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東国は、一つの王国ではなく「水でつながる世界」だったのか

2014.08.10

鹿島。

香取。

息栖。

麻賀多。

ここまで追ってくると、一つの巨大国家の名前を付けたくなります。

日高見国。

そう呼べば全部きれいにつながるようにも見えます。

でも、ここで少し我慢します。

名前を付けるのは最後です。

まず見えているものだけを並べます。

鹿島と香取には古くから強い祭祀的な結び付きがある。

息栖には交通、船、海上守護につながる性格がある。

三社の周囲には巨大な水郷があります。

現在まで続く鹿島神宮の御船祭では、息栖の船を先頭に船団が水路を進み、香取側へ向かいます。

さらに西へ行けば、印旛地域に麻賀多神社群がある。

そこには在地有力者である印旛国造につながる伝承も残っています。

つまり、一つの王が全部を治めた巨大国家を想像しなくても、

鹿島を中心とする地域。

香取を中心とする地域。

印旛を中心とする地域。

そのほか多くの地域社会が存在し、その間を船が行き来していた世界は十分考えられます。

交易するときはつながる。

祭祀でもつながる。

婚姻でもつながる。

外から大きな敵が来れば、一緒に戦うこともあったかもしれない。

しかし普段は、それぞれの土地の有力者がそれぞれの社会を治めている。

私は今、日高見国というものを考えるなら、この形の方に惹かれます。

巨大な宮殿を持つ一つの王国ではない。

水路によって結ばれた、いくつもの地域社会の連合世界。

その中心の一つとして鹿島・香取があり、西側には印旛の世界があり、さらに北へ
別の地域が続いていく。

もしそうなら、のちに大和の律令国家が東へ、そして北へ支配を広げていった意味も
少し変わります。

「何もなかった地方を国家にした」のではない。

すでに人が暮らし、地域の支配者がおり、祭祀があり、交通網があり、それぞれの世界が
できていたところへ、新しい制度が入ってきた。

その世界は、戦いだけで消えたのではないと思います。

神社の名前に残った。

墓に残った。

地名に残った。

祭りに残った。

そして、川や湖の位置にも残った。

今の地図から昔の水面を戻していくと、消えたと思っていた東国の世界が、
少しずつ姿を見せ始めます。

次は、ここからさらに面白くできます。

麻賀多神社・鳥見神社・宗像神社の分布を、印旛沼の古地形と重ねる。

これをやると、同じ印旛地域の中に「別々の祭祀圏」が見えるのか。

それとも水路に沿って役割の違う神社が配置されているのか。

いよいよ神社の分布そのものを地図から読む段階に入れます。

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