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敗れた一族を守るため、弓を取った女性。板額御前の知られざる人生【4】

2015.03.05

板額御前を倒した、一人の武士

戦いは続いた。

板額の弓によって、討伐軍には被害が出ていた。

しかし、いかに優れた射手であっても、すべての方向を同時に守ることはできない。

『吾妻鏡』には、藤沢清親という武士が板額を射たことが記されている。

清親は城の背後にあたる高い場所へ回り込み、板額の身体を狙ったという。

板額の鎧に覆われていない部分を射抜いたとされる。

その傷によって、彼女は戦い続けることができなくなった。

そして、敵に捕らえられた。

この出来事を、単に板額が敗れた場面として読むこともできる。

しかし、私たちにはもう一つ考えられることがある。

板額は、正面から攻め寄せる敵に対して優れた弓の技術を発揮していた。

一方、清親はその板額と正面から射合うのではなく、位置を変え、攻撃できる場所を探した。

それぞれが、自分の持つ能力と置かれた状況の中で判断したのである。

戦場では、個人の能力が高ければ必ず勝てるわけではない。

地形をどう利用するか。

相手の動きをどう読むか。

どの場所が守られ、どこに弱点があるのか。

そうした判断も、結果を大きく左右する。

板額の弓の技術が優れていたことと、最終的に敗れたことは、矛盾しない。

人間の能力は、常に置かれた環境との関係の中で発揮される。

どれほど優れた技術でも、状況が変われば、それだけでは対応できなくなることがある。

板額御前の敗北は、そのことも考えさせる。

そして、彼女が捕らえられたことによって、鳥坂城を守る人々の状況は大きく変わった。

一人の女性を失ったことで、崩れた城

板額が捕らえられると、城氏側の抵抗は次第に崩れていった。

鳥坂城は落城し、挙兵を主導していた城資盛も、その後の消息がはっきりしなくなる。

ここで興味深いのは、板額の存在が、単なる一人の弓の名手以上の意味を持っていた可能性である。

優れた能力を持つ人物が集団の中にいると、周囲の人々はその能力を頼りにする。

困難な状況でも、あの人がいるから何とかなると思うことがある。

それは、武士の集団でも同じだったのかもしれない。

板額が矢倉から敵を射続けている間、城を守る人々は、まだ戦えると感じていたのだろうか。

その板額が倒れたことで、抵抗を続ける力を失ったのだろうか。

もちろん、落城には兵力の差や物資の不足、敵方の攻撃など、複数の要因があったはずである。

板額一人が倒れたことだけで城が落ちたと決めつけることはできない。

それでも、彼女の捕縛が城氏側に大きな打撃を与えた可能性は考えられる。

そして、その戦いによって城氏は、かつて越後に築いていた勢力を取り戻すことができなくなった。

一族にとって、それは大きな転換点だった。

板額自身にとっても、同じだっただろう。

彼女は、守ろうとした城を失った。

仲間たちとも離れ離れになった。

そして、敵の捕虜として鎌倉へ送られることになる。

武器を持ち、戦場で自分の能力を発揮していた女性が、今度は他人の判断によって自分の運命を決められる立場に置かれるのである。

板額は、この変化をどのように受け止めたのだろう。

残念ながら、彼女自身の言葉は残されていない。

しかし、鎌倉へ連れていかれた後の出来事については、驚くべき記録がある。

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