手加工と呼ばれる仕事の磨き作業(前編)
機械加工で形状は出ても、そのままでは仕上がりになりません。
切削加工は、刃物を回転させたり、部品(ワーク)を回転させて固定した刃物を当てることで、板材や丸棒を削っていきます。
鋭利な刃物で切っているというより、材料の表面をむしり取っている状態に近い工程です。
そのため、カットしたような綺麗な断面にはならず、表面はケバ立ったような粗い状態になります。
(株)アリスでは、透明素材の切削加工や鏡面仕上げ、塗装前の下地など、表面粗さが細かく整っていないと完成後の見た目や触感が要求を満たせません。
そこで行うのが磨きです。
磨きとは、切削加工で粗くなった部品表面を整える工程です。
バリ取りが不要な部分を除去する作業であるのに対し、磨きは表面の状態を整える作業です。
刃物跡を消す、細かな傷による白化を透明に戻す、塗装の下地を整えるなど、目的によってやり方が変わります。
教え方は、まずティーチングから始めます。
切削加工で作った練習用サンプルを使い、見本作業を見せ、そのまま真似てもらいます。使用するのはペーパーやバフ、コンパウンドなどですが、重要なのは磨き方と、どこまで磨くかです。磨き過ぎやムラがあると、表面は整いません。
最初は結果よりも手順を揃えます。
どの順番で、どの程度まで磨くのか。理論と感覚の両方で覚えていきます。ひとつひとつの工程は単純作業ですが、その積み重ねで複雑に見える磨きが完成します。
(株)アリスでは、磨きを職人の感覚や長い経験が必要な仕事だとは考えていません。
同じ方法を行っていては長い時間がかかるため、工程を因数分解し、ひとつひとつを単純な作業に置き換えてシンプル化しています。
作業手順を覚えることに偏らず、手や指の感覚、力加減、どこまで磨くとどう変化するのかといった現実の反応に集中できる状態をつくります。
その積み重ねによって、感覚として理解できるようになります。
(株)アリスでは、この進め方で磨き作業を誰でも出来る仕事として成立させています。