つは似ているようで、実はまったく異なる教育方法が必要になります。
作業手順の周知徹底だけでは、現場で起こる課題を解決できる人材は育ちません。だからこそ(株)アリスは、「手順を守る人」を増やすだけではなく、「判断できる人」を育てることをものづくりの重要なテーマとして考えています。
研究開発の現場でも、生産現場でも、状況は常に変化します。
その変化を理解し、最適な判断を積み重ねることこそが、本当の意味での技術力だと(株)アリスは考えています。
そして、その判断力は特別な人だけが持つものではありません。
適切な環境と教育があれば、現場で働く一人ひとりが育てていくことができる能力です。
(株)アリスはこれからも、単なる作業の繰り返しではなく、考えるものづくりを大切にしながら、現場の技術を磨き続けていきます。