量産前の工程確認では、作業する人の動きも重要になる
新しい製品や部品を量産する前には、設計したものが要求どおりに製作できるかを確認するだけでなく、生産工程として成立するかを検討する必要があります。
試作品を一つ完成させることと、同じ製品を決められた条件で繰り返し製作することでは、求められる内容が異なります。
量産工程では、加工機械や設備の能力だけでなく、作業する人の動きも品質や生産性に影響します。
例えば、製品を加工治具に取り付ける工程を考えてみます。
部品の向きを確認し、位置決めを行い、固定してから加工を始める。
この作業が複雑であれば、取り付けるまでに時間がかかるだけでなく、位置や向きを間違える可能性も生じます。
試作段階では、設計者や熟練した作業者が注意しながら取り付けることで、問題なく加工できる場合があります。
しかし、量産工程では、作業者が変わっても同じ状態で取り付けられることが重要になります。
そのため、加工治具には、精度を確保する役割だけでなく、作業を分かりやすくする役割も求められます。
例えば、部品を正しい方向にしか取り付けられない構造にすることで、向きの間違いを防げる場合があります。
また、位置決め部分の形状を工夫することで、取り付けるたびに細かな調整を行う必要がなくなることもあります。
ただし、作業を簡単にするための構造が、加工精度や部品の強度に悪影響を与えてはいけません。
作業性と品質の両方を考えながら、適切な構造を検討する必要があります。
株式会社アリスでは、研究開発から生産現場までのものづくりを考えるうえで、部品や治具が実際にどのように使われるのかを理解することを大切にしています。
加工治具や組立治具、生産設備に使用する部品は、完成した形状だけで評価できるものではありません。
作業者が扱いやすいか、正しい位置に取り付けられるか、繰り返し使用しても必要な機能を維持できるか。
こうした視点も、製作するうえで重要になります。
量産前に工程を確認することは、製品そのものの問題を見つけるためだけではありません。
作業の流れや治具の使い方を確認し、生産を続けるうえで問題になる部分を見つける機会でもあります。
安定した生産工程は、設備の性能だけでなく、人が無理なく正しく作業できる仕組みによって支えられています。
株式会社アリスは、部品を使用する人や生産現場の動きまで考えたものづくりを大切にしています。