高精度な切削加工は工作機械だけでは決まらない|設備と加工技術の関係
高精度なCNCマシニングセンタやNC旋盤、精密な測定機器、高性能な切削工具。
精密切削加工では、こうした設備や道具の性能は非常に重要です。しかし、高性能な工作機械を導入すれば、自動的に高精度な部品が安定して製作できるわけではありません。
工作機械が正確に動いても、加工条件が材料や形状に適していなければ、完成品の寸法は安定しません。
例えば工具の突き出し量が長くなれば、切削中に工具がわずかにたわみます。深いポケット加工や細径工具を使用する形状では、その影響が加工面や寸法に現れやすくなります。
ワークの固定方法も重要です。
強く固定すれば安定するとは限りません。特にプラスチック樹脂や薄肉部品では、クランプ力によって製品自体が変形した状態で加工され、固定を解除した瞬間に寸法が変化する場合があります。
また、加工中には切削熱が発生します。材料や工具が温度変化によって膨張すれば、その状態で測定した寸法と常温に戻った後の寸法には差が生じる可能性があります。
つまり、高精度加工を成立させるには、機械精度だけではなく、工具、保持方法、加工条件、温度、材料特性、測定方法まで一連の工程として考える必要があります。
(株)アリスでは、最新の工作機械や工具の特徴を理解したうえで、それを製品ごとの加工条件へ落とし込むことを大切にしています。
加工設備にはそれぞれ得意な領域があります。
重要なのは「高性能な設備を持っていること」ではなく、「その設備をどの仕事に、どのような条件で使えば最も安定するのか」を判断できることです。
理論に基づいて条件を組み立て、実加工で状態を確認し、必要に応じて修正する。その積み重ねが、プラスチック樹脂やアルミの試作部品、治具などを安定した精度で製作するための精密切削加工技術につながっています。