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伊都許利命の墓。伝承を「証拠」にせず、それでも捨てない

2014.03.30

麻賀多神社を調べていると、伊都許利命という名前に出会います。

印旛国造の祖とされる人物です。

そして麻賀多神社の近くには、伊都許利命の墓と伝えられてきた場所があります。

ここで、私たちの歴史の見方が試されます。

「墓がある。だから伊都許利命は実在し、ここに埋葬された」

とすれば簡単です。

でも、それでは少し乱暴です。

古代の人物の墓と伝えられている場所が、本当に本人の墓なのか分からない例はいくらでもあります。

逆に、

「証明されていない。だから後世の作り話」

と捨てるのも簡単です。

私はどちらもしません。

まず墓を見る。

どんな場所にあるのか。

神社との距離はどうか。

周囲の古墳はどうなっているのか。

昔の水辺から見える場所なのか。

そこへ行く昔の道はどこにあったのか。

地元ではどのように語られてきたのか。

墓に供物はあるか。

今も誰かが手を合わせているか。

それから考えます。

伊都許利命その人の墓であることは証明できなくても、「この地域の人々が、なぜここに印旛の祖となる人物の記憶を置いたのか」という別の歴史は確実に存在します。

そして麻賀多神社には、印旛国造と伊都許利命を結び付ける由緒が残っています。麻賀多神社

祭祀。

国造。

墓。

古墳。

水辺。

これらが同じ地域に重なる。

私は一つ一つを無理につないで結論を出すより、まず全部置いてみたい。

机の上に置く。

地図にも置く。

最後に現地へ行って、本当にその景色を自分の目で見る。

文献だけでは分からなかった違和感が、現地では一瞬で分かることがあります。

逆に、地図で「つながっている」と思ったものが、現地へ行けば大きな丘や谷に遮られていることもある。

それが面白い。

歴史は、紙の上だけでは完成しないのだと思います。

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