ChatGPTソラ先生と学ぶ!中級者のためのAI実践講座【第79回】ChatGPTを使って複数の資料を照合する方法|内容の違い・不足情報・確認すべき矛盾を整理する実践講座
1.はじめに
皆さん、こんにちは。ソラ先生です。
前回は、打ち合わせの論点を整理し、決めること、確認すること、持ち帰る課題を明確にする方法を学びました。
今回は、複数の資料を照合する方法を考えます。
「メールと一覧表で数量が違う」
「説明資料では対応可能となっているが、打ち合わせメモには条件が付いている」
「新しい資料に、以前あった確認項目が見当たらない」
仕事では、一つの資料だけでは判断できない場面があります。複数の資料を比較するときは、違いを見つけるだけでなく、同じ対象や条件について書かれているかを確かめる必要があります。
ChatGPTを使って、記載内容と出所を整理し、確認が必要な点を明確にしましょう。
なお、この講座に登場する資料、数量、日程、会話は説明用です。実際の社内の出来事や成果を示すものではありません。
2.今回の到達目標
今回の目標は、資料どうしの違いを列挙することだけではありません。
何が一致し、何が異なり、何を確認すれば判断できるかを、元の資料へ戻れる形で整理することです。
次の五つを目指します。
- 照合する目的と対象範囲を決める。
- 資料の出所、版、日付、位置を残す。
- 記載の違いと、実際の矛盾を区別する。
- 記載がないことと、否定されていることを分ける。
- 不一致を確認事項へ変え、回答を記録する。
ChatGPTには、抽出、比較表の作成、不足情報の整理を手伝ってもらいます。
3.最初に照合の目的を決める
「この資料を比較してください」という依頼だけでは、どこを見るべきかが曖昧になります。
例えば、目的を次のように具体化します。
対象案件の数量、必要日、対応範囲について、資料間に食い違いがないか確認する。
目的が決まれば、比較する項目を絞れます。
文章表現の違いを探すのか、仕事の条件を確認するのかによって、照合の方法は変わります。
4.比較する対象が同じかを確認する
資料に同じ名称があっても、対象が同じとは限りません。
例えば、
- 同じ製品の別仕様。
- 同じ案件の初回分と追加分。
- 一個当たりの数量と、全体の数量。
- 試行時の条件と、正式運用の条件。
こうした違いがあると、数値が異なっていても矛盾とは言えません。
案件番号、品番、対象期間、作業段階などを確認し、比較してよい組み合わせかを確かめましょう。
5.資料に識別番号を付ける
比較する資料には、短い識別番号を付けます。
例えば、
- 資料A:初回依頼メール。
- 資料B:仕様一覧。
- 資料C:打ち合わせメモ。
- 資料D:変更連絡。
同じ資料名が複数ある場合も、識別番号があると区別できます。
番号だけでは内容が分からなくなるため、資料名や日付との対応表を残しておきましょう。
6.出所と位置を記録する
照合結果から、元の記載へ戻れることが大切です。
資料ごとに、分かる範囲で次を記録します。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 識別番号 | 資料A、資料Bなど |
| 資料名 | ファイル名や件名 |
| 版・改訂番号 | 記載されている番号 |
| 日付 | 作成日、送信日、更新日など |
| 対象 | 案件番号、品番、期間 |
| 記載位置 | ページ、項目名、表の行など |
| 状態 | 草案、確認用、正式版など |
記載のない情報を、ファイル名や見た目だけで確定しないようにします。
7.資料一覧を作るプロンプト例
以下の資料情報から、照合用の資料一覧を作ってください。
【資料情報】
[資料ごとに識別番号を付けて記入]資料名、日付、版、対象、状態、確認できる範囲を整理してください。
不明な項目は「不明」としてください。作成日、送信日、更新日を区別し、ファイル名だけで正式版や最新版と判断しないでください。
資料を比較する前に、何を確認できているかをそろえます。
8.原本と読み取った文章を分ける
画像やスキャン資料から文章を取り出す場合、読み取り違いが含まれることがあります。
例えば、
- 数字の「0」と英字の「O」。
- 小数点やマイナス記号。
- 単位。
- 表の列と行の対応。
- 注記や脚注。
読み取った文章は、照合作業の材料です。
重要な数値や条件は、原本の該当箇所と確認しましょう。読み取れない部分を、前後の文章から想像で補わないことが大切です。
9.確認できた範囲を明示する
資料の一部だけを渡している場合は、その範囲で比較します。
例えば、
資料Aは本文のみ。添付資料は未確認。
資料Bは第一ページのみ。第二ページ以降は未確認。
という状態です。
見ていない部分に記載がある可能性を残します。
「今回提供された範囲に記載がない」と「資料全体に記載がない」を分けて説明しましょう。
10.比較する項目を先に決める
資料ごとに要約を作るだけでは、違いを見落とす場合があります。
比較する項目をそろえます。
例えば、
- 対象。
- 数量。
- 仕様。
- 必要日。
- 提供範囲。
- 対象外。
- 確認条件。
- 未決定事項。
一つの項目に複数の条件がある場合は、さらに分けます。
「日程」という大きな項目だけでなく、資料提出日、確認日、引き渡し日などを区別しましょう。
11.まず資料ごとに記載を抽出する
いきなり結論を出さず、各資料に何と書かれているかを取り出します。
例えば、数量について、
資料A:10個。
資料B:12個。
資料C:数量は確認中。
という形です。
この段階では、どれが正しいかを決めません。
原文の短い記載と位置を残すと、比較表の内容を確認しやすくなります。
12.記載を抽出するプロンプト例
次の資料から、指定項目の記載を抽出してください。
【照合する項目】
対象、数量、必要日、対応範囲、条件。【資料A】
[記入]【資料B】
[記入]資料ごとに、記載内容、短い原文、記載位置を示してください。
記載が見つからない場合は「提供範囲では確認できない」としてください。資料どうしを統合せず、正しい内容の判定もまだ行わないでください。
13.言葉の違いと意味の違いを分ける
例えば、
必要資料を受領してから日程を案内する。
と、
資料がそろった後に対応日を連絡する。
は、同じ意味かもしれません。
ただし、「受領」と「必要資料がすべてそろうこと」が同じ状態を指すかは確認が必要です。
似た言葉を自動的に同一視せず、条件まで比べましょう。
意味が同じと判断した場合も、その理由を残すと確認しやすくなります。
14.数値と単位の違いを確認する
数値が違う場合、単位や集計範囲を確かめます。
例えば、
- 一組と一個。
- 一日当たりと期間全体。
- ミリメートルとセンチメートル。
- 税込みと税抜き。
- 平均と最大。
単位をそろえて比較する場合は、元の値と換算後の値を分けて残します。
換算によって比較できても、測定条件や丸め方が異なる場合があります。重要な数値は、計算と原本の両方を確認しましょう。
15.日付は何を示すかを確認する
資料の日付には、異なる意味があります。
- 作成日。
- 送信日。
- 更新日。
- 回答を希望する日。
- 納入を希望する日。
- 合意した引き渡し日。
例えば、メールの日付が新しくても、本文で古い資料を引用している場合があります。
また、「希望日」と「確定した日程」は異なります。
日付の新しさだけで、採用する情報を決めないようにします。
16.一致・不一致・記載なしを分ける
比較結果は、少なくとも次の状態に分けられます。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| 一致 | 同じ対象と条件で、内容が一致する |
| 不一致 | 同じ対象と条件について、内容が異なる |
| 条件差あり | 適用する対象や条件が違う |
| 記載なし | 提供された範囲に記載が見つからない |
| 判定保留 | 対象や意味が不明で比較できない |
「違いがある」という一種類にまとめず、何が違うかを区別しましょう。
17.記載がないことを否定と扱わない
資料Aに「追加確認を行う」とあり、資料Bにその記載がないとします。
資料Bに書かれていないだけでは、
追加確認は不要になった。
とは言えません。
省略なのか、別資料への参照なのか、手順の変更なのかは未確認です。
記載の欠落を、条件の廃止や了承として解釈しないようにしましょう。
18.説明用の実務例:数量と必要日を比べる
ここでは、同じ案件番号が記された三つの資料を考えます。
| 項目 | 資料A:依頼メール | 資料B:一覧表 | 資料C:変更連絡 |
|---|---|---|---|
| 数量 | 10個 | 12個 | 記載なし |
| 必要日 | 6月20日を希望 | 6月20日 | 数量の確定後に相談 |
| 対象 | 初回分 | 対象範囲の記載なし | 初回分への言及あり |
この表だけでは、正式な数量や日程は確定できません。
資料Bの12個が追加分を含むのか、必要日が合意済みなのかを確認する必要があります。
19.例の違いを確認事項へ変える
この例では、次のように整理できます。
- 数量10個と12個の差は、対象範囲の違いか。
- 資料Bの数量は、誰がどの情報をもとに記載したか。
- 6月20日は希望日か、合意した日程か。
- 資料Cによって、以前の希望日の扱いは変わったか。
- 現在、正式な条件として参照する資料はどれか。
違いを指摘するだけでなく、何を答えてもらえば判断できるかを明確にします。
20.新しい資料を自動的に優先しない
更新日が新しい資料でも、次の可能性があります。
- 草案である。
- 一部の項目だけを変更している。
- 別の対象について書いている。
- 古い情報を転記している。
- 必要な確認が終わっていない。
資料の優先関係が決められている場合は、そのルールに従います。
分からなければ、正式な扱いを確認します。
ChatGPTに資料の内容を比較してもらうことと、採用する条件を決定することを分けましょう。
21.条件付きの記載を落とさない
例えば、
必要資料がそろい、内容の確認が完了した場合に対応する。
という記載を、
対応する。
と要約すると、条件が消えてしまいます。
「場合」「ただし」「除く」「確認後」といった表現は、意味を左右します。
本文だけでなく、表の注記や脚注も比較対象に含めましょう。
短くまとめる際も、適用条件を残します。
22.矛盾の可能性と確定した矛盾を分ける
資料の記載が異なっていても、対象や条件が不明なら、矛盾と断定できません。
例えば、
同じ案件番号について数量が異なるが、対象範囲が一致するか未確認。
と書きます。
対象と条件が同じと確認できた場合は、
同じ対象について、数量の記載が一致していない。
と整理できます。
原因や正しい値まで分かったように書かず、確認できた段階に合わせて表現しましょう。
23.比較表を作るプロンプト例
次の抽出結果から、項目別の比較表を作ってください。
【抽出結果】
[資料番号と記載位置を付けて記入]比較結果を、一致、不一致、条件差あり、記載なし、判定保留に分けてください。
各判定に理由を添え、対象や条件が不明な場合は矛盾と断定しないでください。新しい日付の資料を自動的に正しい情報として採用しないでください。
最後に、判断に必要な確認事項を一覧にしてください。
24.確認の優先順位を付ける
すべての違いを、同じ順番で確認する必要はありません。
次の観点で、先に確認するものを選びます。
- 作業開始に影響するか。
- 数量や仕様を変えるか。
- 約束した内容に関係するか。
- 費用や日程に影響するか。
- 他の人の作業を止めているか。
表記の揺れなど、意味に影響しない違いは別に整理できます。
見た目の違いに時間を使い、重要な条件の確認が後回しにならないようにしましょう。
25.確認文は出所と違いを示す
関係者へ確認する際は、どの資料の何が異なるかを伝えます。
例えば、
資料Aでは初回分10個、資料Bでは12個と記載されています。資料Bが同じ初回分を示しているか確認できていないため、対象範囲と正式な数量をご確認いただけますか。
この段階で、相手の誤りと決めつける必要はありません。
確認したい対象と、回答してほしい内容を具体的に示します。
26.確認文を作るプロンプト例
以下の不一致について、関係者へ送る確認文を作ってください。
【資料ごとの記載と位置】
[記入]【現在分かっていること】
[記入]【判断できていないこと】
[記入]【回答してほしいこと】
[記入]記載の違い、未確認の条件、確認のお願いの順で簡潔にまとめてください。どちらかの資料を誤りと断定せず、未確認の数量や日程を決定事項として書かないでください。
27.回答後の扱いを記録する
確認の回答が届いたら、比較表を更新します。
例えば、次を残します。
- 確認した項目。
- 回答者や回答資料。
- 確認日。
- 採用する内容。
- 適用される対象。
- 修正が必要な資料。
- まだ残る未確認事項。
回答が一つ届いたからといって、すべての不一致が解決したとは限りません。
数量の回答だけなら、日程は未確認のまま残します。
28.照合した範囲と限界をまとめる
照合結果を共有するときは、何を確認したかも示します。
例えば、
資料Aの本文、資料Bの指定シート、資料Cの変更連絡を対象に、数量と必要日を照合しました。添付図面の内容は今回の対象外です。
未確認の資料や読み取れない箇所があれば記載します。
「すべて確認済み」と広く表現せず、実際に照合した範囲を伝えましょう。
29.実践演習:10ステップで資料を照合する
比較できる資料を二つ以上選び、次の順で取り組みましょう。
- 照合の目的を決める。
何を判断するための比較かを書きます。 - 対象を確認する。
案件、品番、期間、作業段階をそろえます。 - 資料番号を付ける。
元の資料へ戻れる対応表を作ります。 - 資料の状態を確認する。
日付、版、草案か正式版かを整理します。 - 確認範囲を明示する。
全文か一部か、未確認の添付があるかを書きます。 - 項目別に記載を抽出する。
短い原文と位置を残します。 - 比較結果を分類する。
不一致、条件差、記載なしを区別します。 - 重要な箇所を原本と照合する。
数値、単位、条件、注記を確認します。 - 確認事項を優先順にまとめる。
判断や後続作業への影響を考えます。 - 回答と採用内容を記録する。
修正する資料と残った課題も整理します。
30.照合結果のチェックリスト
- □ 比較する目的が明確か。
- □ 同じ対象と条件を比べているか。
- □ 資料の版や日付の意味を確認したか。
- □ 元の記載位置へ戻れるか。
- □ 提供された範囲と未確認部分を分けたか。
- □ 数値、単位、注記を原本で確認したか。
- □ 記載なしを否定として扱っていないか。
- □ 条件差を矛盾と決めつけていないか。
- □ 採用する情報の根拠が明確か。
- □ 確認回答と修正対象を記録したか。
比較表の整い方だけでなく、各記載の出所と意味を確かめます。
31.よくある失敗と直し方
失敗①:資料ごとの要約だけを比べる。
比較する項目をそろえ、重要な条件は原文と記載位置を残します。
失敗②:更新日が新しい資料を正しいと決める。
対象、版、資料の状態、正式な優先関係を確認します。
失敗③:記載がないので、条件がなくなったと考える。
省略か変更かを確認し、分からない間は未確認として残します。
失敗④:単位や対象範囲を見ずに数値の矛盾を指摘する。
何に対する値かを確認し、必要なら換算過程を示します。
失敗⑤:ChatGPTに正しい内容を選ばせる。
比較結果を確認材料として使い、正式な内容は根拠資料や関係者への確認で決めます。
失敗⑥:確認後、比較表だけ直して終わる。
実務で使う資料へ修正が必要かを確認し、適用範囲と変更内容を残します。
32.今回の要点
今回の要点は、次の五つです。
- 照合の目的と、比較する対象をそろえる。
- 資料番号、版、日付、記載位置を残す。
- 記載の抽出と、正しい内容の判断を分ける。
- 不一致、条件差、記載なし、判定保留を区別する。
- 違いを確認事項へ変え、回答と採用内容を記録する。
ChatGPTの整理は、見落としを探す助けになります。ただし、重要な記載は元の資料へ戻って確認しましょう。
33.仕事で使える基本プロンプト
今回の内容をまとめた基本プロンプトです。
あなたは、複数の資料を照合し、確認事項を整理する相談相手です。
【照合の目的】
[記入]【対象案件・品番・期間】
[記入]【比較する項目】
[記入]【資料一覧】
[資料番号、名称、日付、版、状態を記入]【資料の内容】
[資料番号と位置が分かる形で記入]【提供していない部分・読み取れない部分】
[記入]【正式な資料の優先関係】
[確認済みの場合のみ記入]次の順で整理してください。
1.比較する対象と条件の確認
2.資料ごとの項目別の記載
3.短い原文と記載位置
4.一致、不一致、条件差あり、記載なし、判定保留の分類
5.各判定の理由
6.原本で再確認する箇所
7.判断に影響する確認事項
8.関係者への確認文案
9.回答後に更新する項目
10.今回照合できた範囲と限界新しい日付の資料を自動的に優先しないでください。記載がないことを、否定や条件の廃止と扱わないでください。未提示のページや添付資料を確認したように説明しないでください。対象や条件が不明な違いは矛盾と断定せず、確認事項として残してください。
34.まとめと次回予告
複数の資料を照合するときは、違う記載を見つけることと、正しい条件を決めることを分ける必要があります。
同じ対象について書かれているか。条件や単位はそろっているか。記載がないだけなのか、変更されたのか。
ChatGPTを使って情報を並べると、確認が必要な点を見つけやすくなります。
元の資料へ戻れる形で整理し、回答を得てから採用する内容を確定しましょう。
今回の実践では、二つの資料を選び、「一致する項目」「違う項目」「まだ比較できない項目」を分けてみてください。
次回【第80回】は、「ChatGPTを使って条件変更の影響を整理する方法|変更点・関係する作業・再確認する事項を明確にする実践講座」を予定しています。
数量、仕様、日程などが変わったときに、何へ影響し、誰と何を確認する必要があるかを整理する方法を学びます。
それでは、また次回。ソラ先生でした。