一品加工では、段取りそのものが仕事の中心になる
機械加工では、材料を機械に取り付け、工具を選び、加工条件を設定してから切削を始めます。
実際に工具が材料を削っている時間は、ものづくりの工程の一部分です。
特に一品加工では、加工を始めるまでの段取りが大きな意味を持ちます。
量産加工であれば、一度決めた加工条件や治具を繰り返し使用できる場合があります。
しかし、一品加工では、形状も寸法も材質も異なる部品を、その都度製作することになります。
前回と同じ加工方法が使えるとは限りません。
例えば、複雑な形状の樹脂部品をマシニングセンタで加工する場合、どの面を基準に固定するのか、どの方向から削るのか、何回取り付け直す必要があるのかを考えます。
材料の固定方法を間違えると、切削中に材料が動いたり、締め付けによって変形したりする可能性があります。
また、加工する順序によって、最後に必要な部分を固定できなくなることもあります。
そのため、完成形状だけを見るのではなく、材料の状態から完成までの工程を頭の中で組み立てる必要があります。
工具の長さや直径、加工機械の移動範囲、工具と固定具の干渉なども確認しなければなりません。
切削条件についても、材料に応じて検討します。
プラスチック加工では、摩擦熱による溶着や変形、切りくずの排出状態などが加工品質に影響します。
金属と同じ考え方で加工できるとは限らないため、材質ごとの特性を理解することが必要です。
株式会社アリスが向き合う一品加工や試作加工では、こうした加工前の検討が重要になります。
一つの部品を製作するために、加工方法を考え、必要な工具を準備し、場合によっては専用の固定方法を工夫します。
段取りに時間をかけることは、単に加工の準備をしているということではありません。
加工中のトラブルを防ぎ、要求される寸法や形状を実現するための技術的な仕事です。
また、一品加工では経験が役立つ一方で、経験だけでは対応できない形状や材質に出会うこともあります。
その場合には、過去の方法にこだわらず、新しい加工方法や固定方法を検討する必要があります。
一品加工の技術は、機械を動かす技術だけでなく、加工を成立させるための段取りを考える力にも表れます。
株式会社アリスは、一つひとつ異なる仕事に対して、その都度必要な方法を考えるものづくりを大切にしています。