ChatGPTソラ先生と学ぶ!初心者のためのAI入門講座【第85回】ChatGPTで仕事のリスクを整理する方法|納期遅延・品質トラブル・確認漏れを予測し、問題が起こる前に備えよう
こんにちは!ソラ先生です。
皆さんは、仕事を進めている途中で、思いがけない問題が発生した経験はありませんか?
予定していた材料が入荷しない。
製品の加工中に、図面の不明点が見つかる。
お客様への回答に必要な情報がそろわない。
製品の検査で、確認が必要な箇所が見つかる。
こうした問題が発生すると、当初の予定を変更したり、関係者と調整したりする必要が生じます。
もちろん、仕事で起こるすべての問題を事前に予測することはできません。
しかし、あらかじめ起こり得る問題を考え、必要な確認や準備をしておくことで、問題の発生を防いだり、影響を小さくしたりできる場合があります。
前回の第84回では、ChatGPTを活用して複数の仕事やプロジェクトを整理する方法を学びました。
今回は、さらに一歩進んで、ChatGPTを使って仕事のリスクを洗い出し、原因や影響を整理しながら、事前にできる対策を考える方法を学んでいきましょう。
1.仕事のリスクとは何だろう?
リスクとは、これから起こる可能性があり、仕事の目的や結果に影響する不確実な事柄のことです。
例えば、製品の製作を進める場合を考えてみましょう。
材料が予定どおり入荷しない可能性があります。
加工設備に不具合が発生する可能性もあります。
図面に不明点が残っている場合、作業開始後に確認が必要になるかもしれません。
こうしたことは、まだ実際に発生しているとは限りません。
しかし、発生すれば納期や品質、作業の進行に影響する可能性があります。
ここで大切なのは、すでに発生している問題と、これから発生する可能性があるリスクを区別することです。
例えば、
「材料の入荷が遅れている」
これは、すでに発生している問題です。
一方、
「材料の入荷が遅れる可能性がある」
これは、将来のリスクです。
ChatGPTに情報を整理してもらうときも、この違いを明確にしましょう。
2.まずは仕事の内容からリスクを洗い出そう
それでは、実際にChatGPTを使ってみましょう。
ここでは、製造業で新しい製品を試作する場面を考えます。
実践① リスクの候補を整理する
ChatGPTへの入力例
「私は製造業で、新しい樹脂製品の試作を進めています。
現在、図面を受け取り、材料と加工方法を検討している段階です。
今後、材料調達、機械加工、寸法検査、納品を予定しています。
この仕事で起こる可能性があるリスクを洗い出してください。
納期、品質、材料、加工、情報共有の観点から分類してください。
実際に問題が発生しているわけではないため、リスクの候補として整理してください。」
ChatGPTの回答例
| 分類 | 考えられるリスク |
|---|---|
| 材料 | 必要な材料を予定どおり調達できない |
| 加工 | 想定した加工方法では対応が難しい |
| 品質 | 加工後の寸法が要求公差を満たさない |
| 納期 | 確認や手配に時間がかかり、予定が遅れる |
| 情報共有 | 図面の変更情報が関係者に伝わらない |
このように、ChatGPTは仕事の内容からリスクの候補を整理できます。
ただし、挙げられたリスクが、すべて実際の案件に当てはまるとは限りません。
例えば、材料がすでに確保されているなら、調達遅延のリスクは小さいかもしれません。
反対に、特殊な材料を使用する場合は、調達に関する確認が重要になる可能性があります。
ChatGPTが示したリスクをそのまま採用するのではなく、実際の仕事の条件と照らし合わせることが大切です。
3.リスクが発生する原因を考えてみよう
リスクを洗い出したら、次は「どのような条件で発生する可能性があるのか」を考えます。
例えば、材料の調達が遅れるリスクについて考えてみましょう。
必要な材料が仕入先に在庫されていない。
希望する寸法の材料が入手しにくい。
発注内容に不明点がある。
調達に必要な時間を十分に確認できていない。
こうしたことが原因の候補になります。
実践② リスクの発生条件を整理する
ChatGPTへの入力例
「樹脂材料の調達が予定より遅れるリスクについて考えたいです。
どのような条件で入荷遅延が起こる可能性があるのか、原因の候補を整理してください。
現在、仕入先の在庫状況や納期はまだ確認していません。
推測を事実として扱わず、実際に確認するべき情報も示してください。」
ChatGPTの回答例
考えられる原因
1.必要な材料の在庫が不足している。
2.指定寸法の材料が通常在庫品ではない。
3.仕入先の調達期間が想定より長い。
4.発注内容に確認が必要な事項が残っている。
実際に確認すべき情報
- 材料の種類とグレード
- 必要な寸法と数量
- 仕入先の在庫状況
- 調達可能な時期
- 発注に必要な条件
このように整理すると、リスクについて考えるだけでなく、何を確認すればよいのかが明確になります。
リスク分析は、心配なことを並べる作業ではありません。
不確実な情報を減らし、必要な準備につなげるためのものです。
4.発生する可能性と影響の大きさを考えよう
すべてのリスクに、同じように対応する必要があるとは限りません。
例えば、発生する可能性が高く、影響も大きいリスクには、早めの対策が必要になるでしょう。
一方、発生する可能性が低く、影響も小さいリスクについては、状況を確認しながら対応を考える方法もあります。
リスクを整理する際には、次の二つの観点がよく使われます。
発生可能性
その問題が起こる可能性は、どの程度あるのか。
影響度
その問題が発生した場合、どれくらい大きな影響があるのか。
例えば、次のように分類できます。
| リスク | 発生可能性 | 影響度 |
|---|---|---|
| 材料の入荷遅延 | 要確認 | 納期への影響を確認 |
| 加工方法の変更 | 要確認 | 工程・費用への影響を確認 |
| 図面変更の伝達漏れ | 要確認 | 品質・手戻りへの影響を確認 |
| 検査結果の確認遅れ | 要確認 | 出荷予定への影響を確認 |
ここでは、実際の発生可能性や影響度を数値化していません。
それを判断するための情報が、まだそろっていないからです。
ChatGPTには、次のように入力できます。
ChatGPTへの入力例
「先ほどのリスクについて、発生可能性と影響度を評価するために必要な情報を整理してください。
実際の発生頻度や影響が不明な場合は、勝手に高・中・低の評価を決めず、確認が必要な項目として示してください。」
この方法なら、根拠のない評価を避けながら、次に調べることを整理できます。
5.リスクの優先順位を考えよう
リスクが複数見つかった場合、どれから対応するかを考える必要があります。
例えば、同じ製造案件で次のようなリスクがあるとします。
材料の入荷が遅れる可能性。
加工方法の検討に時間がかかる可能性。
製品の外観に問題が生じる可能性。
お客様への連絡が遅れる可能性。
これらの重要性は、製品の用途や要求品質、納期などによって変わります。
例えば、外観が製品の重要な品質要求になっている場合は、外観に関するリスクを軽く扱うことはできません。
また、材料が入荷しなければ加工を開始できない場合、調達状況を早めに確認する必要があります。
ChatGPTには、次のように相談してみましょう。
実践③ リスク対応の優先順位を検討する
ChatGPTへの入力例
「材料調達、加工方法、品質確認、納期、情報共有に関するリスクがあります。
これらについて、発生可能性、影響度、対応の緊急性という観点から優先順位を検討したいです。
ただし、現在の情報だけでは判断できない項目があります。
優先順位を決めるために必要な質問を、一つずつしてください。」
このように、ChatGPTに質問してもらいながら情報を整理できます。
重要なのは、単にリスクを点数で並べることではありません。
安全性、品質、お客様への影響などを考慮して、対応の優先順位を決めることです。
特に、人の安全に関わるリスクは、発生可能性が低いと考えられる場合でも、適切な安全対策や基準に従って判断する必要があります。
6.問題が起こる前にできる対策を考えよう
リスクを整理したら、次は事前にできる対策を考えます。
例えば、材料の入荷遅延について考えてみましょう。
仕入先へ在庫を確認する。
調達に必要な日数を確認する。
希望する寸法や数量に対応できるか確認する。
必要に応じて、別の調達方法があるか検討する。
こうした対策の候補が考えられます。
ただし、材料の変更や仕入先の変更には、品質や仕様への影響がある場合があります。
そのため、実際に変更する際には、関係者の確認や承認が必要になることがあります。
実践④ 予防策を整理する
ChatGPTへの入力例
「樹脂材料の調達が遅れるリスクについて、事前にできる対策を考えてください。
現在の材料仕様や品質要求を守ることを前提にしてください。
対策ごとに、期待できる効果、必要な確認、注意点を整理してください。
材料の変更や仕入先の変更を、勝手に決定しないでください。」
ChatGPTの回答例
| 対策候補 | 期待できる効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| 在庫状況を早めに確認 | 調達可否を早期に把握 | 回答内容の確認 |
| 調達日数を確認 | 工程計画を立てやすくする | 予定と確約を区別 |
| 必要材料情報を整理 | 問い合わせの手戻りを減らす | 仕様の正確性 |
| 代替調達先を検討 | 調達方法の選択肢を増やす | 品質・承認条件の確認 |
このように、ChatGPTは複数の対策を比較する手助けができます。
ただし、実際に効果があるかどうかは、仕事の条件によって異なります。
7.リスクが現実になったときの対応も考えよう
リスク対策には、問題を起こりにくくするための予防策だけでなく、実際に問題が発生した場合の対応もあります。
例えば、材料の入荷が遅れるリスクについて考えてみましょう。
予防策
事前に材料の在庫や調達期間を確認する。
発生後の対応
実際の入荷予定を確認し、加工計画や納期への影響を調べる。
この二つは異なります。
実践⑤ 予防策と発生後の対応を分ける
ChatGPTへの入力例
「材料の入荷遅延について、問題が発生する前の予防策と、実際に遅延が発生した後の対応を分けて整理してください。
お客様への納期変更や材料仕様の変更は、担当者の判断だけで決定できないため、必要な確認事項として扱ってください。」
ChatGPTは、発生前と発生後の対応を区別して整理できます。
問題が起きたときには、まず実際の状況を確認することが重要です。
新しい入荷予定日は分かっているのか。
他の工程への影響はあるのか。
関係者への連絡が必要なのか。
こうした情報を確認し、必要な対応を検討します。
予防と発生後の対応を分けて考えることで、より実用的なリスク管理につながります。
8.製造現場では安全性と品質も重要
製造業のリスクを考えるとき、納期や費用だけに注目してはいけません。
設備の安全性や製品品質も重要です。
例えば、機械加工では、設備や工具、材料、加工方法など、さまざまな条件が関係します。
設備の不具合。
工具の状態。
加工条件の不適合。
測定方法の問題。
こうした要因が、作業の安全性や製品品質に影響する場合があります。
ただし、具体的な安全対策や加工条件は、設備や作業内容によって異なります。
ChatGPTが一般的な知識から提案した内容を、そのまま現場の作業指示として採用することは適切ではありません。
実際の対策は、設備メーカーの取扱説明書、社内の安全基準、作業標準、品質要求などを確認して判断する必要があります。
ChatGPTは、確認すべき事項を整理するために活用しましょう。
9.リスク管理表を作ってみよう
複数のリスクを管理する場合は、一覧表にまとめる方法があります。
例えば、次のような形式です。
| リスク | 影響する内容 | 予防策の候補 | 担当者 |
|---|---|---|---|
| 材料入荷遅延 | 加工開始・納期 | 在庫と調達日数の確認 | 未定 |
| 加工方法の問題 | 工程・品質 | 技術的な事前検討 | 未定 |
| 図面変更の伝達漏れ | 品質・手戻り | 変更情報の共有方法確認 | 未定 |
| 検査の遅れ | 出荷予定 | 検査日程の確認 | 未定 |
ChatGPTには、次のように入力してみましょう。
ChatGPTへの入力例
「これまで整理したリスクを、Excelに貼り付けやすい管理表にしてください。
列は、リスク内容、発生原因の候補、影響、発生可能性、予防策、発生後の対応、担当者、確認状況にしてください。
まだ評価していない項目は未評価、決まっていない担当者は未定と表示してください。」
このような表を作成しておけば、複数のリスクを比較しやすくなります。
また、案件の進行に合わせて状況を更新することもできます。
ただし、ChatGPTに一度入力した情報が、その後自動的に最新の状態になるわけではありません。
実際の状況を確認しながら、管理表を見直しましょう。
10.実践演習!自分の仕事のリスクを考えてみよう
それでは、今回の授業の仕上げです。
皆さんが普段担当している仕事や、現在進めている案件を一つ選んでください。
事務作業でも、製造業務でも、営業活動でも構いません。
次の指示文をChatGPTに入力してみましょう。
そのまま使える実践プロンプト
「あなたは、仕事のリスク分析を支援するアシスタントです。
これから私が担当している仕事について説明します。
問題が発生する前に、考えられるリスクを整理し、必要な対策を検討したいと考えています。
次の条件で進めてください。
1.最初に、どのような仕事についてリスクを整理したいのか質問してください。
2.仕事内容、作業の流れ、期限、関係者について、一つずつ質問してください。
3.現在発生している問題と、将来発生する可能性があるリスクを区別してください。
4.リスクの候補を複数の観点から洗い出してください。
5.各リスクについて、発生原因の候補と、発生した場合の影響を整理してください。
6.確認できた事実と推測を区別してください。
7.発生可能性と影響度を評価するため、必要な情報を質問してください。
8.リスクごとに、予防策と発生後の対応を分けて考えてください。
9.安全性、品質、納期などへの影響を考慮してください。
10.担当者や期限が決まっていない場合は、未定と表示してください。
11.最後に、Excelへ貼り付けやすいリスク管理表を作成してください。
12.実際の社内ルールや技術的な条件は、推測で決定しないでください。
質問は一つずつ行い、私が回答してから次の質問に進んでください。
それでは、最初の質問から始めてください。」
この指示文を使えば、ChatGPTと対話しながら、仕事に潜んでいるリスクを整理できます。
最初からすべてのリスクを見つける必要はありません。
まずは、仕事の中で気になっていることを一つ取り上げてみましょう。
そして、何が起こる可能性があるのか、どのような影響があるのか、今のうちに何を確認できるのかを考えてみてください。
ソラ先生からのアドバイス
仕事のリスクを考えるというと、悪いことばかり想像するように感じるかもしれません。
しかし、リスク管理の目的は、必要以上に心配することではありません。
起こり得る問題を理解し、事前にできることを考えておくことです。
例えば、製造業では、図面を確認した段階で加工方法に不安が見つかることがあります。
そのとき、実際に加工を始める前に技術的な検討を行えば、問題を未然に防げるかもしれません。
材料の調達に時間がかかる可能性があるなら、早めに仕入先へ確認することもできます。
一方、実際に問題が発生して初めて分かることもあります。
そのような場合には、状況を確認し、関係者と相談しながら対応方法を考える必要があります。
ChatGPTは、考えられるリスクを整理したり、別の視点から問題を検討したりする手助けができます。
しかし、現場の状況をすべて理解しているわけではありません。
また、経験豊富な担当者でも、すべてのリスクを予測できるとは限りません。
だからこそ、異なる知識や経験を持つ人たちと情報を共有することが大切です。
営業、設計、製造、品質管理、協力会社。
それぞれの立場から意見を出し合うことで、一人では気づかなかったリスクが見つかる場合もあります。
ChatGPTは、その話し合いのための整理役にもなれます。
大切なのは、リスクをゼロにすることだけを目指すのではなく、不確実な状況でも適切に判断し、対応できるように準備しておくことです。
今回のまとめ
第85回では、ChatGPTを使って仕事のリスクを整理する方法を学びました。
今回のポイントは5つです。
1.現在発生している問題と、将来のリスクを区別する。
2.仕事の流れから、考えられるリスクを洗い出す。
3.発生する可能性と、発生した場合の影響を整理する。
4.問題が起こる前の予防策と、発生後の対応を分けて考える。
5.実際の状況に合わせて、リスク管理を見直す。
ChatGPTは、リスクの候補を整理し、原因や影響、対応方法を検討する際に活用できます。
ただし、最終的な判断には、実際の仕事の条件や現場の情報が必要です。
AIによる情報整理と、人間の経験や判断を組み合わせながら、問題が起こる前にできることを考えていきましょう。
次回予告|第86回
次回は「ChatGPTで仕事のトラブル対応を整理する方法」を学びます。
実際に問題が発生したとき、何を確認し、誰と情報を共有し、どのように対応を考えていけばよいのか。
ChatGPTを活用して状況を整理し、問題解決につなげる方法をご紹介します。
それでは、次回も一緒に学んでいきましょう!