匠の技をエンジニアとしてデジタル継承
ものづくりの現場では、長年培われてきた職人さんの技術に助けられる場面があります。
特に木型や汎用機械を使って加工を行ってきた職人さんたちは、「どこを基準にするか」「どこを逃がすか」を経験的に理解されています。加工内容によっては、段取りに時間がかかる機械加工よりも速く、高精度に仕上げてしまうことがあります。
本来なら精密治具や加工プログラムが必要になるような内容でも、簡易的な治具や自作工具を活用し、短時間で対応してしまう。
追加工や部品改造、現物合わせの後加工などでは、特にその技術が活きます。
一方で、そうした職人さんたちの多くが引退時期を迎えています。
(株)アリスでは、これは単純に人手不足の話ではないと考えています。
現場に蓄積されてきた加工判断や対応力、その背景にある考え方まで失われていく可能性があるからです。
例えば、
- なぜその順番で加工するのか
- なぜその固定方法を選ぶのか
- なぜその工具形状なのか
- なぜその寸法は追い込み過ぎないのか
こうした判断には、必ず理由があります。
感覚的に見える技術でも、実際には加工変形、応力、工具の逃げ、作業性など、現場経験に基づいた合理性が存在していることが多くあります。
(株)アリスでは、その「感覚」を感覚のままで終わらせないことを大切にしています。
現場で起きていることを数値化し、データとして整理し、再現できる形へ変えていく。
職人技を単なる経験として扱うのではなく、エンジニア視点で論理的に解釈し、継承していくことに力を注いでいます。
もちろん、すべてを完全にデジタル化できるわけではありません。
最後は経験や感覚が必要になる場面もあります。
ただ、感覚だけに依存せず、構造を理解し、再現性を高めていく。
それが研究開発現場から生産現場まで安定したものづくりへ繋がると(株)アリスでは考えています。
技術そのものだけではなく、なぜその判断をするのか。
その背景まで整理していくことも、これからのものづくりには重要だと思います。