ChatGPTソラ先生と学ぶ!中級者のためのAI実践講座【第71回】ChatGPTを使ってお客様への説明を分かりやすく整える方法|相手の疑問・伝える順番・確認事項を整理する実践講座
1.はじめに
皆さん、こんにちは。ソラ先生です。
前回は、社内の質問と回答を整理し、必要な情報へたどり着きやすくする方法を学びました。
今回は、お客様への説明を分かりやすく整える方法を考えます。
「詳しく説明したのに、伝わっていなかった」
「条件を伝えたつもりが、確定事項として受け取られた」
「専門用語を減らしたら、必要な意味まで抜けてしまった」
仕事では、情報を正しく持っているだけでは十分ではありません。相手が理解し、判断できる順番と表現で伝える必要があります。
ChatGPTを使って、説明の目的、相手の疑問、確認してほしいことを整理していきましょう。
なお、この講座に登場するお客様、業務、条件、会話は説明用です。実際の社内の出来事や成果を示すものではありません。
2.今回の到達目標
今回の目標は、文章を丁寧に言い換えることだけではありません。
お客様が必要な情報を理解し、次の判断や行動へ進める説明を作ることです。
次の五つを目指します。
- 説明する目的を明確にする。
- 相手が知っていることと、未確認のことを分ける。
- 結論、理由、条件、確認事項を整理する。
- 専門的な意味を保ちながら表現を整える。
- 元の情報との照合によって、誤解を招く変更を防ぐ。
ChatGPTには、構成の整理、言い換え、読み手の疑問の洗い出しを手伝ってもらいます。
3.説明の目的を一つ決める
文章を作る前に、何のための説明かを決めましょう。
例えば、次のような目的があります。
- 現在の対応状況を知らせる。
- 提案内容を比較してもらう。
- 不足している情報を確認する。
- 変更内容について了承を得る。
- 対応できる範囲を伝える。
目的が混ざると、何を読んで、何を判断すればよいか分かりにくくなります。
一つの連絡に複数の目的がある場合は、それぞれを明示します。
4.相手に求める行動を具体化する
「ご確認ください」という言葉だけでは、何を確認し、返信が必要かどうか分からない場合があります。
例えば、次のように具体化します。
添付資料の数量と送付先をご確認いただき、修正の有無をご返信ください。
説明の最後に求める行動が明確になると、必要な情報も選びやすくなります。
ただし、返信期限や回答方法が決まっていない場合は、ChatGPTに勝手に追加させないようにしましょう。
5.相手の前提知識を整理する
同じ内容でも、相手が知っていることによって説明の量は変わります。
例えば、
- 初めて相談するお客様。
- 継続して取引している担当者。
- 技術的な内容を理解している担当者。
- 社内で情報を取りまとめる窓口担当者。
などの違いです。
相手の知識を確認できない場合は、「詳しくないはず」と決めつけず、必要な前提を短く添える方法を考えます。
役職や所属だけで、理解している範囲を断定しないことが大切です。
6.相手の疑問を仮に整理する
説明を受ける側は、次のような疑問を持つかもしれません。
- 結局、何ができるのか。
- いつ分かるのか。
- 何を準備すればよいのか。
- 条件によって何が変わるのか。
- 今回、何を決めればよいのか。
これらは、相手が実際に質問した内容とは限りません。
ChatGPTには、実際の質問と、説明を点検するための想定質問を分けて挙げてもらいましょう。
7.説明の準備をするプロンプト例
次のお客様向け説明について、文章を書く前の整理をしてください。
【説明の目的】
[記入]【相手について分かっていること】
[記入]【相手から実際に受けた質問】
[記入]【伝える必要がある情報】
[記入]【相手にお願いしたいこと】
[記入]次を整理してください。
1.説明の中心となる内容
2.先に伝えるべきこと
3.補足が必要な前提
4.想定される疑問
5.不足している情報実際の質問と想定質問を区別し、相手の意図や知識を断定しないでください。
8.確定事項と未確定事項を分ける
お客様への説明では、情報の状態を明確にします。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 確認済み | 資料や担当者への確認で分かっていること |
| 条件付き | 特定の条件を満たせば成り立つこと |
| 見込み | 現時点の情報に基づく予測 |
| 未確認 | まだ調べていない、または回答待ちのこと |
| 提案 | 相手と相談して決めたいこと |
例えば、「対応を検討しています」と「対応できます」は意味が異なります。
読みやすくする過程で、情報の確かさが変わっていないか確認しましょう。
9.結論から伝える
相手が最初に知りたいことが明確なら、その答えを先に置きます。
例えば、
ご相談の内容は、現在の情報だけでは対応可否を判断できません。使用条件を確認したうえで検討します。
その後に、理由と必要な情報を続けます。
背景を長く説明してから結論を書くと、相手が途中で判断に迷う場合があります。
ただし、結論だけを強く書き、重要な条件を離れた場所へ置かないようにします。
10.理由は判断に必要な範囲で説明する
理由を省くと、相手が確認の必要性を理解できないことがあります。
一方、社内の検討過程をすべて書くと、要点が埋もれます。
例えば、
使用温度によって材料の挙動が変わるため、常用温度と一時的な最高温度を確認したいと考えています。
という説明なら、何のために質問しているかが伝わります。
理由は、相手が次の判断や回答をするために必要な内容へ絞りましょう。
11.条件を結論の近くに置く
次のような説明は、誤解を招く可能性があります。
対応可能です。
……
なお、形状や使用条件によっては対応できない場合があります。
重要な条件があるなら、結論と一緒に書きます。
ご提示の形状を前提に、対応可能と考えています。使用条件については未確認のため、確認後に正式な回答をいたします。
ただし、この表現も、実際にどこまで確認できているかに合わせて使います。
12.専門用語を置き換えすぎない
専門用語を減らすと読みやすくなることがありますが、意味まで変わる場合があります。
例えば、「寸法公差」を単に「誤差」と言い換えると、意図した意味が伝わらないことがあります。
必要な用語は残し、短い説明を添える方法を使いましょう。
寸法公差とは、図面で認められている寸法の範囲です。
ChatGPTには、「専門用語をなくす」ではなく、「必要な用語は残して説明する」と指示すると整理しやすくなります。
13.数値と単位を省略しない
説明を短くするときも、判断に必要な数値や単位は残します。
例えば、
温度は80です。
では、単位や条件が分かりません。
常用温度は80℃です。
と書きます。
さらに、「最大」「平均」「目安」「一時的」といった言葉も重要です。
ChatGPTに言い換えを依頼した後は、数値、単位、範囲、条件が元の情報と一致しているか確認しましょう。
14.比較する案は同じ項目で示す
複数案を説明するときは、比較する項目をそろえます。
例えば、説明用の構成として、次のように整理できます。
| 比較項目 | A案 | B案 |
|---|---|---|
| 対応する範囲 | 確認済み情報を記載 | 確認済み情報を記載 |
| 期待する利点 | 根拠とともに記載 | 根拠とともに記載 |
| 制約 | 条件を記載 | 条件を記載 |
| 未確認事項 | 不足情報を記載 | 不足情報を記載 |
| 次に必要なこと | 確認や判断を記載 | 確認や判断を記載 |
一方の案だけ詳しく書くと、内容の違いより文章量が印象へ影響することがあります。
15.提案と決定事項を区別する
例えば、
次回から、この方法で進めます。
と書くと、決定事項として伝わります。
相談段階なら、
次回は、この方法で進める案を考えています。ご都合や条件に問題がないか、ご確認いただけますか。
という表現になります。
ChatGPTが文章を整える際に、提案を決定事項へ変えていないか確認しましょう。
同じように、「確認をお願いしたいこと」と「すでに了承されたこと」も分けます。
16.確認事項は答えやすくする
複数の確認事項を長い文章へ埋め込むと、回答漏れが起きやすくなります。
例えば、
使用条件について、分かる範囲で次の三点を教えてください。
として、項目を分けます。
- 常用する温度。
- 一時的な最高温度。
- その温度が続く時間。
何を回答すればよいかが明確なら、相手も整理しやすくなります。
回答できない項目がある場合の扱いも、必要に応じて添えましょう。
17.不明なことへの返答を組み立てる
すぐに答えられない場合も、分かっていることと次の確認を伝えます。
例えば、
現時点では、使用条件に適合するか確認できていません。まず条件を確認し、検討に必要な情報を整理します。
といった形です。
回答時期を約束するなら、実際に対応できるかを確認します。
未定の期限をChatGPTに作らせず、「いつ回答時期を伝えられるか」が分かっている場合は、その内容を説明しましょう。
18.説明用の実務例:対応可否の確認
ここでは、お客様から「この条件で対応できますか」と問い合わせを受けた場面を考えます。
確認できているのは、形状の概要と数量だけです。
使用環境や必要な精度は、まだ分かっていないとします。
この段階で、
問題なく対応できます。
と回答する根拠はありません。
まず、現在の情報で判断できる範囲と、追加で必要な情報を整理します。
19.例の説明を組み立てる
説明用の文章は、次のように構成できます。
お問い合わせありがとうございます。
ご提示いただいた形状と数量は確認しました。対応可否を検討するため、使用環境と必要な精度について、追加で確認させてください。
・使用する温度や周囲の環境
・寸法に求められる範囲
・特に重視される機能いただいた情報をもとに、対応できる範囲と、確認が必要な点を整理いたします。
実際の文章では、その案件で本当に必要な項目へ置き換えます。
情報を大量に求めるのではなく、判断に必要な確認へ絞ります。
20.言い換えを依頼するプロンプト例
次の文章を、お客様が判断しやすい説明へ整えてください。
【元の文章】
[記入]【説明の目的】
[記入]【確定していること】
[記入]【未確認・条件付きのこと】
[記入]結論、理由、重要な条件、お願いしたいことの順で整理してください。
専門的な意味は保ち、必要な用語には短い説明を添えてください。対応範囲、期限、費用、保証、合意事項を追加しないでください。提案や見込みを、決定事項へ変えないでください。
21.メールと説明資料で構成を調整する
同じ内容でも、使う場面によって適した形は変わります。
| 場面 | 整理の例 |
|---|---|
| メール | 要件、結論、確認事項を短くまとめる |
| 打ち合わせ資料 | 論点と比較項目を示す |
| 口頭説明のメモ | 話す順番と、相手に確認する質問を書く |
| 詳細資料 | 条件、根拠、補足を参照できる形にする |
メールへすべての説明を詰め込まず、詳しい資料を添える方法もあります。
その場合は、何を見てほしいかを本文に書きましょう。
22.伝える情報を選ぶ
説明を分かりやすくするには、文章の言い換えだけでなく、情報の選択も必要です。
次の三つに分けてみましょう。
- 今回の判断に必要な情報。
- 理解を助ける補足。
- 今回は伝える必要がない社内の経緯。
ただし、不利な条件や重要な未確認事項を、読みやすさのために省かないようにします。
短くする場合も、相手の判断に影響する内容は残します。
23.誤解されそうな読み方を検討する
作成した説明は、自分の意図どおりに読まれるとは限りません。
例えば、
検討可能です。
という言葉を、相手が「製作できる」と受け取る場合も考えられます。
ChatGPTには、次のように依頼できます。
この文章について、読み手が確定事項と誤解しそうな箇所、条件を見落としそうな箇所、何を返答すればよいか迷う箇所を挙げてください。
指摘された内容をすべて採用するのではなく、実際の相手や文脈に照らして確認します。
24.説明を点検するプロンプト例
次のお客様向け説明を点検してください。
【説明文】
[記入]【元になる確認済み情報】
[記入]次を確認してください。
1.最初に知りたい内容が分かるか
2.確定・条件付き・見込みが区別されているか
3.重要な条件が離れた場所にないか
4.専門用語が判断の妨げにならないか
5.数値と単位が元の情報と一致しているか
6.相手に求める行動が明確か
7.元の情報にない約束が加わっていないか指摘、理由、修正案を分けてください。事実としての正しさを確認できない部分は、その旨を示してください。
25.相手の反応から説明を修正する
説明後に質問が返ってきたら、何が伝わっていなかったかを確認します。
ただし、質問が出たからといって、説明全体が悪かったとは限りません。
- 言葉の意味が分からなかった。
- 条件が不足していた。
- 相手側で新しい事情が分かった。
- 判断するために詳細が必要になった。
といった違いがあります。
質問の理由に合わせて補足し、必要なら元の説明も見直しましょう。
26.確認できた合意を残す
説明の後、何が決まり、何が残ったかを整理します。
例えば、
【確認できたこと】
対象範囲と、優先して検討する条件。【未決定】
正式な対応方法と日程。【次の対応】
不足資料を確認したうえで、検討結果を連絡する。
相手が返信していない項目まで、了承されたと扱わないようにします。
ChatGPTで要約する際も、合意、提案、未回答を分けるよう指示しましょう。
27.繰り返す説明を再利用する
同じような説明が多い場合は、基本となる文章を保存できます。
ただし、案件ごとに変わる情報を明確にします。
- 対象。
- 数量。
- 使用条件。
- 対応範囲。
- 日程。
- 確認事項。
定型文を再利用するときは、前の案件の条件や宛名が残っていないか確認します。
よく使う文章でも、今回の状況に合っているかを毎回確かめましょう。
28.説明用のひな型を作るプロンプト例
以下の説明から、今後再利用できるひな型を作ってください。
【説明文】
[記入]共通部分と、案件ごとに確認して書き換える部分を分けてください。
可変項目は[対象][条件][確認事項]などの記入欄にしてください。実績、対応可否、納期、費用を固定文として残さないでください。
最後に、送付前に確認する項目を付けてください。
ひな型は、入力すれば自動的に正しい説明になるものではありません。
確認する箇所を明確にするために使います。
29.実践演習:10ステップで説明を整える
お客様へ説明する場面を一つ選び、次の順で取り組みましょう。
- 説明の目的を書く。
何を伝え、何につなげたいかを決めます。 - 相手に求める行動を書く。
確認、回答、選択などを具体化します。 - 相手の前提を整理する。
分かっていることと不明なことを分けます。 - 情報の状態を分ける。
確認済み、条件付き、見込み、未確認、提案に整理します。 - 結論を書く。
今回伝えられる範囲で、一番大切な内容を示します。 - 理由と条件を添える。
判断に必要な背景と、重要な前提を書きます。 - 用語と数値を確認する。
意味、単位、範囲を保ったまま表現を整えます。 - 確認事項を分ける。
相手が答えやすい項目にします。 - 誤解の可能性を点検する。
約束や合意が勝手に加わっていないか確認します。 - 送付後の対応を決める。
返答を受けて何を確認し、何を記録するか整理します。
30.送付前のチェックリスト
- □ 説明の目的が明確か。
- □ 最初に重要な内容が伝わるか。
- □ 相手に求める行動が具体的か。
- □ 確定事項と未確定事項を分けたか。
- □ 重要な条件を結論の近くに置いたか。
- □ 専門用語の意味を変えていないか。
- □ 数値、単位、範囲が正しいか。
- □ 元の情報にない約束が加わっていないか。
- □ 添付資料や参照先が説明と一致しているか。
- □ 宛先や案件情報が今回の内容になっているか。
文章の印象だけでなく、元の情報との一致を確認しましょう。
31.よくある失敗と直し方
失敗①:丁寧な表現を増やし、要件が埋もれる。
結論とお願いしたいことを先に整理します。必要な礼儀を保ちつつ、何の連絡か分かる文章にしましょう。
失敗②:相手の知識を決めつける。
分からない前提は断定せず、必要な用語へ短い説明を添えます。
失敗③:条件付きの回答を、言い換えで断定に変える。
元の情報と照合し、確認済みの範囲を超えていないか確認します。
失敗④:確認事項を文章へ埋め込みすぎる。
回答してほしい項目を分け、何を返せばよいか明確にします。
失敗⑤:短くするために重要な条件を省く。
判断に必要な情報を残し、補足資料との使い分けを考えます。
失敗⑥:ChatGPTの文章を、そのまま送る。
対応範囲、数値、期限、費用、合意事項を確認してから使います。
32.今回の要点
今回の要点は、次の五つです。
- 説明の目的と、相手に求める行動を決める。
- 相手の前提を整理し、知識や意図を決めつけない。
- 結論、理由、条件、確認事項を分かる順番で示す。
- 専門的な意味と、情報の確かさを保つ。
- 元の情報と照合し、誤解や不要な約束を防ぐ。
分かりやすい説明は、短さだけで決まりません。
相手が必要な条件を理解し、次の判断へ進めるかを確認しましょう。
33.仕事で使える基本プロンプト
今回の内容をまとめた基本プロンプトです。
あなたは、お客様への説明を分かりやすく整理する相談相手です。
【説明の目的】
[記入]【相手について分かっていること】
[記入]【相手から受けた質問】
[記入]【確認済みの情報】
[記入]【条件付き・見込み・未確認の情報】
[記入]【提案したいこと】
[記入]【相手にお願いしたい行動】
[記入]【元の説明文】
[あれば記入]次の順で整理してください。
1.説明の中心となる結論
2.理解に必要な理由
3.重要な条件と未確定事項
4.専門用語に必要な補足
5.相手に確認してほしいこと
6.説明文の案
7.誤解される可能性がある箇所
8.送付前に確認する情報相手の知識や意図を断定しないでください。数値、単位、条件の意味を変えないでください。対応範囲、期限、費用、保証、了承事項を追加しないでください。提案や見込みを、決定事項へ変えないでください。
34.まとめと次回予告
お客様への説明では、正確な情報を、相手が理解しやすい順番で伝えることが大切です。
何が分かっていて、何が未確認なのか。今回、何を判断し、何を回答してほしいのか。
その違いが明確になれば、やり取りも進めやすくなります。
ChatGPTには、構成の整理、言い換え、確認事項の分解、誤解の可能性の点検を手伝ってもらいましょう。
今回の実践では、一つの説明を選び、「結論」「重要な条件」「相手にお願いしたいこと」の三つを書いてみてください。
次回【第72回】は、「ChatGPTを使ってお客様の問い合わせを分析する方法|相談内容・背景・未解決の課題を整理する実践講座」を予定しています。
個別の問い合わせから、繰り返し出ている疑問や困りごとを整理し、説明やサービスの改善へつなげる方法を学びます。
それでは、また次回。ソラ先生でした。