経験を積んだ技術者が、仕事の幅を広げるということ
機械加工の仕事を長く続けてきた。
図面を見ることにも慣れている。
機械の扱いも分かる。
加工するときに、どこに注意すればいいのかも経験から判断できる。
だから、仕事ができないわけではない。
むしろ、今まで積み上げてきた経験には自信がある。
それでも、
「この先も今と同じ仕事を続けるのだろうか」
と考えることがあります。
もっといろいろなものを作りたい。
今までやったことのない加工にも挑戦したい。
自分の技術を、もう少し広げたい。
そんな気持ちがあっても、経験者だからこそ転職には迷いがあります。
今までの経験が通用するのか。
新しい会社のやり方に合わせられるのか。
新しい仕事を覚えられるのか。
そして何より、
「結局、転職しても同じことの繰り返しにならないか」
という不安です。
だから、転職先を見るときには、単純に「機械加工の仕事かどうか」だけではなく、どんな仕事をするのかを見る必要があります。
同じ機械加工でも、仕事によって内容は変わります。
同じ製品を繰り返し加工する仕事もあれば、製品ごとに形や材料が変わる仕事もあります。
決まった方法で加工する仕事もあれば、自分で加工方法を考える場面がある仕事もあります。
もちろん、どちらにも技術があります。
量産なら、同じ品質を安定して作るための技術が必要です。
一方で、条件が変わる仕事では、その都度どう対応するかを考える経験が増えていきます。
今まで扱ったことのない材料なら、その特徴を調べる。
形状が違えば、加工する順番を考える。
固定方法を変える必要があれば、その方法を考える。
実際に加工して、結果を確認する。
うまくいかなければ、原因を考えて別の方法を試す。
こうした仕事では、機械を動かす技術だけではありません。
これまで経験してきたことを使って、その仕事に合わせて判断する力も使います。
長く機械加工をしてきた人なら、すでにたくさんの判断材料を持っています。
「この形は加工しにくい」
「この順番なら最後まで寸法を出せそうだ」
「ここは先に仕上げておいたほうがいい」
そうした感覚は、実際に現場で経験してきたからこそ身についたものです。
新しい仕事に移ったとしても、それを一から捨てる必要はありません。
今までの経験を使って、新しい条件に対応する。
そこで新しい方法を覚える。
覚えたことを、次の仕事で使う。
そうやって経験の引き出しを増やしていくことができます。
技術者として仕事を続けるなら、
「今できることを増やす」
だけではなく、
「違う仕事でも今の技術を使えるようにする」
という考え方もあります。
そして、その先に、
「今まで作ったことのないものが作れる」
「今まで考えたことのない加工方法を考えられる」
という新しい技術が加わっていきます。
長年積み重ねてきた経験を活かしながら、もう一段仕事の幅を広げていく。
これからも機械加工を続けたいからこそ、そんな働き方を考えてみるのも一つです。