ChatGPTソラ先生と学ぶ!中級者のためのAI実践講座【第72回】ChatGPTを使ってお客様の問い合わせを分析する方法|相談内容・背景・未解決の課題を整理する実践講座
1.はじめに
皆さん、こんにちは。ソラ先生です。
前回は、お客様への説明について、相手の疑問、伝える順番、確認事項を整理する方法を学びました。
今回は、お客様から届く問い合わせを分析する方法を考えます。
「同じような質問が続いている」
「相談内容は違うのに、確認する情報が似ている」
「問い合わせは届くが、途中で話が止まってしまう」
個別の対応だけでは見えにくいことも、複数の記録を並べると、共通点や違いが見えてきます。
ChatGPTを使って、相談内容、お客様が述べた背景、対応状況、残っている課題を整理しましょう。
なお、この講座に登場する問い合わせ、件数、業務、会話は説明用です。実際のお客様や社内の出来事、成果を示すものではありません。
2.今回の到達目標
今回の目標は、問い合わせを種類別に並べることだけではありません。
記録から確認できることを整理し、追加で確かめる点と、改善に使える材料を取り出すことです。
次の五つを目指します。
- 分析する目的と対象範囲を決める。
- 問い合わせの意味と経緯を保って整理する。
- 明示された要望と、推測した背景を分ける。
- 件数、条件、対応状況を踏まえて傾向を読む。
- 次に確認することと、改善候補を具体化する。
ChatGPTには、分類、要約、比較、不足情報の確認を手伝ってもらいます。
3.最初に分析の目的を決める
同じ問い合わせ記録でも、目的によって見る項目は変わります。
例えば、次のような目的があります。
- 繰り返し出る質問を調べる。
- 初回の相談で不足しやすい情報を確認する。
- 回答に時間がかかる場面を探す。
- 対応できなかった相談の内容を整理する。
- ホームページで説明を補う項目を考える。
まず、今回確かめたいことを一つ決めましょう。
「お客様を理解する」といった広い目的は、具体的な問いへ分けます。
4.対象期間と範囲を決める
分析する記録の範囲を明確にします。
例えば、
指定した期間に、問い合わせフォームから届いた相談を対象とする。
という形です。
そのうえで、次を確認します。
- 電話やメールの相談も含めるか。
- 新規のお客様と継続のお客様を分けるか。
- 営業案内など、対象外の連絡をどう扱うか。
- 同じ案件の追加連絡をどう数えるか。
対象を途中で変えた場合は、その変更も記録しましょう。
5.一件の数え方を決める
問い合わせ件数には、異なる数え方があります。
例えば、一つの案件で五往復のメールがあった場合です。
- メール数では五件。
- 相談案件としては一件。
- 質問事項としては複数件。
何を一件とするかによって、集計結果が変わります。
案件数、連絡数、質問数を混ぜないようにしましょう。
一つの案件に複数の相談内容がある場合は、案件数を保ちながら、複数の分類を付ける方法があります。
6.分析に必要な情報だけを使う
問い合わせには、個人情報や取引上の情報が含まれることがあります。
ChatGPTへ渡す材料は、社内で利用を認められた範囲で用意します。
例えば、分析に不要な個人名や会社名を、管理番号へ置き換えます。
- 問い合わせA。
- 問い合わせB。
- 案件001。
ただし、匿名化によって分析に必要な条件まで消さないようにします。
元の記録との対応は、必要な人が確認できる形で管理しましょう。
7.問い合わせの整理表を作る
最初は、必要な項目に絞って一覧にします。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 管理番号 | 元の記録を確認するための番号 |
| 受付日 | 問い合わせが届いた日 |
| 相談内容 | 何を相談しているか |
| 明示された要望 | お客様が言葉にした希望 |
| 提示された条件 | 数量、期限、使用条件など |
| 不足情報 | 判断に必要だが未確認の情報 |
| 対応状況 | 回答済み、確認中、保留など |
| 残る課題 | まだ解決していないこと |
分析の目的に関係しない項目を増やしすぎないことが大切です。
8.原文と要約を分ける
要約は、複数の問い合わせを比べる際に役立ちます。
ただし、短くする過程で条件や意味が抜けることがあります。
例えば、
現在の図面がないのですが、手元の現物を見て相談できますか。
という問い合わせを、
図面作成の依頼。
とまとめると、内容が変わっています。
相談したいことは、現物をもとに対応を検討できるかどうかかもしれません。
要約から元の記録へ戻れるようにし、重要な条件が保たれているか確認しましょう。
9.最初の整理を頼むプロンプト例
以下の問い合わせ記録を、分析用の一覧にしてください。
【分析の目的】
[記入]【問い合わせ記録】
[管理番号を付けて記入]各記録について、相談内容、明示された要望、提示条件、不足情報、対応状況を整理してください。
原文にない目的、予算、緊急性、感情は補わないでください。不明な項目は「記載なし」または「未確認」としてください。
要約によって意味が変わるおそれがある箇所は、元の表現も残してください。
10.明示された要望と推測を分ける
問い合わせから、お客様の背景を考えることはできます。
ただし、考えた背景が実際の事情とは限りません。
例えば、
図面がなくても相談できますか。
という質問から確認できるのは、図面がない状態での相談可否を知りたいということです。
「設計の担当者がいない」「費用を抑えたい」といった背景は、追加情報がなければ推測です。
分析表では、明示された内容と、確認したい仮説を分けます。
11.相談内容と課題を区別する
お客様が求めている方法と、解決したい課題が異なる場合があります。
例えば、
この部品を、今より厚くできますか。
という相談です。
求めている変更は「厚くすること」ですが、その目的は記載されていないかもしれません。
強度、変形、取り付けなど、背景には複数の可能性があります。
分析では、
- 相談された方法。
- 明示された困りごと。
- まだ分からない目的。
を分け、目的が不明なら追加確認の候補にします。
12.分類の基準を作る
分類は、分析の目的に合わせて決めます。
例えば、相談内容なら次のような分類が考えられます。
- 対応可否。
- 仕様や条件。
- 見積もり。
- 納期。
- 図面やデータ。
- 既存品の変更。
- その他。
これは分類案です。実際の記録に合わせて修正します。
分類名だけでなく、何を含めるかも書いておくと、担当者による判断の差を減らせます。
13.一件に複数の分類を付けてもよい
一つの問い合わせに、納期と対応可否の質問が含まれる場合があります。
無理に一つへ分類すると、相談内容の一部が見えなくなります。
その場合は、主な相談と付随する相談を分けたり、複数の分類を付けたりします。
ただし、複数分類では、分類ごとの件数を足すと総案件数を超えることがあります。
集計結果には、「一件に複数分類を付けている」と明記しましょう。
14.分類できない記録を残す
内容が曖昧な問い合わせや、分類の境界にある記録もあります。
その場合、無理に既存の分類へ入れず、
- 情報不足。
- 分類確認が必要。
- 既存分類に該当しない。
といった扱いにします。
分類できない記録が多ければ、分類基準が目的に合っていない可能性もあります。
記録の問題と、分類方法の問題を分けて見直しましょう。
15.分類を依頼するプロンプト例
次の問い合わせ一覧を、指定した基準で分類してください。
【分類基準】
[各分類に含める内容を記入]【問い合わせ一覧】
[記入]各案件について、分類、分類した根拠、不明点を示してください。
複数の内容がある場合は、複数分類を認めます。判断できない案件は無理に分類せず、「要確認」としてください。分類件数の合計が案件数を超える場合は、その理由を明記してください。
16.件数と割合を一緒に見る
「納期の相談が多い」という印象は、件数で確かめます。
例えば、説明用の仮定として、対象20案件のうち、納期に関する相談が8案件だったとします。
この場合、
対象20案件のうち、8案件に納期の相談が含まれていた。
と説明できます。
ただし、これだけで「お客様全体が納期を最も重視している」とは言えません。
対象期間と対象者、複数分類の有無を添えて、集めた記録の範囲で説明しましょう。
17.比較する条件を確認する
前月より問い合わせが増えた場合も、件数だけで理由を判断しないようにします。
例えば、次の変化があるかもしれません。
- 対象期間の日数が異なる。
- 問い合わせ経路が増えた。
- 記録する方法が変わった。
- 特定の案内を出した。
- 同じ案件の連絡を別件として数えた。
比較する前に、集計条件がそろっているか確認します。
訪問数などの情報がなければ、問い合わせに進む割合まで判断することはできません。
18.説明用の実務例:図面に関する相談
ここでは、次の三つの問い合わせを考えます。
A:図面がなく、現物だけですが相談できますか。
B:図面はありますが、形式が古くても確認できますか。
C:図面の内容が確定していません。検討段階で相談できますか。
三つとも図面に関係しますが、困っている条件は異なります。
- 図面そのものがない。
- データ形式に不安がある。
- 内容が未確定である。
「図面に関する相談」とまとめたうえで、違いも残す必要があります。
19.例から改善候補を考える
この例からは、案内文の改善候補が考えられます。
例えば、
- 現物をもとに相談する際に必要な情報を説明する。
- 受け取れるデータ形式の確認先を示す。
- 検討段階の相談で、何を伝えてほしいか説明する。
ただし、実際に対応できる範囲は別に確認が必要です。
問い合わせがあることを根拠に、未確認のサービスを「対応できます」と案内しないようにしましょう。
20.対応状況を分けて見る
問い合わせ内容に加えて、その後どうなったかを整理します。
例えば、
- 必要な情報を受け取り、回答した。
- 追加情報を依頼し、回答を待っている。
- 社内で確認している。
- 対応できないことを伝えた。
- 相手から連絡がなく、理由は不明。
連絡が止まっただけで、「価格が高かった」「他社へ依頼した」と決めないことが大切です。
結果と、その理由が確認できているかを分けて記録します。
21.未解決の課題を具体化する
「未解決」とだけ書くと、次の対応が分かりません。
例えば、次のように整理します。
使用条件が未提示のため、対応可否を判断できていない。
提示された資料に食い違いがあり、正式な内容を確認している。
回答は送付したが、相手側の判断結果は確認できていない。
何が不足し、どの判断が止まっているかを明確にします。
すべての未解決案件へ同じ対応が必要とは限りません。
22.回答の往復が増える場面を調べる
やり取りが多い案件では、何を確認するために往復したかを調べます。
例えば、
- 初回に必要な情報が分からなかった。
- 質問の意味が伝わらなかった。
- 相談の途中で条件が変わった。
- 専門的な検討が必要だった。
往復回数が多いこと自体を問題にしないようにします。
必要な打ち合わせと、説明や確認方法の改善で減らせる往復を分けて考えましょう。
23.背景を確認する質問を作る
問い合わせの分析から、次回聞くと役立つ質問を作れます。
例えば、
今回、どのような点でお困りですか。
現在の方法から、何を変えたいと考えていますか。
特に重視される条件は何ですか。
質問は、仮説を押し付けない形にします。
「費用を下げたいのですね」と決めつけるより、相手の言葉で目的を確認しましょう。
24.傾向を検討するプロンプト例
以下の問い合わせ一覧から、今回の分析目的に関係する傾向を整理してください。
【分析目的・対象期間・数え方】
[記入]【整理済み一覧】
[記入]次を示してください。
1.記録から確認できる傾向
2.共通する相談内容と、条件の違い
3.不足しやすい情報
4.未解決になっている事項
5.追加で確認したい背景
6.説明や確認方法の改善候補各傾向に管理番号や件数を添えてください。問い合わせに書かれていない意図や、連絡が止まった理由を断定しないでください。
25.問い合わせだけでは分からないことを残す
問い合わせ記録には、実際に連絡した人の情報が集まっています。
連絡しなかった人の理由や、相談を途中で諦めた人の事情は、記録にない場合があります。
そのため、問い合わせだけから、
すべてのお客様が、この情報を求めている。
とは言えません。
また、質問が少ない項目でも、十分に説明されているのか、質問しにくいのかは分からないことがあります。
分析に使った情報の範囲を明確にしましょう。
26.改善案と需要の確認を分ける
問い合わせから、新しい案内やサービスのアイデアが生まれることがあります。
ただし、質問があったことと、サービスとして利用されることは同じではありません。
- どのような条件で困っているのか。
- 現在はどう対応しているのか。
- どの範囲の支援を必要としているのか。
- 継続して起きる問題なのか。
といった点を、必要に応じて確かめます。
アイデアは仮説として扱い、実現性と利用される条件を別に検討しましょう。
27.分析結果を次の行動へつなげる
分析結果は、行動の種類を分けてまとめます。
| 行動 | 内容の例 |
|---|---|
| 追加確認 | 相談の目的や、不足している条件を尋ねる |
| 説明の改善 | 案内文や質問集へ必要な情報を追加する |
| 対応方法の改善 | 初回に確認する項目を整理する |
| 継続観察 | 同じ相談が今後も出るか記録する |
| 新たな検討 | 支援方法やサービスの可能性を考える |
すべてを同時に実施せず、判断への影響と負担を踏まえて優先するものを選びます。
28.分析結果をまとめるプロンプト例
次の分析結果を、次の行動を決めるための短い報告にしてください。
【分析結果】
[記入]次の順でまとめてください。
1.対象範囲と数え方
2.確認できた主な傾向
3.判断できないこと
4.追加確認が必要な事項
5.改善候補
6.最初に行う行動を一つ確認された事実、解釈、提案を区別してください。件数の少ない相談を大きな需要として表現せず、対応可能と未確認の内容を混ぜないでください。
29.実践演習:10ステップで問い合わせを分析する
利用できる範囲の問い合わせ記録を選び、次の順で取り組みましょう。
- 分析目的を決める。
何を確かめるか、一文にします。 - 対象範囲を決める。
期間、経路、対象外の連絡を整理します。 - 数え方を決める。
案件、連絡、質問を区別します。 - 分析用の記録を用意する。
不要な識別情報を除き、管理番号を付けます。 - 内容を要約する。
重要な条件を残し、元の記録と照合します。 - 要望と推測を分ける。
お客様が述べたことと、考えた背景を区別します。 - 分類する。
条件の違いと、分類できない記録を残します。 - 対応状況と残る課題を整理する。
どの判断が、何によって止まっているかを確認します。 - 傾向と限界を書く。
件数と根拠を添え、分からないことも明示します。 - 次の行動を一つ決める。
追加確認、説明改善、継続観察などから選びます。
30.分析結果のチェックリスト
- □ 分析の目的と対象範囲が明確か。
- □ 一件の数え方が統一されているか。
- □ 同じ案件の追加連絡を重複計上していないか。
- □ 要約で重要な条件を落としていないか。
- □ 明示された要望と推測を分けたか。
- □ 分類基準が一貫しているか。
- □ 件数と割合の元になる数が分かるか。
- □ 連絡が止まった理由を決めつけていないか。
- □ 記録に含まれない人や条件まで一般化していないか。
- □ 次に確認することと行動が具体的か。
集計が合っていることと、解釈が妥当であることは分けて確認します。
31.よくある失敗と直し方
失敗①:ChatGPTが作った要約だけで分析する。
管理番号から元の記録へ戻り、条件や意味が保たれているか確認します。
失敗②:同じ言葉があれば同じ課題と考える。
対象、目的、作業段階の違いを確認します。
失敗③:連絡が途絶えた理由を推測で埋める。
確認できている結果と、理由不明の部分を分けます。
失敗④:件数が多い相談だけを重視する。
頻度に加え、影響や未解決の大きさも検討します。少数の相談を根拠なく一般化することも避けましょう。
失敗⑤:問い合わせがあるので、新サービスが売れると考える。
利用される条件、必要な支援、実現性を別に確かめます。
失敗⑥:分類表を作ったところで終わる。
説明を直す、質問を追加するなど、最初の行動を決めます。
32.今回の要点
今回の要点は、次の五つです。
- 分析の目的、対象範囲、数え方を先に決める。
- 要約しても、相談の意味と条件を保つ。
- 明示された要望と、背景についての推測を分ける。
- 件数だけでなく、条件と対応状況を確認する。
- 傾向を一般化しすぎず、追加確認と改善へつなげる。
問い合わせは、お客様の困りごとを知る材料です。
記録に何があり、何がないかを見極めながら使いましょう。
33.仕事で使える基本プロンプト
今回の内容をまとめた基本プロンプトです。
あなたは、お客様の問い合わせ記録を整理し、分析を手伝う相談相手です。
【分析の目的】
[記入]【対象期間・問い合わせ経路・対象外】
[記入]【一件の数え方】
[記入]【管理番号付きの問い合わせ記録】
[記入]【対応経緯と現在の状況】
[記入]次の順で整理してください。
1.相談内容の要約
2.お客様が明示した要望と条件
3.目的や背景についての未確認事項
4.分類案と分類基準
5.各案件の分類と、その根拠
6.件数と割合による傾向
7.対応状況と未解決の課題
8.記録からは判断できないこと
9.追加で確認する質問
10.説明や対応方法の改善候補と、最初の行動原文にない事情、予算、緊急性、感情、連絡が止まった理由を補わないでください。事実、推測、提案を区別してください。各傾向は元の管理番号をたどれる形で示し、複数分類による重複を明記してください。集計条件が不明な場合は、先に確認事項を示してください。
34.まとめと次回予告
問い合わせを一件ずつ丁寧に読むことと、複数の記録を並べて分析することには、それぞれの役割があります。
個別の条件を保ちながら共通点を探すことで、説明が足りない部分や、確認に時間がかかる場面を見つけやすくなります。
ChatGPTには、要約、分類、比較、不足情報の洗い出しを手伝ってもらいましょう。
その結果を元の記録と照合し、確認できたことから次の行動を決めます。
今回の実践では、問い合わせを数件選び、「明示された要望」「不足情報」「未解決の課題」を整理してみてください。
次回【第73回】は、「ChatGPTで新しいサービスの可能性を検討する方法|顧客ニーズからアイデアを生み、実現性を確かめよう」です。
問い合わせ分析で見つけた課題やニーズを出発点に、新しいサービスを考え、実際に提供できるか検討する方法を学びます。
それでは、また次回。ソラ先生でした。