ChatGPTソラ先生と学ぶ!中級者のためのAI実践講座【第83回】ChatGPTを使って問題の原因を掘り下げる方法|出来事の流れ・複数の仮説・検証する証拠を整理する実践講座
1.はじめに
皆さん、こんにちは。ソラ先生です。
前回は、問題が見つかった直後に、確認できた事実、影響範囲、最初の対応を整理する方法を学びました。
今回は、その記録をもとに、問題の原因を掘り下げます。
「古い資料を使ってしまったのは、なぜだろう」
「同じ確認漏れが、別の場面でも起きている」
「原因らしい説明はあるが、それを確かめる記録がない」
こうした場面では、説明の自然さだけで原因を決めず、出来事の流れと証拠を照らし合わせる必要があります。
ChatGPTを使って複数の仮説を整理し、何を確認すれば見分けられるかを考えましょう。
なお、この講座に登場する案件、資料、記録、会話は説明用です。実際の社内の出来事や成果を示すものではありません。
2.今回の到達目標
今回の目標は、もっともらしい原因を一つ選ぶことではありません。
確認できた出来事から仮説を立て、証拠によって説明を確かめることです。
次の五つを目指します。
- 調べる問題と範囲を具体化する。
- 出来事の順序と、未確認の部分を整理する。
- 発生した理由と、発見できなかった理由を分ける。
- 複数の仮説について、支持・反対の証拠を確認する。
- 原因について分かった範囲と、残る課題を説明する。
ChatGPTには、時系列の整理、仮説の比較、確認する質問の作成を手伝ってもらいます。
3.今回調べる問題を一文にする
原因を考える前に、何について調べるかを明確にします。
例えば、
書類の管理が悪かった。
という表現は、すでに評価や原因の解釈を含んでいます。
次のように、確認できた現象で書きます。
対象案件で、正式な数量と異なる記載の資料が送付された。
対象、起きたこと、違いを具体化すると、調査の範囲を決めやすくなります。
4.原因調査と対応の目的を分ける
資料を修正して送り直すことと、なぜ異なる資料を送ったかを調べることは、別の作業です。
前者は、現在の問題への対応です。
後者は、出来事の仕組みを理解し、次の改善に役立てるための調査です。
修正が終わっていても、原因が分かったとは限りません。
反対に、原因調査が続いていても、確認した条件のもとで復旧できる場合があります。それぞれの状態を分けて管理しましょう。
5.調査に使う記録をそろえる
調査では、実際の出来事を確認できる材料を集めます。
例えば、
- 依頼や変更の連絡。
- 使用した資料と版。
- 作成・保存・送付の記録。
- 確認表。
- 打ち合わせメモ。
- 関係者の説明。
- 問題発見後の対応記録。
元の記録と、後から整理した説明は区別します。
調査のために資料を修正する場合も、変更前の状態を確認できるようにしておきます。
6.記録・証言・推測を区別する
情報の種類によって、分かることが異なります。
| 種類 | 説明用の例 |
|---|---|
| 記録 | 送付メールに添付されたファイル |
| 関係者の説明 | 「共有フォルダーから選んだと思う」 |
| 推測 | ファイル名が似ていて取り違えた可能性 |
| 未確認 | 実際に選択した保存先 |
関係者の記憶も大切な材料ですが、記録と同じ確かさとは限りません。
食い違いがある場合は、どちらかをすぐに捨てず、違いを確認事項として残しましょう。
7.調査材料を整理するプロンプト例
以下の情報を、原因調査の材料として整理してください。
【調べる問題】
[記入]【記録・関係者の説明・現在の考え】
[出所を付けて記入]次に分けてください。
1.記録から確認できる事実
2.関係者の説明や記憶
3.原因についての推測
4.情報どうしの食い違い
5.追加確認が必要なことこの段階では原因を確定せず、元の情報にない出来事を補わないでください。
8.出来事を時系列にする
問題が起きるまでの流れを並べます。
例えば、
- 初回の条件を受け取った。
- 条件変更の連絡が届いた。
- 資料を作成した。
- 内容を確認した。
- ファイルを送付した。
- 相手から記載の違いを指摘された。
各出来事に、日時、出所、確認状態を付けます。
正確な時刻が分からない場合は、前後関係だけでも構いません。空白を推測で埋めないことが大切です。
9.時間の前後だけで原因と決めない
ある出来事の後に問題が起きても、その出来事が原因とは限りません。
例えば、担当者が変わった後に確認漏れが起きたとしても、担当変更だけで説明できるとは限りません。
- 資料の内容も変わっていなかったか。
- 確認方法は同じだったか。
- 作業量や日程に違いはなかったか。
- 必要な情報は引き継がれていたか。
原因として考えるには、どのようにつながったかを確かめる必要があります。
10.予定していた流れと実際を比べる
現行の手順や取り決めがある場合は、実際の流れと比べます。
| 確認すること | 見る内容 |
|---|---|
| 予定していた作業 | 何を行うことになっていたか |
| 実際の作業 | 何を行った記録があるか |
| 違い | どこで進め方が変わったか |
| 背景 | 必要資料や時間などの条件はどうだったか |
手順と違ったからといって、そこで調査を終えないようにします。
手順が使える状態だったか、別の方法で目的を満たしていたかも確認しましょう。
11.発生した理由と、発見できなかった理由を分ける
例えば、旧版の資料が送られた場合、二つの問いがあります。
- なぜ旧版が選ばれたのか。
- なぜ送付前の確認で気づかなかったのか。
前者には、保存場所やファイルの選び方が関係するかもしれません。
後者には、照合する項目や確認時点が関係するかもしれません。
別々の仕組みが関わるため、一つの原因へ無理にまとめないようにします。
12.複数の仮説を作る
確認した流れから、原因の候補を挙げます。
例えば、
- 旧版と新版が同じ場所にあり、見分けにくかった。
- 作成に使う一覧へ変更が反映されていなかった。
- 確認後に別のファイルを添付した。
- 変更内容の確定状態が共有されていなかった。
これらは仮説です。
資料や記録で確認できる形にし、候補の数は必要な範囲へ絞りましょう。
13.個人の意識だけで説明しない
「注意不足」「確認不足」という言葉は、状況を十分に説明していない場合があります。
例えば、確認不足なら、
- 何を確認する必要があったか。
- 比較する正式資料はあったか。
- 確認する役割は決まっていたか。
- 確認結果は残っているか。
- 確認後に内容が変わっていないか。
を調べます。
個人の行動も確認対象ですが、それが起きた条件まで見ることが大切です。
14.仮説を作るプロンプト例
次の時系列と記録から、原因の仮説を最大4つ作ってください。
【調べる問題】
[記入]【時系列・記録・未確認事項】
[記入]各仮説について、問題が発生した仕組み、根拠になる情報、不足情報を示してください。
発生した理由と、発見できなかった理由を分けてください。個人の性格や意識を根拠なく原因とせず、仮説に順位や確率を付ける資料がなければ、付けないでください。
15.説明用の実務例:正式な条件と違う資料の送付
ここでは、数量十二個が正式な条件と確認された後も、十個と書かれた資料が送付された事例を考えます。
説明用の仮定として、次の材料があるとします。
- 数量変更の正式な連絡。
- 十二個と記載された確認済み資料。
- 十個と記載された送付ファイル。
- 確認済み資料と送付ファイルは別のファイルだったという記録。
この場合、少なくとも、確認した資料と送った資料が一致していなかったことは分かります。
ただし、別のファイルが選ばれた理由は、まだ未確認です。
16.例から仮説を比較する
この例では、次のように整理できます。
| 仮説 | 支持する材料 | まだ分からないこと |
|---|---|---|
| 旧版を選んだ | 送付ファイルには旧数量がある | どの保存先から選んだか |
| 確認後に別資料を作った | 確認済みと送付済みが別ファイル | 作成や保存の経緯 |
| 送付用の控えが更新されていなかった | 複数ファイルが存在する | 控えの運用と更新状況 |
同じ記録に合う仮説が複数残る場合があります。
その違いを見分ける情報を探しましょう。
17.仮説ごとに予想される記録を考える
仮説を確かめるには、それが正しければ何が見つかるかを考えます。
例えば、
旧版を選んだ。
という仮説なら、旧版の保存場所、送付時の操作記録、関係者の説明などが確認候補になります。
一方、送付ファイルが確認後に作成されていたなら、別の経緯を調べる必要があります。
「何を見ても説明できる仮説」にせず、見分ける条件を明確にします。
18.反する証拠も探す
仮説に合う情報だけを集めると、調査が偏ります。
例えば、「ファイル名が似ていたため」という仮説なら、
- 実際のファイル名は似ていたか。
- 選択した保存先に両方が存在したか。
- ファイル名ではなく、別の手順で選択していなかったか。
- 同じ条件でも取り違えなかった場面はあるか。
を確認します。
反する情報が見つかった場合は、仮説を修正する材料にしましょう。
19.検証する証拠を整理するプロンプト例
以下の仮説について、見分けるための証拠を整理してください。
【仮説一覧】
[記入]【利用できる記録】
[記入]各仮説について、支持する証拠、反する証拠、確認方法、現在の記録では判断できないことを示してください。
同じ証拠が複数の仮説に当てはまる場合は、その限界を明記してください。存在が分からない記録を、取得できる前提にしないでください。
20.聞き取りでは実際の行動を尋ねる
関係者への確認では、結論を含めない質問を使います。
例えば、
ファイル名が似ていて間違えたのですか。
ではなく、
送付するファイルを、どのように選びましたか。
と尋ねます。
さらに、
- そのとき開いていた資料。
- 参照した保存先。
- 確認した項目。
- 途中で受けた連絡。
- 覚えていない部分。
を整理します。
記憶が曖昧な点を、無理に断定してもらわないことが大切です。
21.「なぜ」を繰り返すときの注意
「なぜ」を重ねる方法は、説明を掘り下げるきっかけになります。
ただし、問いを重ねただけで原因が確定するわけではありません。
例えば、
なぜ間違えたのか。
注意していなかったから。
なぜ注意していなかったのか。
忙しかったから。
というやり取りだけでは、証拠が不足しています。
各説明について、実際に何が起きたか、どの記録で確かめられるかへ戻りましょう。
22.複数の条件が重なった可能性を見る
問題は、一つの原因だけで起きるとは限りません。
例えば、
- 旧版が残っていた。
- 送付用の保存場所が別にあった。
- 確認したファイルを特定する記録がなかった。
- 送付直前に作業が中断された。
という条件が重なった可能性があります。
ただし、関連しそうな条件をすべて原因としないようにします。
各条件が、出来事のどこに関わったかを確かめましょう。
23.問題が起きなかった事例とも比べる
同じような仕事で、問題が起きなかった事例も参考になります。
例えば、
- 正しい資料を送れたときは、何を参照したか。
- 保存場所や担当が違ったか。
- 確認と送付の流れが違ったか。
- 変更の有無は同じだったか。
ただし、成功事例との差が、そのまま原因とは限りません。
比較した条件と、まだ説明できない違いを残します。
24.確認する順番を決める
調査する候補が増えたら、次の観点で順番を決めます。
- 複数の仮説を見分けられるか。
- 今後の対応判断に影響するか。
- 記録が残っているか。
- 確認にどれくらいの負担があるか。
- 時間がたつと確認しにくくなるか。
手軽な確認だけを繰り返すのではなく、判断に役立つ情報を優先しましょう。
25.分かった範囲を段階で示す
調査結果は、次のように分けられます。
- 記録で確認できた出来事。
- 複数の情報が支持する原因の説明。
- 一部の情報しかない仮説。
- 反する情報があり、見直した仮説。
- 現在も判断できないこと。
例えば、
確認済み資料とは別のファイルを送ったことは確認できた。選択元の保存先は特定できていない。
という書き方です。
「原因が分かった」と一括りにせず、どこまで確かめたかを示します。
26.原因の整理と対策案を分ける
原因を考える途中で、対策案が浮かぶことがあります。
例えば、
ファイル名を統一すればよい。
という案です。
しかし、ファイル名が原因と確認できていなければ、問題への適合は未確認です。
対策を先に決め、その案に合う原因を選ばないようにしましょう。
応急的に必要な対応は別に進めつつ、原因と対策のつながりを確認します。
27.調査の区切りを考える
原因調査は、情報を増やし続ければよいわけではありません。
例えば、
- 必要な対策を検討できるだけの説明が得られた。
- 重要な仮説を比較できた。
- 追加の記録が残っていない。
- 残る不確実性と、その影響を整理できた。
といった状態を確認します。
追加調査が判断を変えるかを考え、区切りは担当する人と確認します。
すべてを解明したように装う必要はありません。
28.調査結果をまとめるプロンプト例
以下の調査結果を、事実と仮説を分けた報告へ整理してください。
【対象と調査範囲】
[記入]【時系列と確認した記録】
[記入]【仮説ごとの検証結果】
[記入]次の順でまとめてください。
1.確認した問題
2.記録から分かった出来事の流れ
3.支持された原因の説明と根拠
4.見直した仮説と、その理由
5.未解明の部分
6.追加調査が判断へ与える影響
7.対策を考える際に必要な条件原因の確かさを、記録以上に強く表現しないでください。個人の責任や意図を推測で補わないでください。
29.実践演習:10ステップで原因を掘り下げる
説明用の事例、または利用できる過去記録を一つ選び、次の順で取り組みましょう。
- 問題を一文にする。
評価ではなく、確認した現象を書きます。 - 調査範囲を決める。
対象案件と、調べる作業を絞ります。 - 材料を集める。
記録、関係者の説明、推測を分けます。 - 時系列を作る。
出所と確認状態を添え、空白を残します。 - 予定と実際を比較する。
どこで流れが変わったかを確認します。 - 複数の仮説を立てる。
発生と発見の仕組みを分けて考えます。 - 検証する証拠を決める。
支持するものと、反するものを整理します。 - 記録と聞き取りで確かめる。
誘導せず、実際の行動を確認します。 - 仮説を更新する。
合わない説明を修正し、残る不明点を書きます。 - 調査結果をまとめる。
分かった範囲と、対策を考える条件を示します。
30.原因調査のチェックリスト
- □ 調べる問題を具体的に書いたか。
- □ 初動や復旧と、原因調査を分けたか。
- □ 記録、説明、推測を区別したか。
- □ 時系列の空白を想像で埋めていないか。
- □ 発生した理由と発見できなかった理由を見たか。
- □ 複数の仮説を比較したか。
- □ 仮説に反する情報も調べたか。
- □ 個人の意識だけで説明を終えていないか。
- □ 原因と対策案を混ぜていないか。
- □ 分かったことと未解明事項を示したか。
文章として筋が通ることと、証拠で確かめられていることを分けて確認します。
31.よくある失敗と直し方
失敗①:最初の説明を原因として固定する。
別の仮説を挙げ、見分ける記録を確認します。
失敗②:「確認不足」で調査を終える。
何を、どの情報と照合する必要があったかまで具体化します。
失敗③:関係者の記憶を、そのまま確定した時系列にする。
出所と確かさを残し、記録と食い違う部分を確認します。
失敗④:「なぜ」を重ねれば正解にたどり着くと考える。
各回答を、観察や記録で確かめられる説明へ戻します。
失敗⑤:対策を先に決め、原因を合わせる。
原因の検証と対策の評価を分けます。対策がどの条件へ働くかを確認しましょう。
失敗⑥:未解明の部分を残せない。
何が不明で、どの判断へ影響するかを明示します。根拠のない結論で埋めないようにします。
32.今回の要点
今回の要点は、次の五つです。
- 評価を含めず、調べる現象を具体化する。
- 出来事の順序と、情報の出所を残す。
- 発生と発見の両方の仕組みを見る。
- 複数の仮説を、支持・反対の証拠で確かめる。
- 原因の確かさと、未解明の部分を区別して報告する。
原因調査では、説明を一つにまとめることを急がず、証拠と合う説明へ修正していきます。
33.仕事で使える基本プロンプト
今回の内容をまとめた基本プロンプトです。
あなたは、仕事で起きた問題の原因調査を整理する相談相手です。
【調べる問題】
[確認した現象を記入]【調査範囲】
[対象案件・作業・期間を記入]【記録から確認できる事実】
[出所と位置を付けて記入]【関係者の説明や記憶】
[記入]【予定していた手順】
[記入]【現在考えている仮説】
[あれば記入]【利用できる記録と、確認できない情報】
[記入]次の順で整理してください。
1.事実、説明、推測、未確認の区別
2.出来事の時系列と空白
3.予定した流れと実際の違い
4.発生した理由と発見できなかった理由
5.原因の仮説を最大4つ
6.各仮説を支持する証拠と反する証拠
7.仮説を見分ける確認事項
8.関係者へ尋ねる誘導しない質問
9.現時点で説明できる範囲と未解明事項
10.対策を検討する前に必要な追加確認時系列の空白や、関係者の意図を想像で補わないでください。個人の性格や注意不足を根拠なく原因にしないでください。仮説の確率を作らず、証拠に応じて確かさを説明してください。原因の整理と対策案を分けてください。
34.まとめと次回予告
問題の原因を掘り下げるには、出来事を並べるだけでなく、どの条件が、どのように結果へつながったかを確かめる必要があります。
最初の仮説が違っていても、記録を調べて修正できれば、理解は進みます。
ChatGPTには、時系列の整理、別の仮説の検討、証拠の比較、質問づくりを手伝ってもらいましょう。
今回の実践では、一つの問題について、「考えられる原因を三つ」「それぞれを確かめる記録」「まだ分からないこと」を書いてみてください。
次回【第84回】は、「ChatGPTを使って再発防止策を検討する方法|原因とのつながり・現場の負担・効果の確認を整理する実践講座」を予定しています。
調査で分かった原因をもとに、実施できる対策を比較し、効果を確かめる方法まで組み立てます。
それでは、また次回。ソラ先生でした。