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敵だった田村麻呂は、アテルイとモレを生かそうとした

2014.02.01

長い間、戦った相手です。

坂上田村麻呂にとって、アテルイとモレは簡単な敵ではなかった。

何度攻めても、その土地の人々はまとまる。

地形を知っている。

人がついてくる。

そして何より、自分たちの国を守る理由がある。

私は、田村麻呂も途中で気づいたのだと思っています。

この二人を殺しても、東北は治まらない。

アテルイとモレは、戦場で捕らえられて都へ連れて行かれたのではない。

長い戦いのあと、和平の道を選び、田村麻呂とともに中央へ向かった。

おそらく田村麻呂は、

「一度、話をしてほしい」

と考えた。

戦ってきたからこそ、相手がどんな人物なのかも分かっていたのでしょう。

民をまとめる力。

土地を守る責任感。

仲間からの信頼。

田村麻呂は、敵としてではなく、その国を代表する人物として二人を見ていた。

だから生かして故郷へ帰そうとした。

ところが、中央にいた人間たちの見方は違った。

彼らが恐れたのは、二人の武力だけではなかった。

人がついてくること。

アテルイとモレが故郷へ戻れば、また人々がまとまる。

だから帰さない。

そして二人は河内で処刑された。

私は、この出来事を見るたびに考えます。

同じ人物を見ても、田村麻呂と中央の人間では、まるで違って見えていた。

田村麻呂には、

「話のできる相手」

に見えた。

中央には、

「残しておけば危険な存在」

に見えた。

本人たちに聞いたとしても、きっと言うことは違ったでしょう。

だから歴史は一つの言葉では決められない。

でも、人が何を恐れ、誰を信じ、なぜその判断をしたのかを追えば、見えてくるものはある。

アテルイとモレが恐れられたのは、弱かったからではない。

人々から信頼されていたからです。

そして、その記憶は処刑されたあとも消えなかった。

遠く離れた大阪の地で、今も二人の塚に人が手を合わせる。

私は、それこそがこの二人がどんな人物だったのかを、静かに伝えているように思います。

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