レオナルド・ダ・ヴィンチさま|複雑なものほど、分けて考える
複雑なものを見ると、難しく感じます。
人体。
鳥の飛行。
水の流れ。
機械。
どれも、全体をそのまま理解しようとすると分かりません。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、そんな複雑なものを細かく描いています。
骨。
筋肉。
関節。
翼。
歯車。
滑車。
水の流れ。
なぜ、あれほど細かく描いたのでしょう。
私は、絵として残すためだけではなかったと思います。
分からないものを、分かるところまで分けていた。
そんなふうに見えます。
腕が動く。それだけでは分からない
人間は腕を曲げることができます。
当たり前です。
でも、
「なぜ曲がる?」
と聞かれると急に難しくなります。
骨がある。
関節がある。
筋肉がある。
腱がある。
それぞれがつながり、力が伝わって腕が動く。
一つの「腕を曲げる」という動作の中に、たくさんの仕組みがあります。
ダ・ヴィンチは人体を解剖し、それらを細かく描きました。
全体を見るだけでは分からない。
だから中を見る。
中を見ても複雑なら、さらに分けて見る。
機械も同じ
機械も、動いているところだけを見ると複雑です。
でも分解していけば、
回る。
押す。
引く。
支える。
力を伝える。
方向を変える。
そんな比較的単純な働きの組み合わせになっていきます。
複雑に見えるものも、小さな仕組みまで分ければ理解できる。
そして一つ一つの仕組みが分かれば、組み合わせを変えることもできます。
ここまで来ると、観察は発明につながります。
分解するのは、壊すことではない
「分解する」と聞くと、物をバラバラにすることを想像します。
でも考えることも同じです。
問題が起きたとき、
全部まとめて、
「うまくいかない」
と考えても原因は見つかりません。
どこまでは正常なのか。
どこからおかしくなったのか。
材料なのか。
形なのか。
動きなのか。
条件なのか。
一つずつ分ける。
すると、ぼんやりしていた問題に輪郭が出てきます。
難しい仕事ほど、小さくする
ものづくりでも、最初に図面を見て、
「これは難しい」
と思う仕事があります。
でも「難しい」という名前の工程はありません。
形状が難しいのか。
精度が厳しいのか。
材料が扱いにくいのか。
工具が届かないのか。
固定が難しいのか。
測定が難しいのか。
分けていけば、考えられます。
一つずつなら解決できることもあります。
それを組み合わせれば、最初は難しく見えた仕事が少しずつ現実的になっていく。
天才だから分かったのだろうか
ダ・ヴィンチを見ると、
「天才だから分かった」
で終わらせたくなります。
でも、それでは何も残りません。
彼が残した大量のスケッチを見ると、最初から全部分かっていた人には見えません。
見て。
描いて。
分けて。
また考える。
分からないから、さらに描く。
その繰り返しです。
もしかすると、難しいことを理解する力とは、
複雑なものを、考えられる大きさまで小さくする力
なのかもしれません。
株式会社アリスでも、難しい相談ほど最初から答えを決めず、問題を一つずつ分けて考えます。
分からないなら、分かるところまで分ける。
そこから、ものづくりを始めます。