加工しやすい形と、使いやすい形を近づける
部品には、使うための形があります。
研究者が扱いやすい形。
設備に取り付けやすい形。
作業する人が安全に使える形。
製品として必要な機能を持つ形。
一方で、加工する側から見ると、つくりやすい形というものもあります。
材料を固定しやすい。
工具が入りやすい。
加工する面が少ない。
特殊な治具をつくらなくても加工できる。
必要な精度を安定して出しやすい。
使いやすさと加工しやすさが、最初から完全に一致するとは限りません。
研究開発や試作では、この二つを少しずつ近づけていくことがあります。
たとえば、奥まった場所に細い溝がある。
機能としては必要でも、工具が届きにくい形かもしれません。
深い角に完全な直角が必要になっている。
しかし、切削加工では工具の形状によって角に丸みが残ることがあります。
非常に薄い壁がある。
設計上は成立していても、加工中に変形しやすい場合があります。
こうしたとき、単純に「加工できない」で終わらせるのではなく、何のためにその形が必要なのかを確認します。
その機能を残したまま、少し形を変えられないか。
別の加工方法を使えないか。
部品を分割できないか。
組み立て方を変えられないか。
使う材料を変えれば成立しないか。
目的を確認することで、別の方法が見つかる場合があります。
もちろん、設計には理由があります。
加工しやすいからという理由だけで、本来必要な機能を変えることはできません。
だから、設計する人と加工する人の間で話をすることが大切になります。
研究開発では、このやり取りそのものが次の設計につながります。
加工してみて分かったことを設計へ戻す。
設計変更したものを再び加工する。
使ってみた結果をまた確認する。
一度で答えを決めるのではなく、少しずつより良い形へ近づけていきます。
生産へ進む場合には、加工しやすさもさらに重要になります。
一個だけなら時間をかけて加工できた形でも、数量が増えると負担が大きくなることがあります。
加工時間が長い。
特殊な工具が必要になる。
毎回細かな調整が必要になる。
こうした部分を試作段階で見つけられれば、量産前に改善できる可能性があります。
(株)アリスでは、設計と加工を対立するものとは考えていません。
使いやすいものをつくりたい。
安定して加工できるものにしたい。
どちらも、良いものづくりにつながる考え方です。
加工する側だから見えること。
使う側だから分かること。
それぞれを持ち寄って、より良い形を考える。
それも、研究開発から生産現場までをつなぐものづくりです。