ChatGPTソラ先生と学ぶ!中級者のためのAI実践講座【第49回】ChatGPTで顧客の声を分析する方法|問い合わせ・アンケート・相談内容から本当の課題を見つける実践講座
こんにちは、ソラ先生です。
前回は、ChatGPTを使って顧客別の取引履歴を整理し、新規顧客と既存顧客の違いや、継続取引の特徴を分析する方法を学びました。
今回は、売上金額や受注回数といった数字から少し離れて、お客様が実際に伝えている「言葉」に注目してみましょう。
テーマは「顧客の声の分析」です。
皆さんは、こんな経験はありませんか?
「同じような問い合わせが何度も届いている」
「お客様の要望に対応したのに、期待した評価が得られなかった」
「アンケートには『満足』と書いてあるけれど、その理由が分からない」
「問い合わせメールを保存しているだけで、改善に活用できていない」
「お客様が本当に困っていることを、もっと深く理解したい」
会社には、日々さまざまな声が届きます。
問い合わせメール。
電話での相談。
見積依頼。
技術的な質問。
納品後の感想。
アンケートへの回答。
こうした情報の中には、仕事の改善につながるヒントが含まれている場合があります。
例えば、複数のお客様から「見積に必要な資料が分からない」という相談が届いていたとします。
この場合、単に問い合わせへ回答するだけでなく、ホームページの案内方法や、必要資料の説明を見直すことが考えられます。
ChatGPTは、お客様の言葉を整理し、似た内容を分類し、繰り返し現れる課題や追加で確認すべきことを見つける手助けができます。
今回は、**「顧客の声を集める → 内容を正確に理解する → 分類する → 共通する課題を探す → 背景を確認する → 改善案を考える → 結果を確かめる」**という流れを学びましょう。
1.顧客の声とは何でしょうか?
顧客の声は、英語でVoice of Customerと呼ばれ、VOCと略されることがあります。
これは、お客様が商品やサービスについて伝える要望、意見、評価、困りごとなどを把握するための考え方です。
例えば、次のような声があります。
「もう少し納期を短くできませんか?」
「図面がなくても相談できますか?」
「以前の製品と仕上がりが違うように感じます」
「問い合わせ後の流れが分かりにくかったです」
「今回の部品は、組立作業がしやすくなりました」
こうした声には、さまざまな情報が含まれています。
不満だけではありません。
質問や要望、肯定的な評価も重要な情報です。
また、お客様が正式なアンケートに回答していなくても、通常の問い合わせや打ち合わせで話した内容が、改善の参考になる場合があります。
重要なのは、お客様の言葉を単に記録することではありません。
何について話しているのか、どのような背景があるのかを理解することです。
2.お客様の要望と、本当に解決したい問題は違うことがある
例えば、お客様から次の相談を受けたとします。
「部品をもっと安く製作できませんか?」
この場合、すぐに値引き方法を考え始めるかもしれません。
しかし、なぜ価格を下げたいのでしょうか。
例えば、試作の予算が限られている可能性があります。
継続して使用するため、年間の調達費用を減らしたいのかもしれません。
また、現在の製作方法に必要以上の工程があると考えている可能性もあります。
しかし、これらはすべて仮説です。
実際の理由は、お客様へ確認する必要があります。
そこで、ChatGPTに次のように質問します。
実践プロンプト①
「お客様から『部品をもっと安く製作できませんか』という相談を受けました。この言葉から確認できる要望と、背景に考えられる複数の課題を分けて整理してください。推測を事実として扱わず、お客様に確認する質問を考えてください」
このように質問すれば、値引き以外の方法も考えられるようになります。
例えば、製作数量や材料、加工方法を見直せる可能性があります。
ただし、実際に変更できるかどうかは、品質要求や使用条件によって判断する必要があります。
3.実践例|30件の問い合わせを分析する
ここからは、架空の製造会社へ届いた問い合わせを題材に考えてみましょう。
ある月に30件の問い合わせがあったとします。
内容を確認すると、次のような相談が含まれていました。
「図面がまだ完成していませんが、相談できますか?」
「一個だけの試作品を製作してもらえますか?」
「どの材料を選べばよいか分かりません」
「納期はどのくらい必要ですか?」
「CADデータがなくても見積できますか?」
「追加工に対応できますか?」
「現在使用している部品と同じものを作れますか?」
これらの問い合わせを、何となく眺めているだけでは、全体の傾向が分かりにくいかもしれません。
そこで、ChatGPTを使って整理します。
例えば、次のような分類が考えられます。
| 分類 | 問い合わせ件数 |
|---|---|
| 図面・データに関する相談 | 8件 |
| 製作数量に関する相談 | 6件 |
| 材料選定に関する相談 | 5件 |
| 納期に関する相談 | 5件 |
| 加工方法に関する相談 | 4件 |
| その他 | 2件 |
| 合計 | 30件 |
※学習用の架空データです。今回は一つの問い合わせへ主分類を一つ付けています。
この結果では、図面・データに関する相談が最も多くなっています。
しかし、まだ原因は分かりません。
例えば、ホームページの案内が分かりにくいのかもしれません。
一方、図面が完成する前に相談したいお客様が多いという、仕事の特徴を表している可能性もあります。
そこで、実際の問い合わせ内容を詳しく確認します。
4.問い合わせを分類する方法
ChatGPTで顧客の声を分析する場合、最初から細かく分類しすぎないことが重要です。
例えば、問い合わせを次のように分類します。
技術的な相談
材料、加工方法、形状、性能など。
見積に関する相談
価格、必要資料、数量、条件など。
納期に関する相談
製作期間、希望納期、出荷や到着について。
製品に関する意見
仕上がり、使用感、改善希望など。
サービスに関する意見
問い合わせ対応、説明、情報提供など。
これらを基本分類として使い、必要に応じて細かな分類を追加する方法があります。
ただし、一つの問い合わせに複数の内容が含まれている場合もあります。
例えば、
「図面が完成していませんが、一個だけ試作したいです」
という問い合わせです。
この文章には、図面と数量の二つの要素が含まれています。
そこで、主分類と補助的な分類を分けて記録する方法も考えられます。
実践プロンプト②
「お客様からの問い合わせメールを分類したいです。技術相談、見積、納期、製品への意見、サービスへの意見などに分けてください。一つの問い合わせに複数の内容がある場合は、主分類と補助タグを区別してください」
5.分類する前に、お客様の言葉を残す
顧客の声を整理するとき、ChatGPTに要約してもらうと便利です。
しかし、要約だけを残すと、元の言葉の意味が変わってしまう場合があります。
例えば、お客様が、
「納期を短くしてほしいというより、いつ完成するのか早めに知りたいんです」
と話したとします。
これを単純に、
「短納期希望」
と分類したらどうなるでしょうか。
お客様が本当に伝えている内容と違ってしまいます。
この場合、お客様は納期の短縮そのものよりも、完成時期の見通しを知りたいと説明しています。
そのため、分類するときには元の文章と、要約した内容を区別する必要があります。
例えば、次のような表です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| お客様の原文 | 完成時期を早めに知りたい |
| 要約 | 納期見通しの早期共有を希望 |
| 分類 | 納期・情報共有 |
| 確認事項 | どの段階で予定を知らせると役立つか |
このように整理すれば、元の意味を見失いにくくなります。
実践プロンプト③
「お客様の問い合わせを分析したいです。元の文章を残したうえで、内容を要約し、分類してください。お客様の表現にない要求や感情を勝手に追加しないでください」
6.顧客の声を数字に変える
顧客の声は文章ですが、分類することで件数を集計できます。
例えば、今回の30件の問い合わせについて考えましょう。
<Chart content={{"chartType":"bar","meta":{"title":"問い合わせ内容別の件数(架空データ)","description":"30件の問い合わせを主分類ごとに集計。"},"xKey":"category","series":[{"dataKey":"count","label":"件数","valueSuffix":"件"}],"yAxisMin":0,"data":[{"category":"図面・データ","count":8},{"category":"製作数量","count":6},{"category":"材料選定","count":5},{"category":"納期","count":5},{"category":"加工方法","count":4},{"category":"その他","count":2}]}}/>
このグラフを見ると、図面・データに関する相談が8件で最も多くなっています。
全体30件に対する割合は、
8÷30×100≒26.7%。
となります。
また、製作数量に関する相談は6件です。
全体の20%です。
こうした数字によって、問い合わせの多いテーマを把握できます。
ただし、問い合わせ件数が多いという理由だけで、重要度が高いと判断することはできません。
例えば、件数が少なくても、安全性や品質に関係する重要な問題が含まれている場合があります。
そこで、件数と影響の大きさを分けて考える必要があります。
7.問い合わせが多い理由をどう考える?
例えば、図面・データに関する問い合わせが多かったとします。
この場合、どのようなことが考えられるでしょうか。
ホームページで必要資料の説明が不足している可能性があります。
一方、図面を完成させる前に加工会社へ相談したいお客様が多いのかもしれません。
また、図面ではなく、写真や現物で相談したい人がいる可能性もあります。
これらは、改善方法が異なります。
もし必要資料の説明が分かりにくいのであれば、案内を改善する方法が考えられます。
一方、図面がない段階で相談したいお客様が多いなら、その相談を受ける流れを分かりやすく案内することが役立つかもしれません。
そこで、ChatGPTに次のように相談します。
実践プロンプト④
「図面やCADデータに関する問い合わせが多くあります。この傾向について、案内不足、開発段階での相談需要、データ形式の問題など、複数の可能性を整理してください。それぞれの仮説を確認するための情報と質問を考えてください」
ここで重要なのは、問い合わせが多いことを、すぐに問題だと判断しないことです。
問い合わせの多さが、お客様の関心や相談需要を表している場合もあります。
8.アンケート結果をどう分析する?
次に、アンケートについて考えてみましょう。
例えば、納品後に次の質問をしたとします。
「今回の対応について、どの程度満足していますか?」
回答は5段階です。
非常に満足。
満足。
普通。
やや不満。
不満。
こうした結果を集計すれば、お客様の評価の傾向を確認できます。
しかし、満足度の数字だけでは、その理由まで分かりません。
そこで、自由記述欄を設ける方法があります。
例えば、
「説明が分かりやすかった」
「途中の進捗をもう少し知りたかった」
「製品の品質には満足している」
「見積に必要な情報が分かりにくかった」
といった内容です。
これらを分類することで、具体的な改善候補が見つかる場合があります。
ただし、アンケートへ回答するお客様が、すべてのお客様を代表しているとは限りません。
回答者の偏りにも注意する必要があります。
実践プロンプト⑤
「顧客アンケートについて、5段階の満足度と自由記述を組み合わせて分析したいです。評価の分布、肯定的な意見、不満、改善要望を整理し、回答者の偏りや少数回答による限界も考慮してください」
9.肯定的な意見にも改善のヒントがある
顧客の声というと、不満やクレームへ注目しがちです。
しかし、肯定的な意見にも重要な情報が含まれています。
例えば、お客様から、
「図面が完成していない段階でも相談できたので助かりました」
という意見があったとします。
この場合、何が評価されたのでしょうか。
単に製品を製作したことだけではないかもしれません。
図面が未完成の段階でも相談できたこと。
要求条件を整理できたこと。
製作方法について検討できたこと。
こうした相談過程に価値を感じた可能性があります。
もちろん、一件の意見から、すべてのお客様が同じ価値を求めていると判断することはできません。
しかし、同様の意見が繰り返し届いていれば、サービスの特徴として理解できる可能性があります。
ChatGPTには次のように相談できます。
実践プロンプト⑥
「お客様から『図面が未完成でも相談できて助かった』という意見をいただきました。この言葉から確認できる評価内容と、背景に考えられる価値を区別して整理してください。同じような意見がほかにもあるか調べるための分類項目を考えてください」
10.クレームと改善要望を分ける
お客様からの意見には、さまざまな種類があります。
例えば、
「納品された製品の寸法が図面と違う」
という指摘です。
これは、品質上の問題として確認が必要です。
一方、
「次回は、もう少し早めに進捗を知らせてもらえると助かります」
という意見は、情報共有に関する改善要望として考えられます。
また、
「この部品を別の材料で製作できますか?」
という内容は、技術相談です。
このように、すべてをクレームとして扱う必要はありません。
しかし、単なる要望だと思っていた内容に、実際の不具合が含まれている場合もあります。
そこで、内容を正確に確認することが重要です。
実践プロンプト⑦
「お客様から届いた文章を、品質上の問題、サービスへの不満、改善要望、技術相談、質問などに分類してください。問題が発生しているか判断できない場合は、確認が必要な内容として残してください」
11.AIによる感情分析は、どこまで役立つ?
ChatGPTは、文章の表現から、肯定的・否定的な傾向を整理することができます。
例えば、
「対応が早くて助かりました」
という文章は、肯定的な評価として理解できます。
一方、
「何度も問い合わせましたが、回答がありませんでした」
という文章は、不満を含む可能性があります。
しかし、文章だけから、お客様の本当の感情を正確に判断できるわけではありません。
例えば、
「今回はありがとうございました」
という短い文章です。
これだけでは、満足度が高かったのか、単なる丁寧な挨拶なのか分かりません。
また、皮肉や遠回しな表現、文脈によって意味が変わる場合もあります。
そのため、AIによる感情分析の結果を、そのままお客様の感情の確定した評価として扱ってはいけません。
文章から読み取れる表現と、お客様本人の気持ちは区別する必要があります。
12.繰り返し現れる言葉を探す
顧客の声を分析するとき、同じような内容が繰り返し現れていないか調べる方法があります。
例えば、
「図面がなくても大丈夫ですか?」
「手書きの図でも見積できますか?」
「写真だけで相談できますか?」
「現物しかありませんが、製作できますか?」
という問い合わせがあったとします。
これらは、表現が異なります。
しかし、共通するテーマがあるかもしれません。
それは、「正式な製作図面がない段階で相談できるか」という点です。
このように、言葉が違っていても、似た課題をまとめられる場合があります。
ChatGPTには次のように依頼します。
実践プロンプト⑧
「次の問い合わせ文章について、表現が違っていても共通する課題がないか整理してください。各問い合わせの原文を残し、共通テーマと個別に確認すべき内容を分けてください」
ただし、似ているように見えても、技術的には異なる問題である場合があります。
例えば、手書き図面からの製作と、現物をもとにした再製作では、必要な確認が異なることがあります。
そのため、共通テーマと具体的な仕事の条件を分けて考える必要があります。
13.問い合わせ件数と重要度は別
例えば、ある月に次のような意見があったとします。
「見積の必要資料が分かりにくい」という意見が10件。
「納品された製品が装置に取り付けられない」という意見が1件。
件数だけなら、前者の方が多くなっています。
しかし、後者はお客様の設備や生産へ影響している可能性があります。
そのため、重要な対応が必要になる場合があります。
そこで、次のような観点を組み合わせます。
発生件数。
お客様への影響。
品質や安全性への影響。
問題の緊急性。
繰り返し発生しているか。
改善可能性。
こうした項目です。
ただし、点数を付けるだけで、すべての優先順位を決定できるわけではありません。
重大な品質問題については、件数が少なくても優先的な対応が必要です。
実践プロンプト⑨
「顧客の声について、発生件数だけでなく、顧客への影響、品質、安全性、緊急性、繰り返しの有無を考慮して、対応優先順位を検討してください。重大な問題を件数が少ないという理由で後回しにしないでください」
14.お客様が伝えていない問題を、どう考える?
顧客の声を分析していると、文章には書かれていない課題があるように感じる場合があります。
例えば、
「加工できますか?」
という短い問い合わせです。
この文章だけでは、お客様がなぜ加工可能か確認しているのか分かりません。
例えば、ほかの製作方法で難しかったのかもしれません。
新しい材料を初めて使うのかもしれません。
あるいは、単に対応可能な会社を探しているだけかもしれません。
そこで、背景を推測で確定するのではなく、確認する質問を考えます。
例えば、
「どのような製品への使用を予定されていますか?」
「材料や形状について、現在決まっている条件はありますか?」
「特に確認したい加工上の条件はありますか?」
といった質問です。
ChatGPTには次のように依頼できます。
実践プロンプト⑩
「お客様から『この材料は加工できますか?』という問い合わせが届きました。背景に考えられる複数の目的を整理し、実際の要望を理解するための質問を考えてください。お客様の事情を勝手に決めつけないでください」
15.顧客の声を改善テーマへ変える
顧客の声を分類した後、次に何をするのでしょうか。
例えば、図面に関する相談が多かったとします。
そこで、次のような改善方法を考えられるかもしれません。
相談時に必要な情報を分かりやすく説明する。
図面がない場合の相談方法を案内する。
写真や現物で相談する場合の確認事項を整理する。
問い合わせフォームの説明を見直す。
ただし、どの方法が有効かは、実際のお客様が何に困っているのかによって変わります。
例えば、ホームページの案内が不足しているなら、情報を追加することが役立つかもしれません。
一方、お客様自身が仕様を検討中なのであれば、相談時に確認する項目を整理する方が効果的な場合があります。
そこで、顧客の声から、確認すべき課題と改善案を分けて考えます。
実践プロンプト⑪
「図面やデータに関する問い合わせが多くあります。問い合わせ内容をもとに、どのような課題が考えられるか整理し、案内文の改善、問い合わせ方法の見直し、相談時の確認項目など、改善案を比較してください」
16.改善した後、お客様の声は変わった?
例えば、ホームページの問い合わせ案内を改善したとします。
その後、図面に関する問い合わせが減ったとしましょう。
この場合、改善の効果があったのでしょうか。
可能性はあります。
しかし、問い合わせ自体が減っていた場合にも、件数が減少することがあります。
また、説明が分かりやすくなったことで、問い合わせ前に必要な情報をそろえられるようになった可能性もあります。
一方、案内文が複雑になり、相談そのものをためらう人が増えた可能性も考えられます。
そのため、単純に問い合わせ件数が減っただけで、改善したと判断することはできません。
例えば、次のような情報を確認します。
問い合わせ総数。
該当テーマの問い合わせ割合。
問い合わせ内容の具体性。
見積へ進んだ件数。
問い合わせ後の追加確認回数。
こうした項目です。
実践プロンプト⑫
「問い合わせ案内を改善した後、図面に関する質問が減りました。この変化を評価するために、問い合わせ総数、問い合わせ内容、見積への進行、追加質問などを比較する方法を考えてください。件数の減少だけで改善効果を断定しないでください」
17.問い合わせ内容をホームページ改善へ活かす
顧客の声は、ホームページの改善にも役立つ場合があります。
例えば、次の問い合わせが多かったとします。
「一個だけでも製作できますか?」
「図面がなくても相談できますか?」
「どの材料に対応していますか?」
「納期はどのくらいかかりますか?」
これらは、お客様がホームページを見たときに知りたい情報なのかもしれません。
そこで、よくある質問として整理する方法があります。
ただし、問い合わせで多い内容をすべてトップページへ掲載する必要はありません。
情報が多すぎると、かえって目的のページを探しにくくなる場合があります。
そのため、どの情報を、どのページに掲載するか考える必要があります。
ChatGPTには次のように相談できます。
実践プロンプト⑬
「お客様から多い問い合わせをもとに、ホームページの情報を改善したいです。トップページ、よくある質問、材料紹介、問い合わせページなど、どこへ情報を掲載すると分かりやすいか整理してください。重複した説明を増やしすぎない構成を考えてください」
18.顧客の声を商品・サービス開発へ活かす
顧客の声は、既存の仕事を改善するだけでなく、新しいサービスを考える材料にもなります。
例えば、複数のお客様から、
「図面が完成する前に加工方法を相談したい」
という要望があったとします。
この場合、製作だけでなく、設計段階の相談に需要がある可能性があります。
また、
「少量の試作から量産まで、同じ相談先へ依頼したい」
という要望があれば、試作から継続製作までの進め方を整理することが役立つかもしれません。
ただし、少数の意見だけで、新しいサービスへの需要が十分にあると判断することはできません。
そこで、実際の相談件数や、対応に必要な技術・費用などを確認する必要があります。
実践プロンプト⑭
「お客様から、設計段階の技術相談や、試作から量産までの継続対応について要望が届いています。共通する課題を整理し、新しいサービスとして検討するために、需要、必要な技術、費用、対応体制を確認する項目を考えてください」
19.少数の意見を、全体の意見だと考えない
顧客の声を分析するとき、注意したいことがあります。
それは、声を届けてくれるお客様が、すべてのお客様を代表しているとは限らないことです。
例えば、アンケートに回答してくれたお客様が10人だったとします。
そのうち8人が満足していると回答しました。
この場合、回答者10人のうち80%が満足していることは分かります。
しかし、全顧客の80%が満足していると断定することはできません。
アンケートへ回答しなかったお客様が、どのように感じているか分からないからです。
また、強い不満がある人ほど意見を伝える場合もあれば、満足している人が積極的に回答する場合も考えられます。
このような偏りに注意する必要があります。
ChatGPTには次のように質問できます。
実践プロンプト⑮
「顧客アンケートで10人中8人が満足と回答しました。この結果から分かることと、全顧客について判断できないことを整理してください。回答者の偏りや、回答数が少ない場合の限界も説明してください」
20.顧客の声を記録する仕組みをつくる
顧客の声を継続して分析するためには、記録方法を考える必要があります。
例えば、次のような項目です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録ID | 一意の管理番号 |
| 受付日 | 問い合わせや意見を受けた日 |
| 顧客ID | 必要に応じて取引先と関連づける |
| 受付方法 | メール、電話、フォームなど |
| 原文・記録 | 実際に伝えられた内容 |
| 要約 | 内容を短く整理したもの |
| 主分類 | 技術相談、見積、納期など |
| 補助タグ | 図面、数量、材料など |
| 影響・緊急性 | 必要に応じた評価 |
| 対応状況 | 未対応、確認中、対応済みなど |
| 改善候補 | 必要に応じて検討する内容 |
| 結果 | 実施した対応と確認結果 |
ただし、すべての問い合わせへ大量の項目を入力すると、記録の負担が大きくなる場合があります。
そこで、最初は必要な項目だけを設定し、実際の運用に合わせて見直す方法があります。
また、取引先の機密情報や個人情報については、適切に管理する必要があります。
実践プロンプト⑯
「問い合わせメール、電話相談、アンケート、納品後の意見を一つの管理表へ整理したいです。原文、要約、分類、対応状況、改善候補を管理できるExcelの構成を考えてください。入力の負担を増やしすぎず、必要な情報を検索できるようにしてください」
21.AIの分類結果が正しいとは限らない
ChatGPTは、文章を分類したり、要約したりできます。
しかし、その結果が必ず正しいとは限りません。
例えば、お客様が、
「この部品は使えますが、取り付けに少し時間がかかります」
と話したとします。
AIがこの文章を、
「製品に問題なし」
と分類してしまう可能性があります。
しかし、実際には、取り付け作業に改善の余地があることを示しているかもしれません。
また、
「取り付けに少し時間がかかる」
という言葉が、どの程度の問題を意味するのかは分かりません。
そのため、AIの要約だけでなく、元の文章を確認することが重要です。
特に、技術的な条件や品質上の問題を含む文章については、必要に応じて担当者が内容を確認する必要があります。
実践プロンプト⑰
「顧客の声を分類した結果について、元の文章と要約が一致しているか確認してください。お客様が明確に伝えていない要求や評価を追加している部分があれば指摘してください」
22.今日の実践課題|30件の顧客の声を分析しよう
今回は、ChatGPTを使って、架空の問い合わせデータを分析する練習をしましょう。
ステップ① 顧客の声を整理する
ChatGPTに次のように質問します。
「図面、製作数量、材料選定、納期、加工方法についての問い合わせを分類するための基本ルールを考えてください」
ステップ② 分類別件数を集計する
「図面・データ8件、製作数量6件、材料選定5件、納期5件、加工方法4件、その他2件です。合計件数と構成比を計算してください」
ステップ③ グラフを作成する
「問い合わせの分類別件数を棒グラフで示してください」
ステップ④ 元の要望と背景を区別する
「『図面がなくても相談できますか?』という問い合わせについて、確認できる要望と背景に考えられる可能性を分けてください」
ステップ⑤ 共通テーマを探す
「『手書き図でも見積できますか』『現物しかありません』『CADデータがありません』という問い合わせに共通するテーマを整理してください」
ステップ⑥ 重要度を考える
「問い合わせ件数だけでなく、品質、安全性、顧客への影響、緊急性を考慮して、対応を優先するべき項目を整理してください」
ステップ⑦ 改善案を考える
「図面やデータに関する問い合わせが多い場合、ホームページの説明や問い合わせ時の案内を改善する方法を検討してください」
ステップ⑧ 効果確認を考える
「案内を改善した後、問い合わせ内容や見積への進行がどう変わったか評価する方法を考えてください」
ステップ⑨ 管理表を作成する
「顧客の声の原文、要約、分類、対応状況、改善候補を記録できるExcel表を考えてください」
ステップ⑩ 分析報告書にまとめる
「問い合わせの傾向、共通する課題、確認が必要なこと、改善候補、効果確認方法をまとめた顧客の声の分析報告書を作成してください」
この練習では、問い合わせ件数を減らすことだけを目的にしないでください。
お客様が何に困り、何を知り、何を実現したいのかを理解することが目的です。
23.顧客の声をAIで分析するときの注意点
ChatGPTは、問い合わせ文章の要約、分類、共通テーマの抽出、アンケート結果の整理などを支援できます。
しかし、文章だけから、お客様の本当の考えや感情を完全に理解できるわけではありません。
また、AIが要約した結果によって、元の意味が変わってしまう可能性もあります。
そのため、重要な問題については、元の文章や実際のやり取りを確認する必要があります。
さらに、顧客の声には、会社名、担当者名、図面情報、開発内容など、重要な情報が含まれている場合があります。
AIで分析する際には、利用する情報の範囲や管理方法に注意する必要があります。
また、アンケートや問い合わせの結果には、回答者の偏りがある場合もあります。
少数の意見を、すべてのお客様の意見だと決めつけないことが重要です。
24.顧客の声を聞くことは、何につながる?
最後に、顧客の声について少し考えてみましょう。
会社には、日々さまざまな問い合わせが届きます。
技術的な質問。
見積依頼。
納期の相談。
品質についての確認。
製品への意見。
こうした一つひとつの声へ対応することは、重要な仕事です。
しかし、その場で回答して終わるだけでは、似た問題が繰り返される可能性があります。
例えば、毎月同じような質問が届いていた場合です。
その質問を整理することで、ホームページや資料の説明を改善できるかもしれません。
また、お客様の開発段階で共通する困りごとが見つかれば、新しい対応方法を考えるきっかけになる可能性があります。
一方、製品への不満が繰り返し届いていれば、品質や仕事の進め方を見直す必要があるかもしれません。
このように、顧客の声は、単なる問い合わせ履歴ではありません。
自分たちの仕事を、相手の視点から理解するための情報です。
まとめ|お客様の言葉から、改善のヒントを見つける
今回は、ChatGPTを使って顧客の声を分析する方法を学びました。
重要なポイントは、次のとおりです。
- 顧客の声には、問い合わせ、要望、不満、評価などが含まれる。
- お客様が伝えた要望と、その背景にある目的を区別する。
- 問い合わせを分類し、共通するテーマを整理する。
- 元の文章を残し、要約による意味の変化を防ぐ。
- 分類別件数や構成比を計算し、傾向を把握する。
- 問い合わせ件数が多い理由を、推測で決めつけない。
- 肯定的な意見からも、評価されている内容を学ぶ。
- クレーム、改善要望、技術相談などを区別する。
- AIによる感情分析を、顧客本人の感情の確定した評価としない。
- 件数だけでなく、問題の重大性や顧客への影響も考える。
- 顧客の声を、サービスやホームページの改善へつなげる。
- 改善後は、実際の結果を確認する。
- アンケートの回答者の偏りや、少数意見の限界を理解する。
- Excelなどを使って、顧客の声を継続的に管理する。
仕事では、お客様からさまざまな言葉をいただきます。
その中には、具体的な要望もあれば、何気ない感想もあります。
また、まだ十分に整理されていない相談もあるでしょう。
こうした言葉を丁寧に確認することで、自分たちでは気づかなかった問題が見つかる場合があります。
例えば、図面が完成する前に相談したいお客様が多いこと。
少量の試作について、対応できるか不安に感じているお客様がいること。
納期を短縮することよりも、進捗を早めに知りたいお客様がいること。
こうした違いを理解することが重要です。
ChatGPTは、文章の整理や分類、共通テーマの抽出、改善案の検討を支援できます。
しかし、お客様の本当の意図を理解するには、必要に応じて直接確認することが欠かせません。
顧客の声を分析する目的は、意見を集計することだけではありません。お客様が何に困り、何を期待しているのかを理解し、自分たちの仕事をより良くすることです。
AIと一緒に言葉を整理し、共通する課題を見つけ、改善方法を考える。
そして、実際のお客様との仕事を通じて、結果を確認する。
その積み重ねが、中級編で身につけていきたい実践的なAI活用です。
次回【中級編・第50回】
「ChatGPTでアンケートを設計する方法|質問の作り方・回答の偏り・集計と改善への活用を学ぶ実践講座」
次回は、お客様や従業員から必要な意見を集めるために、どのようなアンケートを作ればよいのか学びます。
質問の順番や選択肢の作り方、回答しやすさ、自由記述の活用、回答結果の分析までを整理し、集めた意見を実際の改善につなげる方法をChatGPTと一緒に考えていきましょう。