手加工と呼ばれる仕事のバリ取り作業。(中編)
バリ取りの基礎的な意味合いや基本的な作業を覚えていただくと、教え方はティーチングからコーチングへと比率を変えていきます。
ティーチングは、先生として指導し、教えたことをそのまま覚えてもらう方法です。
一方でコーチングはサポートです。自主的に取り組み、その中で困ったことや分からないことを聞いてもらいます。出来なかったこともそのままにせず、必ず伝えてもらいます。
ある程度できるようになるまではティーチングを行いますが、出来るようになってきた段階で、素材や形状ごとのバリの取り方を自分で考えながら実践するように、コーチングへ切り替えます。
ティーチングが続きすぎると、自分で考える力が弱くなります。
いきなり答えを求めるのではなく、まずは自分で試してみる。疑問や問題点を自分で整理し、解決しようとする習慣を身につけてもらうことを重視しています。
そのうえで、考えて試しても解決できない場合は、遠慮せずに質問してもらいます。作業としてではなく仕事として取り組むためには、自分で感覚を積み重ね、問題に対して判断できる状態になることが必要です。
手加工は、素材や形状によって難易度が大きく変わります。
経験が増えれば難しいものにも対応しやすくなり、経験が少ないうちは簡単な作業でも難しく感じます。センスや器用さといった特別な能力ではなく、経験数の差によるものです。
そのため、出来る・出来ないは一時的な結果として捉えます。
真剣に取り組んでいれば、日々の繰り返しの中で安定して再現できるようになります。
(株)アリスの手加工は、芸術やスポーツのような才能を前提にしていません。可能な限り数値や条件に落とし込み、誰でも再現できる作業として整理しています。
同時に、失敗の判断基準も明確にしています。
無責任なミスは別ですが、取り組んだ結果としての失敗については、原因を確認し、次に同じことが起きないように整理します。失敗そのものではなく、その後の取り組みを重視しています。
(株)アリスでは、手加工を職人の感覚に依存させるのではなく、積み重ねと分析によって因数分解し、単純作業の組み合わせとして安定させています。
エンジニアは、現場で起きている事象をデータとして捉え、複雑に見える作業を分解していきます。そうすることで、再現性のあるシンプルな作業に置き換えていきます。
これからも(株)アリスは、エンジニア思考をベースに職人の匠の技を実現していきます。