PEEK薄肉部品の切削加工で変形を抑えるための考え方
PEEKは高強度なエンジニアリングプラスチック樹脂ですが、薄肉形状になると切削加工の難易度は大きく変わります。
材料が高強度だから、薄くしても問題なく加工できるとは限りません。
薄肉部では、工具が材料に接触したときの切削抵抗によってワークがわずかに逃げます。その状態で工具が通過すると、加工プログラム上では正しい寸法でも、実際には狙った寸法にならないことがあります。
さらに問題になるのが固定方法です。
加工中に動かないよう強くクランプすると、PEEKそのものが変形した状態で固定される場合があります。
その状態で寸法を仕上げても、加工終了後にクランプを解除すると材料が元へ戻り、平面度や寸法が変化することがあります。
薄肉部品では「強く固定すること」と「安定して加工すること」は同じではありません。
必要な保持力を確保しながら、ワークへ余計な力を与えない固定方法を考える必要があります。
また、一方向から大量に材料を除去すると応力のバランスが崩れ、ソリが出やすくなることがあります。そのため形状によっては、複数方向から加工したり、荒加工後に状態を確認してから仕上げたりします。
工具条件も重要です。
切込み量を増やせば加工時間は短縮できますが、切削抵抗も大きくなります。反対に条件を弱くし過ぎれば工具が擦る状態となり、発熱の原因になります。
つまり、薄肉PEEK加工では、工具条件、固定方法、加工順序を一体として考える必要があります。
(株)アリスでは、肉厚だけを見て加工可否を判断するのではなく、薄肉部分の長さ、周囲の形状、固定できる場所、要求精度などから加工方法を検討します。
薄肉形状を成立させるためには、材料の強さだけでなく、「加工中にどのように動くか」を考えることが重要です。