失敗を隠さず伝えることが、判断力を育てる。
手加工の本番で失敗してしまったとき、最も大切なのは、慌てて自分だけで直そうとしないことです。
削ってはいけない部分まで削ってしまった。
工具が滑り、キズがついた。
仕上がりに違和感がある。
そのようなことに気づいたら、まず作業を止め、現在の状態を報告します。
(株)アリスでは、失敗したことだけを理由に厳しく責めることはありません。
大切なのは、その失敗を隠さず伝え、次の判断へつなげることです。
報告を受けた後は、その製品を継続して仕上げられるのか、新しい部品からやり直す必要があるのかを確認します。
図面の公差や使用目的に影響しない範囲であれば、仕上げ方法を変えて対応できる場合があります。
一方で、重要な寸法や機能に関係する部分を傷めていれば、再製作が必要になります。
この判断は、失敗した本人だけに任せるものではありません。
製品の状態を一緒に確認しながら、なぜ継続できるのか、なぜやり直す必要があるのかを説明します。
その経験を通じて、単にバリを取る方法だけでなく、製品のどこが重要なのか、品質をどのように判断するのかも覚えていきます。
難しい材質や形状では、最初から予備の部品を製作しておく場合もあります。
新しい作業には、一定のリスクがあるからです。
起こり得る失敗を想定し、問題が起きた場合にも対応できる準備をしておくことも、ものづくりの仕事の一部です。
もちろん、同じ失敗を何度も繰り返してよいわけではありません。
手を抜いた結果や、確認をせず無責任に進めた結果であれば、仕事への向き合い方を見直す必要があります。
しかし、一生懸命に取り組み、新しいことへ挑戦した中で起きた失敗には、次へ活かせる情報があります。
なぜ工具が滑ったのか。
力の掛け方に問題があったのか。
作業する順番を変えたほうがよいのか。
事前に練習する形状が足りなかったのか。
原因を整理し、方法を改善できれば、その失敗は次の仕事を安定させるためのデータになります。
まったく失敗しない状態が、必ずしも良いとは限りません。
経験したことのある簡単な仕事だけを続けていれば、失敗は減るかもしれません。
しかし、新しい材質や難しい形状へ挑戦しなければ、対応できる仕事の幅も広がりません。
(株)アリスでは、失敗そのものよりも、失敗した後にどのように行動するかを大切にしています。
隠さず報告する。
現物を確認する。
原因を考える。
必要な対応を判断し、次の方法へ反映する。
その積み重ねによって、手加工の技術だけでなく、品質を守るための判断力も身についていくと考えています。