雨が降らないだけで、国は揺らぐ
2014.08.23
洪水は目に見えます。川があふれ、家が流される。ところが干ばつは、
もっと静かに人を追い詰めます。
雨が降らない。田に水が入らない。苗が育たない。川の水量が減る。魚も取れなくなる。
最初は「今年は少し厳しい」で済んでも、それが長引けば蓄えていた食料が減っていきます。
古代の社会では、現在のように遠くから大量の食料を運び込む仕組みはありません。
もちろん交易はありましたが、一つの地域全体が不作になれば、人々の生活は簡単に苦しくなります。
すると政治も変わります。
税を取る側と、食べる物さえない側の緊張が高まる。
村を離れる人が出る。別の土地へ食料を求めて移る。
略奪や争いが起きることもあるでしょう。
普段なら従っている人も、「このままでは死ぬ」となれば行動が変わります。
だから古代の政治を見る時、反乱や移住の背景に天候がなかったかを見る必要があります。
人間は理念だけで戦うわけではありません。
腹が減るから動く。
子どもを食べさせるために移る。
水を確保するために争う。
そして雨が降らない時、人は空を見上げます。
そこで祈る。
雨乞いです。
私たちは雨乞いを古い迷信として見がちですが、その場にいる人からすれば切実です。
あと一週間雨が降らなければ田が死ぬ。あと一月続けば冬を越せない。
その恐怖の中で行われた祭祀なら、そこには宗教だけではなく、社会の生存そのものが
かかっていました。
神社に残る雨乞いの祭りを見るとき、本当に見たいのは神様より、その空を見上げて
いた人たちなのかもしれません。
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