昔の日本では、老人も地域の先生だった
2013.10.02
昔の日本では、老人は「仕事ができなくなった人」ではなかった。
私は、むしろ地域の知恵を持った人だったと思っています。
どこに水があるか。
どの山道が安全か。
どの草が食べられるか。
いつ種をまけばいいか。
川が増水した時、どこまで逃げればいいか。
祭りをどう進めるか。
誰と誰が昔からつながっているか。
こうした知識は、本を読めば分かるものではありません。
長く生きた人の中に蓄積されていく。
だから老人は、体力では若い人にかなわなくても、地域にとって必要な存在だった。
子どもたちは、その話を聞く。
若い人は、困った時に尋ねる。
失敗した時には、過去の経験を教えてもらう。
私は、昔の共同体では、
年を取ることが、役割を失うことではなく、役割が変わることだった
と思っています。
若い時には働く。
年を取れば教える。
さらに年を取れば、地域の記憶になる。
これも、上下ではなく役割です。
誰でもいつか若者ではなくなる。
でも、それで共同体から外れるわけではない。
むしろ長く生きたからこそ持てる役割があった。
だから昔の日本では、老人を大切にすることは道徳だけではなかった。
地域の知識を守ることでもあった。
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