アインシュタインさまとダ・ヴィンチさま|天才は、考えることをやめない
アインシュタインの言葉として、こんな言葉が伝わっています。
「私はそれほど賢いのではない。ただ、問題と人より長く付き合っているだけだ。」
本人の発言だと確認できる一次資料は見つかっていないようなので、本当にアインシュタインが言ったのかは置いておきます。
でも私は、この言葉が好きです。
そしてレオナルド・ダ・ヴィンチについて調べているうちに、
「あれ?」
と思いました。
この二人、やっていることは全然違うのに、どこか似ています。
一つを考え続けた人
アインシュタインといえば相対性理論です。
光とは何なのか。
時間とは何なのか。
空間とは何なのか。
当たり前だと思われていたものを、そのまま受け入れずに考える。
有名な思考実験もあります。
光と一緒に走ったら、光はどう見えるのか。
自由落下する人は、自分の重さを感じるのか。
実際の装置をつくるのではなく、頭の中に状況をつくって考える。
一つの問題を何度も違う角度から見る。
答えが出なくても、また考える。
アインシュタインは、そんな人だったように見えます。
何でも調べた人
一方のダ・ヴィンチは、まるで逆です。
人体。
鳥。
水。
植物。
光。
機械。
建築。
絵画。
一つどころではありません。
興味があちこちへ飛んでいます。
アインシュタインが一つの問題を深く掘る人なら、ダ・ヴィンチは次から次へ穴を掘っている人に見えます。
ところが、ここまでダ・ヴィンチを見てきて思いました。
本当に違うのでしょうか。
ダ・ヴィンチも、結局ずっと同じことを考えている
人体を見れば、
「なぜ動く?」
鳥を見れば、
「なぜ飛ぶ?」
水を見れば、
「なぜこう流れる?」
機械を見れば、
「なぜ動く?」
対象は変わっています。
でも、そのたびに表面で止まらず、
「なぜ、そうなる?」
まで入っていく。
そう考えると、ダ・ヴィンチもずっと同じ問題を追いかけていたように見えてきます。
この世界は、どういう仕組みで動いているのか。
人体も鳥も水も機械も、その大きな問いを考えるための別々の入口だったのかもしれません。
深く考える方法が違う
アインシュタインは、一つの問いの中へ潜っていく。
ダ・ヴィンチは、いろいろなものを観察しながら共通する原理を探していく。
一人は思考実験を使う。
一人は観察し、描き、分解する。
方法は違います。
でも共通していることがあります。
すぐに分かったことにしない。
ここではないでしょうか。
普通なら、
「そういうものだから」
で終わるところを、
「なぜ?」
ともう一度考える。
答えが出ても、
「本当に?」
ともう一度見る。
そして考える。
天才だから長く考えられたのか
ここで順番が気になります。
二人は天才だったから、普通の人には考えられないことを考えられたのでしょうか。
もちろん、特別な才能はあったと思います。
でも逆もあるのではないでしょうか。
普通なら考えるのをやめるところで、考えるのをやめなかったから、誰も見つけていなかったところまで行った。
分からない時間に耐える。
答えが出なくても考える。
間違ったら戻る。
また考える。
これは、あまり華やかな能力ではありません。
むしろ、かなり地味です。
頭の良さとは何だろう
私たちは頭のいい人を見ると、
「答えが出るのが速い人」
だと思うことがあります。
学校のテストなら、それでいいかもしれません。
でも、誰も答えを知らない問題ではどうでしょう。
速く答えることより、
問題をよく見る。
分からないところを見つける。
問いを変える。
試す。
間違いに気づく。
もう一度考える。
こちらの方が重要になることがあります。
アインシュタインの言葉とされる、
「問題と長く付き合う」
という話は、単に我慢強いという意味ではないと思います。
同じことを延々と考えるのではなく、
分かるまで、考え方を変えながら付き合う。
そこに意味があるのではないでしょうか。
天才ではなくても使える
ダ・ヴィンチにもアインシュタインにもなれません。
なる必要もありません。
でも二人を見ていると、持って帰れるものがあります。
分からないからといって、すぐ諦めない。
分かったと思っても、もう一度見る。
別の角度から考える。
必要なら試す。
そして、少しだけ長く問題と付き合ってみる。
天才の頭脳は真似できません。
でも、
考えるのをやめるタイミングなら、自分で決められます。
ものづくりでも、最初から答えが見える仕事ばかりではありません。
むしろ、すぐには分からない仕事の方が、あとになって多くのものを残してくれることがあります。
株式会社アリスでも、分からない問題に出会ったとき、すぐに答えが出ないことがあります。
そんなときは、もう少し見る。
もう少し考える。
もう一度試す。
天才ではありません。
だからこそ、問題と少し長く付き合ってみます。