特定の人しか分からない仕事を減らす
製造業の仕事では、経験を積んだ人が頼りになる場面が数多くあります。
材料の特徴をよく知っている人。加工機械の扱いに慣れている人。お客様ごとの仕事の進め方を理解している人。
長年の経験から身についた知識は、会社にとって大切な財産です。
しかし、その人しか分からない仕事が増えすぎると、別の問題が生まれることがあります。
担当者が休んだとき、ほかの人では仕事を進められない。
以前の見積りや製作条件を確認したくても、どこに資料があるのか分からない。
急いで判断する必要があるのに、必要な情報を知っている人がいない。
こうした状態では、仕事が特定の人に集中してしまいます。
例えば、樹脂部品の製作依頼があったとします。
以前にも同じような部品を製作した経験があれば、そのときの材料や加工方法、見積り条件などが参考になります。
しかし、過去の情報を担当者だけが覚えている場合、別の人が同じ内容を調べ直さなければなりません。
そこで、製作した部品の情報や、判断した理由を記録しておくことが役立ちます。
図面番号や改訂番号、材質、数量、加工方法、注意した点などを整理しておけば、次の仕事で確認しやすくなります。
ただし、記録を残すだけでは十分ではありません。
必要なときに見つけられること。
ほかの人が読んでも意味を理解できること。
変更があれば、新しい情報に更新されていること。
そこまで考える必要があります。
また、何でも細かく記録すればよいというわけでもありません。
記録すること自体が負担になりすぎると、本来の仕事を圧迫してしまいます。
何を共有すれば仕事に役立つのかを考え、無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。
(株)アリスは、樹脂・金属・ゴムなど、自社加工と国内協力会社の技術を組み合わせ、研究開発から生産現場までのさまざまな案件に関わっています。
一つの製品が完成するまでには、お客様との打ち合わせ、見積り、材料手配、加工、検査、出荷など、多くの仕事があります。
それぞれの担当者が持つ情報を、必要な人につなげることも大切な仕事です。
経験豊富な人に頼ることが悪いわけではありません。
むしろ、その知識や判断力は大切にしたいものです。
だからこそ、一人の経験をほかの人の仕事にも活かせるようにする。
特定の人だけに負担が集中しない仕事の進め方を考える。
そうした積み重ねが、小さな会社でも安定して仕事を続けるための力になると考えています。