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新田義貞の一族は、本当に滅びたのか。足利氏に従った血筋、戦国大名となった子孫、そして700年後に残された謎【1】

2015.08.01

1338年、越前国藤島。

新田義貞が命を落としました。

鎌倉幕府を滅亡へと導いた武将は、北陸での戦いの途中、思いがけない形で生涯を終えました。

その後も弟の脇屋義助が戦い続け、息子の義興や義宗も関東で足利氏に抵抗しました。

しかし、彼らも次々と歴史の表舞台から姿を消していきます。

足利尊氏は室町幕府を開き、その子孫が将軍の地位を継承しました。

一方、新田義貞の本宗家は、かつての勢力を取り戻すことができませんでした。

こうして歴史を振り返ると、新田氏は足利氏との争いに敗れ、滅亡した一族のように見えます。

ところが、その後の歴史をたどると、不思議なことに気づきます。

新田氏と同じ祖先を持つ岩松氏は、義貞の死後、新田荘の支配を強めていきました。

新田一族に連なる里見氏は、後の戦国時代に房総半島で大きな勢力を築きました。

そして、新田義貞の弟・脇屋義助の子孫をめぐっても、各地に異なる伝承が残されています。

さらに、江戸幕府を開いた徳川家康も、新田氏に連なる世良田氏とのつながりを系譜に掲げました。

ここまで来ると、一つの疑問が生まれます。

足利氏に敗れた新田氏は、本当に歴史から消えたのでしょうか。

それとも、新田義貞が率いた一族とは異なる道を歩みながら、名前や血筋、家の歴史が別の形で続いていたのでしょうか。

ただし、後世に伝わる系譜が、すべて歴史的な事実として確かめられているわけではありません。

今回の歴史探訪では、勝者と敗者という見方から少し離れ、新田義貞の死後に生き続けた一族の歩みを追ってみたいと思います。

新田義貞が死んだ後、故郷の新田荘はどうなったのか

新田氏の歴史は、上野国新田荘から始まります。

現在の群馬県太田市周辺に広がる地域です。

ここには、源義家の孫にあたる新田義重を祖とする一族が、長い年月をかけて勢力を築いてきました。

新田荘には、一族の館や寺院、神社、所領を管理する仕組みがありました。

それぞれの土地には、長く暮らしてきた人々がいました。

しかし、新田義貞が足利尊氏と敵対したことで、その土地の支配関係も大きく変わります。

義貞が戦場で命を落とした後、新田荘を支配する立場に近づいたのは、義貞の息子たちではありませんでした。

新田一族に連なる岩松氏でした。

ここには、歴史の大きな転換があります。

新田義貞の本宗家は衰退していきました。

しかし、新田氏の祖先につながる別の一族が、かつての本拠地を支配するようになったのです。

同じ祖先を持つからといって、同じ政治的立場で行動するとは限りません。

むしろ、一族が広がれば広がるほど、それぞれの土地や人間関係によって異なる判断をすることになります。

では、岩松氏は、なぜ足利方と結びつく道を選んだのでしょうか。

岩松氏は、新田氏だったのか。それとも足利氏だったのか

岩松氏の祖とされる岩松時兼は、新田氏と足利氏の双方につながる人物です。

父は足利一族の義純。

母は新田義重の孫娘とされています。

つまり、岩松氏は新田氏と足利氏の両方に関係を持つ一族として成立したのです。

この出自を考えると、岩松氏がどちらの家に近い立場を取ったのかという問題は、単純ではありません。

現代の私たちは、新田氏と足利氏を対立する二つの勢力として捉えがちです。

しかし、もともとは共通の源氏の祖先を持ち、婚姻や所領を通じて結びついてきた一族です。

その関係の中から岩松氏が生まれました。

鎌倉時代を通じて、岩松氏は上野国に所領を持ち、独自の家として活動していました。

そして南北朝の動乱では、足利方に結びつくことで新田荘の支配を強めていきます。

ここで、岩松氏が新田義貞を裏切ったと簡単に決めつけることはできません。

岩松氏には岩松氏の家があり、守るべき領地がありました。

一族を維持するためには、どの勢力と協力するかを判断しなければなりませんでした。

新田義貞にとっては、足利尊氏との戦いを続けることが重要な選択でした。

一方、岩松氏は、足利方との関係を通じて新田荘における地位を築いていきます。

同じ祖先を持つ人々が、異なる道を歩む。

そこには、南北朝時代の武士社会の現実がありました。

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