機械加工の経験者が、仕事の幅を広げていくということ
機械加工の仕事を長く続けていると、できることが増えていきます。
図面を読む。
加工の段取りをする。
機械を操作する。
寸法を確認する。
仕上がりを見て、必要な調整をする。
最初は一つずつ覚えていたことも、経験を重ねるうちに自然にできるようになっていきます。
だからこそ、ある程度仕事ができるようになったところで、
「次は何を覚えればいいんだろう」
と考えることがあります。
機械をもっと使えるようになる。
難しい形状を加工できるようになる。
精度をさらに上げる。
もちろん、そうした技術を深めていくことも大切です。
でも、仕事の幅を広げるというのは、それだけではありません。
一つの仕事を見たときに、「どう作るか」を最初から考えられるようになることも、その一つです。
図面を受け取ったとき、いきなり機械を動かすのではなく、まず形を見る。
どこを基準にするか。
どの順番で加工するか。
どこを最後まで残しておくか。
どう固定すれば加工しやすいか。
使う工具は何がいいか。
材料によって変えたほうがいいところはないか。
こうして考えることが増えると、加工そのものだけではなく、その前の段取りまで自分の仕事になってきます。
さらに、実際に加工した結果が思った通りにならなかったときには、原因を考える必要があります。
加工方法に問題があったのか。
工具なのか。
条件なのか。
固定方法なのか。
寸法の取り方なのか。
一つずつ確認しながら、次の方法を考える。
そうした経験が積み重なると、以前なら迷っていたことでも、次第に判断できるようになります。
仕事の幅が広がるというのは、担当する作業が増えることだけではありません。
一つの仕事に対して、自分で考えられる範囲が広がることでもあります。
もちろん、すべてを一人で決める必要はありません。
自分では判断できないことは、周りに相談する。
これまで経験したことのない材料なら、詳しい人に聞く。
加工方法で迷ったら、別の考え方を聞いてみる。
そのうえで、自分でも考える。
こうしたやり取りを重ねながら、次は自分で判断できるようになっていけばいい。
長年、機械加工をしてきた人なら、すでにたくさんの経験があります。
その経験を使って新しい仕事を覚えるとき、ゼロから始める人とは違うところがあります。
加工しにくい形を見分ける感覚。
仕上がりを想像する力。
機械や工具の状態を見る感覚。
加工中の変化に気づく力。
失敗したときに、どこを疑えばいいかを考える力。
こうしたものは、実際の現場で身につけてきたものです。
だから、新しい仕事に挑戦するときも、今までの経験がなくなるわけではありません。
むしろ、その経験を使える場面を増やしていくことで、仕事の幅を広げていくことができます。
今までできなかった形を作れるようになる。
知らなかった材料を扱えるようになる。
加工方法を自分で考えられるようになる。
一つの仕事を任されたときに、作るところだけではなく、考えるところから関われるようになる。
そうやって、少しずつ「できること」が増えていきます。
機械加工の仕事を長く続けてきたからこそ、これから先は、
「今まで何ができたか」だけでなく、「これから何ができるようになりたいか」
を考えてみてもいいのではないでしょうか。
同じ機械加工の経験を使いながら、今までとは違う仕事にも挑戦する。
そこで新しい技術を覚える。
覚えたことを次の仕事で使う。
そうやって経験の引き出しが増えていけば、自分ができるものづくりの範囲も少しずつ広がっていきます。